第6話 だって人間だもの

「なんでこうなった……。」


俺は頭が痛くなった。それもこれもあいつのせいだ。それは昨日のことで……。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「で、どこの誰じゃ?儂の用意していた魔物を買収したのは。」


メルトがマサトにそう聞いた。表情からもかなり怒っているのがうかがえる。


「フォワード家の息子のヨネスだよ。うちに出資してくれているから強く出れないんだ。」


「またあいつか。こないだも薬草の買い占めなどで問題視されてたやつじゃろ。」


「俺はどうすればいいんですか?」


などと話していると、


「邪魔するぞ。」


とドアが勢いよく開けられた。


そこには、金髪で高身長、顔の整ったイケメンがいた。格好からも貴族であるのがうかがえる。その男が小屋に入るとすぐにマサトのところまで行き、


「おい、俺が貰った魔物が役に立たないぞ。」


といきなり苦情を叩きつけていた。


なるほど…こいつがヨネスか。こいつが俺のもらう予定だった魔物を買収しやがったやつだな。そのくせ、使えないと言っている。

そう思うと怒りが抑えられなかった。いきなり異世界に連れてこられて、三日ぶっ通しで勉強をして疲れていたんだろう。自分でもこの時のことは後悔しているが、疲労もあるだろうから仕方なかった。そう思いたい。


「おい、そこの金髪野郎。」


「なんだ?貴様は。」


「お前が持っている魔物を貰う予定だった者だよ。」


「なんだ、貴様が……。見るからに貧相な格好をしているな。」


いちいちカンに触るやつだ。


「お前がそこ魔物を使えないっていうなら、俺に返せ。」


そう言うと、ヨネスは


「は?何故貴様なんぞの平民に俺の魔物を渡さねばならん。」


こいつ、殴ってやろうか。そう怒りに震えていると、


「元々は儂が凛に渡すために用意した魔物なんじゃ。金は返すから返してくれんかのう?」


メルトがお願いするように言った。


しかし、


「嫌なものは嫌だ。」


ヨネスは引かなかった。この時、何かが外れる音がした……気がする。仕方ない。疲れていたんだ。過去に悪いことをした時の親父も同じことを言っていた気もするが、仕方ない。だって人間だもの。


すいません。殴ってしまいました。この時のことは後悔している。マジで。


ヨネスは立ったままだったが、体を震わせて、


「貴様……?!許さん……許さんぞ〜〜!」


ヨネスは顔を真っ赤にしながら、


「世界樹の名の下に決闘を申し込む!決闘は3日後、世界樹のスタジアムだ!」


俺もその時は何かおかしかったんだろう。


「……ああ。受けてやるよ!負けたらお前の言いなりにでもなんでもなってやらぁ!」


OKしてしまった。その瞬間空から二枚の紙が降ってきて俺とメルトはそれを受け取った。これは決闘などの誓約書で、一度交わしたら破ることはできないらしい。破ろうとすると、国から追放されるとか。


「三日後まで震えてくらすことだな。」


メルトはそれだけ言って小屋を去った。










「啖呵切るのはいいけど、魔物ないのにどうするの?」


「…………あ。」


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