創造する日

 数日前、『ママ』と揉めた娘がいるらしい。

 その奇妙な噂は、亡者達の楽園……『家』中に、恐るべき速度で拡散されていた。『ママ』といえば、この『家』に君臨する絶対の女王。『家』の法、経済、食料や寝床、インフラの供給、それら一切を取り仕切っている。個性の豊か過ぎる亡者の女達も、彼女の存在によって秩序を保っているのだ。

 そのママと、揉める? 普通なら畏れ多くて思いつきもせぬ。一体何を考えているというのか? 右目の白目部分に漢数字『一一一』のタトゥーを施した女……イル・スカルアールはその晩、練習スタジオと化した廃墟ビルの一室で、日課であるギター練習をしながら考えていた。

 スカルアール? 聞き慣れぬ響き。然り。イルのようにふたつに分かれた名を持つ女は、そう多くない。彼女らは同じ『家』の家族であり、旧世界の人類が持つようなファミリーネームなど必要無いからである。家族番号シリアルナンバーをもじった、ママ、そしてこの『家』唯一最大のマッドサイエンティスト『先生』より与えられし名前……通称ボディネーム。それさえあれば問題なく過ごせる。

 イルで言うならば、前半にあたる『イル』部分がボディネームに該当する。では、後半に鎮座する『スカルアール』とは? それは、彼女が自分で考案し、命名した名。即ち、マインドネームである。

 マインドネーム。それは、己を誇示するために背負うもうひとつの名。普段は使わぬが、ここぞという時に名乗るもの、とされている。

 マインドネームを持つ者には、自己主張の非常に激しい者が多い。このイルも例外ではない。亡者で構成されたシンフォニックブラックメタルバンド『人造救世主』のリーダーにしてギタリストであり、『邪神から呪わしき爵位を与えられし女』である彼女は、まず見た目からして自己主張の塊である。深紅のコルセットの上から、チェーンの多く付いた黒い革のロングコートを着用。首から提げているのは、人間のされこうべをかたどったシルバーネックレス。指にはめているのも、ゴテゴテとした髑髏のリング。

 そして何より注目すべき……いや、注目せざるを得ないのは……その顔全体に施されし、頭蓋骨を再現したタトゥーであろう。髑髏伯爵スカルアールのマインドネーム通り、遠目に見れば長髪の骸骨にしか見えぬほど完璧な仕上がり。無論、イルが望んで彫ってもらったものだ。これでギターまで振り回すのだから、イルを軽く見る女などいない。凶悪な狩人として、クレイジーなギタリストとして、旧世界邪神に仕える伯爵として、彼女は一部亡者から絶大なリスペクトを受けていた。

 しかし、彼女は一方で計算高い女でもある。彼女やその仲間達は、確かに狂気めいたパフォーマンスをステージで繰り返している。瓶詰めした血液を飲む、メイドの体を解剖しながら演奏、客席に内臓を放り投げる、ライブに小型の異形生物を持ち込み生きたまま喰らう……しかしパフォーマンスはあくまでパフォーマンス。イルを中心に日々地獄車めいた悪魔的PDCAサイクルを回しながら提供している、商品としての狂気なのだ。本当に超えてはならない一線を、彼女達は知っている。その超えるべからざるラインのひとつが、ママ批判、あるいはママへの反抗である。

 側面に棘の生えた、やや大きめの改造変形エレキギター。異形の骨から作ったピックがその弦を弾く度、電気信号と化した音がギターシールドを伝わり、イルのうなじに開けられたシールドジャックに、そして肉体内蔵ギターアンプに届けられる。彼女が大きく口を開けると、その口から歪んだ爆音が鳴り響いた。高速トレモロギターリフを弾きながら、イルは考えた。

(まずもって、ママが誰かと揉めるという図が想像できん)

 ママ自身は、争い事を好む性格ではない。新入りも古参も分け隔てなく、子供を相手にするような接し方をし、声を荒げたりキツい言い方をしたりするところは基本的に見たことがない。

(ママに喧嘩を売ったという可能性の方が高そうだが……そうなると今度は喧嘩を売る材料が思いつかん)

 そう、ママは独裁者であるが、その独裁体制に不満を持つ住人というのがあまりいないのだ。涼しい部屋、冷たいシャワー、美味い料理、酒、博打、女。カネさえ出せば何でもある。そのカネも、肉体に改造を施された女達ならば、調達するのはそう難しくない。

 加えて、極めて大きな成果を上げた者に供される、ママの母乳。あれをママの乳から直接飲む悦びを知ってなお、彼女に反抗したいなどと考える者がいるはずもない。仮にママの支持率を調査したとすれば、九割など軽く超えるだろう。

