形にそっと蓋をする



 まあ、いいや。

 そんな言葉を聞きたかったんじゃないけど、僕は心の中でそんな言葉を呟いてみたりする。

 

 まあ、いいや。

 そうしてまた1日は通り過ぎていくけれど、通り過ぎていった日々を思い返す事もなく、ずっと遠くの方へ消えていってしまった。


 まあ、いいや。

 そんな日が続いたら、いずれその「まあ、いいや」に呑み込まれて、僕は”不幸”って簡単に名付けられたその穴の中に落ちていってしまう不安があるけれど、それでも「まあ、いいや」なんて言う。

 本当はとっても不安、だけど言ってしまう。「まあ、いいや」


 まあ、いいや。

 きっとその内僕は「まあ、いいや」人間になってしまうのだ。

 不安はまだあるままなのに、それでもそこから出られないまま。

 もし、誰かがその「まあ、いいや」から出る方法を教えてくれたら、僕は真摯に耳を傾けるんだ、きっと。

 だけど、それを行動出来るかは別。そう、それは全く別の問題なのだ。


 君も分かるだろう?

 でも、まあ、いいや。

 僕には会話が出来るし、こうして文を書く事も出来るから。


 だから、それだけで、「まあ、いいや」

 それでもまだ僕は夢を見てる。きっと、明日は「まあ、よくない」って言うんだ、って夢。

 今日が終わる、それには誰も逆らえないから「まあ、いいや」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る