第7話 ワンチャンある?

「凛さん、どうするんですか?」


俺たちは小屋のソファーに座っていた。エリスはさっき仕事を終えてきて(外交官をしているらしい)こちらにきている。

そのエリスが心配そうに俺に聞く。


「どうするって言われてもなぁ…。」


どうしようもない。あれだけ啖呵を切ったがいい案もないし……。反省します。テヘペロ♪


「ふざけてるんですか?」


「いやいや、割と本気で困ってる。」


「凛さんを見てるとそうとは思えません。」


エリスが頬を膨らませている。今日のエリスは皮のスカートに普通の白のTシャツを着ている。こないだと違ってカジュアルな感じだがとても合う似合っている。というより、エリスに似合わない服装なんてあるのか?

そんなしょうもない(俺にとっては割と大事)なことを考えていると


「あのう…。」


マサトがおそるおそる話に割り込んできた。


「もし良ければ魔物差し上げますけど…?」


「まじで?!」


嬉しさのあまり俺はマサトにつかみ掛からんばかりに(というより掴みかかって体をゆすっていた)マサトに聞くと


「ちょっとまて。まだ、モンスターが残っておるのか?儂のはもうおらんはずじゃぞ。」


メルトがマサトに不思議そうに聞く。


「凛さんっ、離してください。」


「あっ、ごめん。」


マサトの体を離すと、マサトは姿勢を正して


「こないだ世界樹での魔物の卵の二つが孵化したんですよ。でも、かなり時間をかけても誰の言うことも聞かなくて……。」


その卵はある爺さんの魔物たちのものだったらしい。しかし、卵が孵化する前に爺さんは亡くなってしまい、引き取り手に困っていたらしい。


それを聞き、エリスは


「そのお爺さんは色んな魔物を育ててましたもんね。」


と懐かしそうに言った。エリスは面識があったそうだ。


「そいつらに俺の言うことを聞かせれば、俺はとりあえず勝負にはなるのか。」


「そうなるが……。どうする?凛よ。」


「そいつらを仲間にしたいです。それしか今はアテがないので。」


と言うと、メルトは

「そうか。マサトや、凛をその二匹がおるところまで連れて行ってやれ。儂はこの後仕事があるのでな。」


「わかりました。ほら、凛さんこっちです。」


「おう。」


俺たちが行こうとすると


「私も行きます。まだまだ凛さんは知らないことが多いので。」


エリスもついてきた。


「大丈夫だって、マサトがいるし。」


「マサトさんがいても凛さんはまた何かしでかすかもしれません。」


「お前は俺のオカンか。」


「オカンでも何でもいいですから、ほらっ!行きますよ。」


あって間もないはずなのにやたらエリスが絡んでくるな。そう思いながら、二匹の魔物が待つ場所へ三人で向かうのであった。

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