メールの返信
【夫のターン】
♪♪♪
『お母さんに電話したなー! 裏切り者!』
な、なんか意味不明なメールが。
『いや、挨拶しただけなんだけど。なんかあった?』
すぐに返信した。お義母さんになにか失礼なことをしてしまっただろうか。
...
一日が経過。
返信が、来ない。
意味不明な台詞だけ残してガン無視な妻。
♪♪♪
『ごめーん、寝てた』
嘘つけ!
まぁ、いつもなら、ここで説教メールを長文にて返信するところだが、赤ちゃんにもストレスを溜めてしまう危険がある。
『ぜんぜんいーよー、ところで、なんだった?』
すぐに返信を返す。お義母さんに、なにか失礼なことをしたのだろうか? 今後の関係性にも関わるから詳しく教えて欲しい。
・・・
一日が経過。
また、返事がこない。
あのアホの考えることは、やっぱりよくわからない。一体どう言う思考回路をしているのだろうか。怒るというよりは、最早、七不思議だ。
♪♪♪
『ごめーん、お風呂入ってたー』
!?
『一日中か! 貴様は一日中風呂に入って過ごしていたと言うんだなふざけんなアホか貴様はそんなわけないだろう――』
はっ……いかんいかん、気がついたら高速で説教メールを打っていた。
急いでメール本文を消去して、返信を考える。よく考えたら、そもそも、こっちが早く返信し過ぎてるんじゃないか。メールなんて、そもそもいつ見てもいいものだし。
そもそも、今は焦らせたりするのは厳禁だ。なんせあいつのお腹には赤ちゃんがいるのだか――
♪♪♪
『返信がおそーい! もー10分も経ったよー』
!?
『お前は一日メールを返信しなくてもよくて俺は10分メールの返信を滞らせあたらお前に文句を言われるんだなふざけんなクソバカぶん殴――』
はっ……いかんいかん。また高速説教かつ罵倒メールを打ち込んでしまった。
……ふー……はーっ……ふーっ……はー……
なんとか、怒りを呼吸法でなんとかしようと試みる。
……ふー……はーっ……ふーっ……はー……
『ごめんな、気の利かない夫で……』
……メールがどうしても進まない。心の片隅に、なんで俺が謝らなければという想いが一向に消えない。妻にストレスを与えないようにするという行為が、こんなにもストレスが溜まる行為であるとは……しかも、遠隔で。
しかし……今は……奴のお腹には……赤ちゃんが……
震える手で、メールの続きを入力する。
「理佳、身体は大丈夫か? 離れていて会えないから心配です。できれば、メールの返信を早くしてくれれば、こっちも心配しなくて済むんだけどなぁ」
……これでよし。
さすがに、このメールだとすぐに返信するだろ。
・・・
それから、二日、返信は来なかった。
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