 そんなママに危害を加えたり、本気で嫌な思いをさせたり……そんなことをした日には、まずママを狂信的に支持する一派が黙ってはいない。イルがステージ上でそれをやった日には、無理矢理引きずり降ろされ集団暴行を受けた挙げ句その場で脳を破壊されるくらいの事態まで想定できる。それくらい血の気が多く、またママを愛している者も確かに存在するのだ。彼女らの存在を考慮せずとも、ママを叩く行為が聴衆にウケるとは考えられず、逆にただの嫌な奴だと思われる可能性の方が高い。費用対効果の釣り合わぬ、余りにも危険な行為。

(だとすれば奴は、相当ロックな奴か……あるいは、相当の馬鹿か)

 絶望を想起させるギターソロを弾きながら、イルは苦々しい顔をする。

(いずれにしても営業妨害だな。そんな奴が頻発すれば、我々のパフォーマンスが陳腐に見られかねん)

 ママの料理がまずいと文句をつけた、らしい。ママの秘密を知り、それをネタに強請ろうとした、らしい。ママが実は裏で何かを独占し、暴利を貪っているのを糾弾しようとした、らしい。その晩以来、何かを準備しているようにも見える、らしい。あの奇妙なチーム『司書の会』から、何らかの書物を買った、らしい。女と寝ているわけでもないのに一日中部屋から出てこない日があった、らしい……。

 憶測に憶測を重ね尾ひれと背びれと手足と性器をつけたような話ばかりが流れてくる。何が真実か、どれも真実でないのか。分からぬが、とにかくあまりにも悪目立ちが過ぎる。諌めてやらねばなるまい。同じマインドネーム持ちとして。そして、呪われし伯爵として。

(あまり調子に乗るなよ……ドド・モモ)

「おーい」

「何ッ!?」

 その時である。イルの背後から、ハスキーな女の呼び声が聞こえたのは。イルは演奏を止め、咄嗟に振り向く。ドアの外れた練習スタジオの出入口から、こちらを覗いていた……異様に縦長い、迫力に満ちた女のシルエットが!

「呼んでんだぜ、何度も」

 メートル法に換算して二メートルはあろう。修道服に指抜き手袋、ブーツの女。その修道服というのも、ただのそれではない。胸元や肩から先が異様に露出され、スカートにはほとんど腰の辺りまでざっくりと開いたスリット。ヴェールからこぼれ落ちた前髪が、彼女の顔を左半分覆い隠し、そのまま腰辺りまで到達している。その格好自体が、彼女の自己主張の激しさを物語っていた。

(馬鹿な……ドド・モモ!?)

 ……そう! イルの目の前にいたのは、その奇妙な噂のまさに当事者! ボディネーム、モモ! マインドネームを頭に持って来て、ドド・モモ!

(何故ここに!? いつの間に!? いつからいた!?)

 様々な疑問が同時に沸き起こる! これから灸を据えに行こうと思った相手に、後ろをこうもあっさり取られるとは、何たる不覚か! そのショックが、イルにモモを必要以上に巨大に見せた!

「なぁ、今いいか?」

 モモが再びその口を開きながら、スタジオ内にずいずいと侵入する! モモが一歩近付くごとに、その体躯が、その雰囲気が、イルを圧迫! イルは思わず一歩後ずさった!

(そう……この感じ……音源を聴くだけでは絶対分からん『生』の圧倒的迫力、目の前にした者だけが分かるアトモスフィア! この距離で対面するのは初めてだが……ワタシには分かる! コイツ……タダモノではない!)

「いいかって聞いてんだぜ、爆音出し過ぎて耳聞こえてねぇのか?」

 見た目には一切変わりない無表情だが、明らかな返事の催促! 苛立っているとでもいうのか!? まずい、この女を相手に、無駄なヘイトを蓄積するのはまずい!

「あ、ああ、すまん。聞こえている。驚いただけだ、急に後ろにいたからな」

 イルはなんとか平静を保ち、返事をした。ここで踏ん張らねば、あっという間に押し負けてしまう。そんなことは、このマインドネームと骸骨タトゥー、そして邪神より与えられし伯爵の位が許さない。

「ずっと呼んでたって言ってんだろ」

「ああ、そ、そうか……それで、ドド・モモ。この呪わ――」

「あー、悪いけどさ。あんま気安く呼ばねぇでくれっかな、マインドネーム」

「何ッ、す、すまん」

 またしても一手ミスしたか! まさか呼ぶだけで不興を買うとは! やはりボディネームより先にマインドネームを持ってくるだけのことはある、並々ならぬこだわりがあるに違いない! その誇り高き名を簡単に口にするなということか! まさに旧世界宗教の唯一神が如き尊大さ!

 しかし平静を取り戻さねば! なんとか互角以上に戻すのだ! ここで負けを認めてしまえば、バンドの未来が危うい! イルはクールさと気迫を込め、モモに鋭い視線を飛ばす!

