1#産まれたジョイが見た風船

 ぱりん。




 とある公園の、糸や針金といった人工物で無造作に造られたカラスの巣の中で7つの卵のうち、激しくうごめいていた卵の1個から1羽のボサボサ頭のカラスが産まれた。


 カラスのジョイの爆誕だ。


 「・・・・・・?」


 雛のジョイは、目の前に黄色い大きな奇妙な『卵』。

 生まれ眼が開いて初めて見たものだった。


 『卵』の真下にはへそがついていてそこから細い蜘の糸が出てて、巣にくくりついていた。


 ジョイは、大きな『卵』を不思議そうにずっと見ていた。太陽の優しい光にキラキラ輝いて美しかった。



ばさばさばさばさばさばさ・・・



かーかーかーかーかー。

「ようこそ、坊や。」


 やがて母カラスがきた。



 兄弟は食い物の催促してたが、ジョイだけその卵を見つめていた。


 母カラスはそんなジョイに言った。


 「これはゴム風船というんだよ。キレイでしょ。いいにおいでしょ。

 私もあんたと同じ雛の頃から大好きなの。あのへそのとこから空気を入れて膨らむの。

 そしてね、嘴でつつくと大きな音がして割れるの。私も何個割ったかしら?数えきれないわ。

 この巣も木の枝と私の割った風船で出来てるの 

 どう?気持ちいいでしょ。

 他のカラスの巣にはない私のオリジナルよっ! いつかあんたが飛べるようになってこの巣を離れることになったら空で風船を見つけたら嘴か脚の爪で突っついてみて。

 あの快感は病みつきになるわ

 その日まで見守ってあげる。」

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