結婚式(2)

【花嫁のターン】


 午後8時30分。


「うーっ、やっと終わったぁ」


 やっぱし、肩こるなぁウエディングドレスは。


「あんた……こんな時ぐらい甲斐甲斐しく『お父様、お母様、今までありがとうございました』とか言えないわけ?」


 母親がいつも通り隣でガミガミ。お父さんはソワソワ。


「自宅から近いし、いつでも会えるし」


「そーゆー問題じゃないんだけど。ほんとよかったわー、あんたみたいな不良娘が、あんなまじめでいい人に売れるなんて」


「……言っとくけど、私、結構モテますから」


 全然、引く手数多なんですけどー。


「当り前よ! 私が超かわいく産んであげたんだから。残念ながら人格はお父さん似だったから」


「……私が言うのもなんですが、お母さん似だと思うよ」


「嘘おっしゃい! どこをどう育てばそんな風になるのか、私に説明してみなさいよ」


「ええわかりました。お母さんから毎日毎日ガミガミ言われて育てられて私はこんな風に育ちました。本当にありがとうございました」


「まっ……ああいえばこういう……おぞましい。親の顔が見てみたいわ」


「よく見てください! ここは、鏡の宝庫ですから。よく映りますよあなたのお顔が」


「やめなさい! 理佳も母さんも。みんな、見てるじゃないか!」


 お父さんの声で、試合終了。


 まあ、こんな憎まれ口のたたき合いも今日で終わりかと思うと……非常にせいせいする。


 そんな時、親友の真奈が来た。


「あら、理佳―。相変わらず、外見だけはいいわね。綺麗綺麗」


「し、失礼……」


 来て早々花嫁に対してなんたる口ぶり。


「……ところで、さっきからしきりに修君から『理佳はいるか?』って電話がかかってくるんだけど」


「フフ……さすがは私。愛されてるわー」


「……なんかしたでしょアンタ」










 ギクリ


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