「……そ、それで? この呪われし伯爵、イル・スカルアールにいかなる用だ」

「オウ、あのさ。ちょっと手ェ貸してくんねぇかなと思って」

(て、手を貸す、だと!?)

 イルは思わずおののいた! 手を貸す、とは、つまり何かを手伝ってほしいということか!? 相手はあのママと言い争ったという女! それが今宵手伝ってほしいこととは、まさか!?

「な、何をだ?」

「ああ、ちょっとママの鼻を明かしてやりたくてさ」

「ママのッ!?」

 思わず口に出してしまった! 否、そんなことより! やはり! この女は今、ママへの反逆を明確に企てている! やはり噂は本当なのか!?

「ああ、ぎゃふんと言わせてやんなきゃ収まりがつかねぇからさ。あっちこっち走り回って準備したんだよ。ママに対抗するために」

 ここまで平然と謀反を口にした者が、この『家』に今までいただろうか!? 実現可能性は検討したのか!? あまりにもクレイジーが過ぎる……確かに自分達も最高にクレイジーな集団だが、それと比較しても!

「ま、待て」

 イルの呼吸が緊張から荒くなる。汗まで流れてきた。

「仮にワタシがお前の企みに加担したとしよう。それはワタシにとって何の得があるというのだ。邪神に仕える伯爵だぞワタシは、誰にでも恭順するわけにはいかぬ」

 イルはなんとかその台詞を絞り出した。モモは一度首をかしげた。

「よく分かんねえけど……まぁ、流石にタダじゃやってくんねぇか。多少は払うよ。それにお前にもある程度はウマい思いさせてやれると思うけど。なんつったって本気で準備してるしな」

(う、ウマい思い!? 本気で準備!?)

 平然としたその言い方……しかし、その話の内容はあまりにもとんでもない! 協力すればウマい思いをさせる!? クーデター後の政治形態に関する具体的な計画まであるというのか!?

(何たる狂人の戯言! しかも奴、これだけ大それたことを言う割に、動揺や緊張が全く感じられん! まるで……)

 そう、まるで! 必ずそれが成功すると信じているかのように! イルはモモの持つ一種のシリアスさに、ほとんど押し潰されそうであった! しかしここでモモが更に言葉を続ける!

「まぁ、手伝いたくねぇならいいよ。こっちも別のやり方考えっから」

(べっべべべべべ、別の!?)

 飴と鞭! その残虐なやり方に、イルは恐れおののいた! これは交渉ではなく、武力を背景にした脅迫へと既に変わっていたというのか!? 立っているのがやっとのイル!

「悪いけどさ、この場ですぐ決めてくんね? 来るか来ないか。向こうで何人か待たせてんだよ」

 そこにモモがダメ押しの一撃! 何人か待たせている!? 既にクーデターの仲間まで揃えたというのか!? あのチームを組まないことで知られるモモが!? それだけ今回の計画はシリアスだというのか!

 そして、即決を迫るこの態度! この場にバンドメンバーがひとりもいないのが悔やまれる! ここで断った結果、モモがどれだけ非道な手段に出たとしても! 目撃者はひとりもいないのだ!

 いっそ戦うか? 武器はある。このギター。異形を相手にする時のように、棍棒代わりに振り回して殴るか。否、Y軸上のディスアドバンテージが大きすぎる。なにせ相手はデカいのだ、見た目で圧倒されるほどに。一撃で頭を砕かねば、来るは反撃。しかもその頭はかなり高い位置。明らかに不利。『アレ』を用いるか? しかしアレが有効なのは基本的に異形相手だからである。痛覚も無い亡者相手に放ったとて、無意味も無意味。万事休す!

「……なぁ」

 しびれを切らしたように、モモが選択を迫る。イルは奥歯をギリと噛みしめた。最早、自分が生き延びる道はひとつしかない。

「……分かった、ついて行く」

「お、助かる。じゃあついて来てくれ、そのギター持ってさ」

 とにかく、今は従うしかない。笑う者もあるかもしれぬが、命あっての爵位。イルは言われるがまま、ギターをハードケースにしまい、モモの後を歩いた。

 どうするのが正しい? 隙をついて逃げ出し、ママにこれを報告すべきか? しかしモモには仲間もいるという。今も自分を陰から監視しているかもしれない。怪しい動きを取ればどこから制裁が飛んでくるか。そう考えると迂闊には動けない。たまたま通りかかった女に助けを……期待はできない。大体の女が飲んでいるかヤっているような時間帯だ。

 いくつか階段を下り、廃墟ビルを出る。そして連れて行かれるのは、より『家』から遠い場所にある、また別の廃墟ビル。

「こん中な」

 割れたガラスを踏みしめながら、モモはずいずいと中に入っていく。イルも恐る恐るそれに続いた。

(やはりビルを根城にしているか)

