ロウソクの隙間


 ふーっと吹いたロウソクが消えて、部屋が真っ暗になった。


 そしてお母さんが電気を点けたら、その瞬間に僕は七歳になる。


 僕はこの間がとても好きだ。


 六歳でもない、七歳でもない、ちょっとだけ時間が乱れてしまったような、特別な時間だと思う。


 そんな時間の中にずっといたいと思ったり、でも、七歳になるのも楽しみだったりして。


 そんな自分の心の揺れる感覚も好き。まるで雲の上に心を置いているみたいに不安定で、そしてちょっぴり気持ちよかったりもする。


 お母さんが立ち上がったのは、気配で分かった。


 電気はもうすぐ点いてしまう。


 僕が六歳でも七歳でもない、この間の特別な時間もすぐに終わる。


 だからもうちょっとだけ目を瞑っていよう。


 そしたら電気が点いても、少しだけその時間の中にいられるような気がするから。


■古びた町の本屋さん

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