実家×実家


【妻のターン】


修ちゃんのトリプルアクセルを見届けた後、実家へ到着した。


「おかーさーん」


「あらあら、よく来たわね理佳さん。あらー、凛ちゃん、おっきくなったわねー!おとーさーん、美幸ー!理佳さん来たわよー!」


お義母さんがそう言いながら、抱きしめんばかりの手厚い歓迎をしてくれる。


やはり、実家(夫の)は、いい。こんなに暖かい家族に囲まれて、私は幸せです。


「エヘヘ……お世話になりーー」


!?


「な、なんであんたが……」


「……それが母親に言う言葉かしら!」


鬼のような形相で、実の母親が腕組みをしていた。


「な、なんで!? 知らせてないよ!」


 なぜか修ちゃん実家の玄関に仁王立ちしている産みの母。


「あんたって子は……修君が電話してきてくれたのよ! 『理佳をよろしくお願いします』って。なんて、しっかりした義息子なんでしょ」


 なんて空気の読めない夫だろうか。


「理恵さん、そんなに大した息子じゃないですよ」


 そーだそーだ!


「和子さん! あなたは修君の偉大さがわかってないんです!」


 ガッとお義母さんを掴んで、凄い形相で迫る。


「和子さん!」


「は、はいっ!」


 バッ!


「本当にありがとうございました!」


 土下座――――――――!?


 産みの母親が土下座した―――――!?


「り、理恵さん!?」


「絶対に離婚すると思ってました……でも……でも……こいつが結婚しなかったら一生家にいると思うと……一時でも解放されたかった……だから、騙されているとは思いながらも、結婚させてしまいました」


 め、めっちゃ邪魔者扱い。


 なんと失礼な母親だろうか。


「……」


「でも……こんなどうしようもない性格破綻者を……修君は……うううっ」


 な、泣きだしやがった。


「……理恵さん」


 バッ!


「こちらこそ、本当にありがとうございました!」


  土下座返し――――――――――!?


「か、和子さん!?」


「あんなにモテなかった息子が……こんな美人な妻をもらうなんて、正直思っても見ませんでした! 小学校6年生の頃、妹がいたずらでバレンタインデーチョコを郵便ポストに入れといたら、誰もいないときに息子が隠れて取って、見つからないように食べていました……私は……その時思いました。『ああ、この子は、一生結婚できないんだな』って」


 エライヘビーなモテない話が出てきた――――――!?


 というか、美幸ちゃん酷い――――――!?


「いや、いやいや和子さん」


「いやいやいや、理恵さん」


「いやいやいや」


「いやいやいや」


           ・・・










 ……子どもって、なんだろう。

 



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