 ……『本の柱』『遊戯の塔』等、ママが所有権を主張している建造物でない限り、基本的に廃墟ビルは誰のものでもない。そのため、『家』でできないようなことをしようとして勝手に占拠する者は多い。夜間の楽器演奏、秘密会合、いつもと違うプレイを求めて……大抵は使ってもビルの一室程度であるし、それで何らか揉め事が起こったという事例もないので、特に問題にされることもありはしない。

(まさかクーデター組織が育っているとは、ママも夢にも思うまい)

 何も知らずに今日もバーカウンターに立っているであろうママを想像しながら、イルは心の内で嘆いた。モモはイルの様子を気にもしていない。一階の廊下を少し歩くと、奥にあるほとんど外れかけのドアを開けた。

「ここだ」

 力無く軋む蝶番の音と共に、イルの目に飛び込んできたのは。古びた木の椅子を並べ、何かを囲むように座る三つの人影。そして……まさか、部屋の隅にいるのは、異形生物!? それも、レベル3はある!

(……これが、モモの謀反仲間!?)

「お、やっと来たか」

 そう言って最初にイルを見たのは、銀髪にボンデージドレスの女。マゾヒズムめいたこだわりを感じさせる、全身のあちこちに巻かれた革のバンド。逆にサディズムめいているのは、彼女の腕。甲殻類めいて硬質化し、無数の棘が生え、更には小さな刃物まで埋め込まれている。

「……『腐肉食系女子スカベンジャー』……キキ!」

「私その呼び方嫌いなんだよ」

 家族番号シリアルナンバー二桁台の古参にして、極めて計算高い狡猾な女だと聞いている。以前から繋がりは噂されていたが、まさかクーデターにまで参加するとは。この女が仲間に加わるほどに成功の見込みがあるというのか、この戦いには?

「あ、伯爵ぅ、元気? いつも曲聴いてるよー」

 そして、ポニーテールにシルクハットの女。猛獣使いめいた赤コートに、黒のミニスカート、網タイツ。胸の谷間に『一二六』のタトゥー。ライブで何度も見ている。そうでなくても、彼女を知らぬ者はいない。家畜化した異形を用い、他所の『家』と交易する仕事をママから任された女。

「イヅル、だと……?」

「イヅル、だよ……? とりあえず座ったら?」

 イヅルは手ぶりで空いた椅子に座るよう促す。イルは恐る恐るそこに腰掛けた。部屋の隅でじっとしている化物は、つまりイヅルのペット。落ち着いて見れば、あの筋肉質で妙に頭のデカい生き物には見覚えがある。シロとかいう名前だったか……しかしまさか、物流まで既に掌握済みとは。どれだけ周到な計画だったのだろう。ママとの喧嘩は、開戦のきっかけに過ぎなかったのかもしれない。

 ところが、それだけでは終わらぬ。先程から黙ったまま薄汚れた本を読んでいる、もうひとりの女。その存在がイルを最高に驚かせた。

(……こいつは!)

 肩まで届く、黒くパーマがかった髪。ところどころ白のメッシュも入っている。目の下にはくっきりとしたクマ。首には生々しい縫合跡。縦に線の入った黒いセーターが、ママの次に大きいと言われる胸を強調する。膝の破れたジーンズ、そして足元に置かれた巨大チェーンソー。

(『家』随一のシリアルキラー……イロハ!? まさか、まさか、亡者最強の狩人を味方につけていたとは)

「さてと。役者は揃ったな、始めっか」

 イルが小さく震えている間に、モモはそう言うと、イロハの手から古びた本を奪い取った。イロハは抗議することもなく、モモの次のアクションを待っている。

「基本的にはこの本の通りにしたからさ、あとはもうイルにちゃちゃっとやってもらってちょっと待ったら完成だと思うんだけど」

 イヅルが拍手をした。部屋の隅の怪物がそれに乗り、「いぃー」と笛めいた声で囃し立てる。それ以外の女は特に続かなかった。しかし、完成? モモ達は何かを作っているのか? ここでイルの意識は、初めて目の前の奇妙な物体に向いた。何だ、この……縦長い直方体の、錆びた、金属箱は……?

「じゃ、イル。ちょっと頼むわ」

 イルが訝しんでいる間にモモはそう言った。そして、金属箱の側面にある取っ手に手をかけ、冥府の扉めいてそれを開く。その中に存在したのは……!

