ギャグ
【妻のターン】
夫の言葉に、時折戸惑うことがある。
「そんなバナナ!」
「……」
息子をあやしてるフリしてスルー。今のは、夫がバナナを食べようとして、全部食べちゃってて、一個もなくて発した言葉だ。
つまり、ギャグ。
つまり、オッサンギャグ。
つまり、スタープラチナ。
私は、こんなときどうしたらいいのかわからないので、とにかく聞こえなかったフリをする。
「そんなバナナ!」
「……っ」
二回……だとっ。
「……コホン」
これ見よがしに、咳払い。
り、凛ちゃん……あいつなんとかして――「ぐー、ぐー」
ね、寝たフリ……だとっ!
「……ヨモー、いないいないバァ」
とにかく、私は何も聞かなかった。私は、息子をあやしていて、修ちゃんの存在には全く気づかなかった。
しかし、夫は偉大だ。私のしょうもない冗談に毎回付き合ってくれる。毎回毎回……
まぁ、私は付き合いませんけどね!
「理佳」
「えっ! 修ちゃん、いたの!? いゃあ、気づかなかった」
これ見よがしに、初めて気づいたアピール。
「……」
夫は黙っている。
しまった……疑われた……か。
「しゅ、修ちゃん嘘じゃないよ――「そんなバナナ!」
ぐはぁ(なんとなく)
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