「何だ、これは……?」

 それは、あの荒野をうろつく化物の死骸に相違なかった。大きさを見るに、レベル1だろうか。それがいくつかのパーツに無残にも切り分けられ、細い糸で緊縛され、上方に設置されし目の細かい網からぶら下げられている。既に血などは出ておらず、死後それなりの時間が経過しているように見えた。

「すごいでしょ? モモがママに対抗するために何日もかけて準備したんだよ」

「変なトコでこだわるよな、モモ……まあ、私も見れるモンなら見てみてぇよ。この鮮度落ちた肉が生まれ変わる瞬間ってのをさ」

「生まれ……変わる……!?」

 イヅルの、そしてキキのその言葉。イルはその意味が完全に理解できたわけではなかったが……思い出したことがある。然り、キーワードは『生まれ変わる』。イルが『人造救世主』の冒涜的歌詞を考える際に読んだ書物の……『玩具修理者』に関する記述。

 命を失った者に知性ある亡者として新たな生を与える、『家』でいう先生のような人物。それを、かつて一部の生者は『玩具修理者』と呼んだそうだ。先生のやり方は科学的インスピレーションに基づくそれだが……科学に依らぬ、呪術的なやり方でそれを成し遂げた邪悪な玩具修理者もいたという。

 改めて目の前を見る。この明らかに不吉な行為。どう考えても呪術的要素を孕んでいる。そしてモモが持つ古びた書物。

(馬鹿な……しかしそれしか考えられん……!)

 まさか彼女らは……死んだ異形生物を生まれ変わらせ……使役する儀式を執り行おうというのか!?

 だとすれば、それは既に狂っているなどという次元を超越している! 玩具修理者の真似事をするということは、先生に成り代わろうとする行為に他ならぬ! ママだけでなく先生まで蹴落とすつもりだと!? 否、それ以前に! その行いは最早神の領域……!

 イルはその発想に宇宙的恐怖すら覚えた! 自分達が送っていた享楽的日常の薄皮一枚、壁一枚隔てた隣! そこで、このような冒涜的行為の準備が繰り広げられていたなど!

 イルは認めざるを得なかった。彼女らは最早、狂ったテロリスト等という陳腐な言葉では形容できぬ。自分達のバンドが今までやってきたパフォーマンスなど比ではない。これから何が始まる? 何が終わる? 沈痛な面持ちで、イルは目の前の呪術的物体に畏怖するしかなかった。

「……じゃあ、イル」

 モモが無慈悲に宣告した。

「最後の仕上げにお前が必要なんだ、頼むな」

 ここでようやく、イルは自分が何故呼ばれたのか理解した。そう、イル・スカルアールは邪神伯爵。儀式を完成させるため、口にするべからざるものへの祈りを届けるため。『ギターを通して邪神と通信している』と謳う自分が必要だと。彼女らはそう考えたに違いない。

(だが……嗚呼、だが! ワタシが知るわけないだろうそんなの!)

 あくまで『人造救世主』はアート、あるいはエンターテインメントとしての狂気を提供する集団である。邪神の存在を心の底から信じているわけではないし、神々に生贄を捧げたくて臓物大展覧会を開いているわけではない。認定する者や糾弾する者がおらぬ以上、爵位とて名乗れば誰でも得られる。

「早くやってくれ。待ちくたびれてんだよ」

「イエーイ、伯爵自慢のギターが火を噴くぞー!」

 キキが、イヅルが催促をする。やはり求められるはギターか。ハードケースから取り出し、シールドを接続し、ストラップを肩から掛け……しかしここからはどうすればいい? ハッタリでもいいから何かしらパフォーマンスをやってみるか? 否、出鱈目がバレたら彼女らは何をしでかすか分からない! どうする、どうする!?


「……すまん! ワタシには荷が重い!」


 気付けばイルは椅子から立ち上がり、その場で頭を下げていた。ぽかんとした顔でイルを見る三人。イルを見てもいないイロハ。

「……何が?」

 最初に口を開いたのは、イヅルだった。

「ワタシは無力だ! 貴様らの期待には応えてやれん!」

「いやいやいや。あるじゃん伯爵、そのかっこいいギターが」

「このギターはかっこいいだけのギターだ! いくら演奏しようと、死んだものを蘇らせる力など無い!」

「えっ」

「えっ」

 どこか話が噛み合わぬ。

「あのさ、よく分かんねぇけど、なんか勘違いしてねぇか?」

 そこに割って入ったのが、モモである。

「か、勘違い?」

「いや、アタシらさ。別にお前のギター聴きたいワケじゃねぇから。ただちょっと火ぃくれたらそれでいいんだよ」

「……火?」

 イルは己のギターの尖ったヘッドを……正確に言うと、その先端を見た。旧世界自動車のマフラーめいた、金属筒を。

「ホラ、お前さ。いつもギター弾く時火ぃ出してるじゃん。アレやってくれよ」

「『焼かれよ、地獄の炎に!』ジャーン!」

 イヅルが……このメンバーの中で一番の『人造救世主』ファンが、イルの口上を真似し、『伯爵のポーズ』と呼ばれる決めポーズを取ってみせた。

「そうそう、それでさ。この、炭に。火ぃつけてくれ」

 そう言ってモモは、直方体物体の底から金属製の板を取り出した。その上には、黒く変色した木がいくつも載っている。イルは未だに状況が呑み込めずにいた。

「……あの」

「火がさ、要るんだよ。そうしねぇと燻製が完成しねぇわけ」

「く、燻製?」

 金属箱の中にぶら下げられたそれは、燻製と呼ぶにはあまりにも不細工な形であった。が、確かに言われてみれば、ママから買える燻製肉は、丁度このように糸でぐるぐると巻かれているような気もする。

「この炭についた火でさ、その上にある木のチップを炙るだろ。そしたらモクモク煙が出てくんだよ、それがこの肉を燻して――」

「……待ってくれ、整理していいか」

 やや誇らしげに原理を説明するモモを、イルの言葉が遮った。額を押さえ、目をぎゅっと瞑り、イルは続ける。

「つまり貴様ら、こういうことか? 『このワタシの邪悪なるギターを』? 『火種代わりにして』? ……『メシを食おう』と?」

「まあそんなとこ」

 様々な感情の扱い方に困ったイルは、

「ナメるな貴様ら!? この邪悪なる髑髏伯爵を! イル・スカルアールを道具も同然に!?」

 ……全てを怒りに変換し、叫んだ。

「いいだろケチくせぇなテメェ、減るもんじゃなし」

 隣からキキが茶々を入れる。

「何がケチだ、誇り高きギターだぞこれは!」

「テメェ今ただのかっこいいギターって」

「そう言わずにさ、お前にも食わすから。絶対うめぇって。アタシがこだわって作ったんだぞ、コレ見ながら」

 モモはそう言って、手に持った本をばさばさと振ってみせた。その薄汚れた表紙には、こうある。『初めてでも簡単! 完全燻製マニュアル』と。

「簡単って嘘ばっかだぞこれ。塩とかハーブとか木のチップとかこの道具とか。まず集める時点で大変だったかんな……でも絶対うめぇからさ、ほら、くれよ火」

「そんなに炎が欲しければ好きなだけくれてやるわ! 地獄の炎をな!」

 イルは怒りに任せ、乱暴にギターを一度かき鳴らした! その激情に反応するように、金属筒からゴゥと噴き出すは、炎! これぞイル必殺の武器! 弱い化物ならば焼き払い、巨大な化物であっても無傷では済まず、またライブパフォーマンスでも盛り上がる、極めて有用な機構! 炎上する『完全燻製マニュアル』! 延焼するモモの腕! キメる『伯爵のポーズ』!

「だあぁ! やべえやべえやべえ!」

 ばさばさと腕の火を消しにかかるモモ! 左腕の皮膚がめくれ上がり、焼けた肉が見える酷い有様である! イヅルは歓声と共に大きな拍手! 続いてキキが適当な拍手! イロハ無反応!

「ファック! ここまでするこたねぇだろ!」

「黙れぃ! この伯爵を散々弄んだ罪は重いぞォ!」

「何がだよ! 弄んでねぇよ!」

 モモとイルが取っ組み合いを始めたその陰で、イロハがひょいと立ち上がると……床に落ちた本の火で炭を燃やし、それを燻製器に入れ、その戸を閉めた。

「これであとは待つだけか?」

「楽しみだねぇー」

「でもかなり待つんだろ? もう飲んどこうぜ」

「そだねぇー」

 やがて燻製器の隙間から、もくもくと煙が立ち込め始める。イヅルはキキに、そしてイロハに瓶ビールを配った。彼女らはその栓を指でこじ開けると、くゆる煙と喧嘩を眺めながら、早速それを飲み始めた。

 ……そこからは、単なる宴会であった。モモとイルは落ち着きを取り戻して酒を飲み始め、そして部屋に転がる空き瓶は着実に増えて行った。途中でイロハは何度か酒を買いに『家』へ戻り、酔ったイルは旧世紀メタルの名曲をいくつか披露する即興ライブを始め、イヅルはペットの異形と共に歌い、場は盛り上がった。イルも完全に酒と音楽の世界にのめり込み、自分が旧世界のマッチかライターめいて使われたことなど忘れているようであった。

 スモークの香ばしい匂いが服に染みつき、キキが何度目になるか分からぬ「なぁ、まだか?」を言う頃……モモの判断により、ようやくその扉は開かれた。

 そこにあったのは、煙をめいっぱい受けた異形の肉。白い肌や赤い断面は、燻製特有のブラウンめいた色に変わっている。ママのそれに比べれば格段に見た目が歪であるが、そこには確かに『燻製』と呼べるであろうものが……モモ初めての料理が存在した。

 モモは焼けただれた左手から剣の切っ先を僅かにせり出させ、それを小さくカットする。切る度に煙の香りが立ち込め、彼女らの鼻をくすぐった。あまり清潔でなさそうな鉄の板を皿代わりに、モモはそれを盛り付ける。

「よぉし、食おうぜ。アタシ達の努力の結晶」

 彼女らはそれを一切れずつつまむと、ほとんど同時に口に入れ……。

「……微妙」

「なんか微妙だな」

「うーん?」

「不味くはないが」

 ……一斉に、何とも言えぬ反応をした。イロハ以外は。

「えっ、えっ、なんでだ? レシピ通りにやったのに」

 モモは大きく首を捻り、肉の一切れを睨んだ。

「いやまあ、別に不味くはないぜ実際」

「うん、おいしいかおいしくないかだとおいしい方と思うよ?」

「そうだけどよ……違うじゃんママのと全然味が」

 フォローを入れるキキとイヅル。しかしモモはなお納得が行かぬようであった。彼女らを尻目に、イロハは黙々と酒を飲み、燻製肉をつまんでいる。

「材料か? でもママが使ってんのと同じなんだろ?」

「うん、持ってきた私が言うんだから間違いないよ」

 材料を調達したイロハがそう太鼓判を押す。

「あー、それなら木かもな、私もイロハも木の良し悪しとか分かんねぇし」

 木材を拳で破砕しウッドチップを作ったキキが顎に手を当てて考え込む隣で、その木材を伐採してきたイロハはまだ酒を飲んでいる。

「いや、アタシの下準備が普通にミスったのかもしんねぇし……あぁーどこだよ、何が違ぇんだ?」

「うーん、肉によく味が染みてなかったとか――」

「漬け込んでた塩水じゃねぇかな、アレが――」

「あー、そういえば肉の干し方もあるかもな、あの時――」

 喧々諤々と反省点を挙げつつ、女達は酒を飲み、微妙な出来の燻製肉をつまむ。その様子を見ながら、イルは考えていた。どこか既視感を覚えるこの光景について。

(……そうか、まるでライブ後の我々のようだ)

 イルら『人造救世主』がライブを行った後も、こうして酒を飲みながら反省会が行われる。今日のステージングはどこが良かったか、何が悪かったか。どう改善し、次はどんな残虐パフォーマンスを行うか。時に厳しい意見も飛び交うが、それも自分達が最高に狂気的で残酷なミュージシャン仲間だという信頼があってこそである。

(ドド・モモ……貴様も最高のメンバーを集め、この燻製肉という名の楽曲を完成させ……あまつさえそのクオリティを更に高めようというわけか)

 その骸骨めいた顔で、イルはふっと笑った。

(流石はワタシと同じマインドネーム持ち……そのこだわりの強さ、まさにアーティストと呼ぶに相応しい……むッ!?)

 その瞬間! イルの頭に、突如として電流が走った!

「うおォ……ッ!?」

「えっ、何だ、どうした」

 議論を深めていた三人が、突如として大声を上げたイルに注目する。イルは取り憑かれたような笑みを浮かべながら、わなわなと震えていた。

「来たぞ……来た! フハハハハ! 邪悪なる神々が呪われしギターを通し、このワタシに冒涜的インスピレーションをもたらしたのだァ!」

「ただのかっこいいギターじゃなかったのかよ」

 ぼそりと呟かれたキキのツッコミは、アイデアの洪水に呑まれる音楽家には聞こえていないようであった。邪神に仕えし貴族のモードに突入したイルは、最早誰にも止められぬ。彼女はギターを激しくかき鳴らし、がなり立てた!

「嗚呼! こうしてはおられん! 紙を、ペンを持て! 邪神がワタシの元から退散せぬうちに! 早く!」




「ネクロマンス 蘇らす 異形の軍勢

 開かれし 黄泉の門 溢れ出す瘴気

 身に纏う 死の臭い 崩れ去る秩序

 我が名は玩具修理者 化身せし旧神」


 大広間のステージに設置されし、古びたアンプ。そこから鳴り響く轟音。フロントマンたるヴォーカル女の、地獄を口から吐き出したようなガテラルボイス。尋常ならざる速度でブラストビートを刻むドラム女。妖艶な手つきで四つのキーボードを同時に弾く四本腕のキーボーディスト女。いやに冷静に己の仕事をこなすベーシスト女。そして、耳障りなほどに高音の強調されたギターフレーズを奏でる、イル。

 これが人造救世主の新曲、その名も『玩具修理者』。自らを邪悪なる創造主であると歌い上げたその歌詞、そしてダークなフレーズの数々は、普段の楽曲群とはまた異なる、神をも恐れぬような気迫に溢れている。

 一部の熱狂的なファンの女達が、客席最前列で絶頂している。『人造救世主』のライブではよくあることだが、今日は特別その数が多い。今宵のライブは大成功だと言えるだろう。

「……どうでもいいけどな」

 モモはそう言いながら、ステージからやや離れたカウンター席で酒を飲んでいた。何故かイルからボトルで奢られた、高級な赤ワインを。ママの作った、見た目から既に美しい燻製肉を肴にしながら。

「……クソッ、やっぱこっちのが美味ェ! 何が違うんだよママぁ!」

「うふふ」

 紫のドレスを着た、尋常ならざる大きさの乳房を持つ女……ママは、口元に手を当てて意味深に笑ってみせた。

「モモちゃん、もう降参かな? あんなに言ってたのに、『できらぁ!』って」

「うるせぇうるせぇ、ママが教えてくんねぇから悪いんだぞ、燻製の作り方」

「だから言ったでしょ? お料理はママの仕事なんだから、モモちゃんは作り方なんて知らなくていいのよ」

「そこだよ」

 元々飲んでいたところに更にワインをボトルで奢られ、モモはほぼ泥酔と言ってよい状態になっていた。よりゾンビめいた挙動のモモは、ママに向かって突如管を巻いてみせた。丁度数日前、ママに一方的な挑戦状を叩き付けた日と同じように。

「いいかよママ。自由ってのはさぁ。好きな時に狩って食ってヤって寝て、そんだけじゃねぇだろ。料理がしてぇと思ったら料理をする。皿洗いしてぇと思ったら皿洗いする。ママの仕事とかメイドの仕事とか、そんなの関係ねぇ。するもしないもアタシ次第。それでようやく自由だろうがよ」

「はいはい」

「はいじゃねぇっての。ママは娘の権利を奪ってんだぞぉ、どうなんだよそこぉ」

「ママがびっくりするような料理持って来たら、モモちゃんにもお料理教えてあげるから。頑張ってね」

 モモの追及を、ママはのらりくらりとかわしていく。モモはカウンターに突っ伏して、子供のようにじたばたしてみせた。

「どうなってんだよこの世の中は! 料理ができねぇから料理教えてっつってんのにさぁ、なんで料理ができなきゃ料理教えてもらえねぇんだよ! 理不尽かよ!」

「あらあら、困ったモモちゃんねぇ。どうしてそんなに料理したいの?」

「言ってんだろぉそれも! アタシが今料理してぇ気分だから料理してぇの! 明日にはしたくなくなってるかもしんねぇけど、今日はしてぇの! 悪いかよ!」

 顔だけ上げてがなり立てるモモを見ながら、ママはクスクスと笑った。

「……でも、お友達と協力できたのは偉かったわ。よしよし」

「よしよしじゃねぇし! あと友達なのはイヅルだけ!」

「モモちゃんのワガママに付き合ってくれたんだから、ありがとうって言わなきゃ」

「付き合ってくれたんじゃなくて付き合わせたの! カネで! うぐー……」

 その時ステージ上では、バンドが新しく取り入れたスモークマシンが、白い煙を大量に吐き出していた。ボルテージの上がる観客席に向け、イルは更に炎を噴射する。

「燻されよォ! 地獄の瘴気に!」

 割れんばかりの歓声! 更にイルは、天井から吊るされているものにもその炎を向ける! 鎖でぐるぐると縛られた、生きたままのレベル2異形生物に!

「いぃぃ! いぃぃぃ!」

 体を炙られ、苦悶する怪物! キメる伯爵のポーズ! その様子は、観客をますます興奮させた! 熱狂的ファンには、耳から血を流している者までいる!

 モモは、しばらく黙ったままそれを見ていた。

「……盛り上がってんな」

「そうねぇ。ママは好きよ、『人造救世主』」

「そ。アタシは微妙かも」

 カウンターに突っ伏した姿勢のまま、モモはステージ上のバンドに対して辛辣なコメントをしていた。

「音はいいんだけど、どうもキャラが計算っぽいトコとかあるじゃん。あと邪神がどうとか地獄がどうとかってのがダサくてさ、どうも入り込めねぇ。この世の中で神もクソもねぇだろ。死んだら生き返るし、もっぺん死んだら消えるだけだ」

「そうかしら、母なる大地は見てるわよきっと、みんなのこと」

「そうかよ……あ、でもさぁ」

 モモは思いついたように付け加えた。

「ひとつだけ羨ましいと思うとこあるわ、イルに関して」

「なぁに?」

「……ものすげぇ想像力豊かなとこ。世の中どう見えてたらああいう曲作れんだろ」

 モモはそう言って、ママに燻製のおかわりを注文した。ステージ上では、哀れな異形生物が悲鳴を上げ続けている。緊縛され、終わらない煙と炎に苛まれ続けながら。まるで燻製のように。

 邪悪なる髑髏伯爵は、ステージ上からカウンター席を見た。モモと目が合う。イルはもう一度伯爵のポーズをキメた。今宵のライブに大いなるインスピレーションを与えた、強大なエゴを持つ玩具修理者に向けて。モモはふいと視線を逸らすと……またワインを飲み、燻製のおかわりを食べ、首を捻った。




 その日はとても暑かった。昨日が暑かったのと同じように。

 明日もきっと暑いだろう。

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