タイガー〇・バーサス・ジャイア〇ツ!(3/3)
……真っ白な思考の中から、
……ようやく視界が開けてきた。
我が輩達の目の前には、金色に輝く、艶やかで長い髪と、ネコミミの付いた頭部が見えた……
キャサリン氏である。
キャサリン氏が、山田ヒロハル青少年と松本氏の間に割って入ってきたのだ。
両手を広げ、まるで彼を守るように……
突然の乱入者に松本氏はたじろぐ。
「これ以上
キャサリン氏は松本氏の頭のトラに話しかけているのだろうが、当の本人は何のことだか良く分かっていないであろう。
トラはキャサリン氏に対して、お得意のゼロ距離メンチを放つが、キャサリン氏は動じない。
そんな中、松本氏はハッと何かに気づいたように、山田ヒロハル青少年を見る。
松本氏は自身の胸に手を置き、ゆっくりと一回大きな深呼吸を挟む。
トラも、彼女の様子を伺うように制止する。
「ごめんなさい山田君。貴方の思いは、
彼女は、おっとりとした可愛らしい瞳をほんの少し吊り上げ、真っ直ぐ
山田ヒロハル青少年を見る。
「私ね……凄く精神的に辛い時期が昔あって……もう、どうでも良いって思ってた頃があったの……実は今
山田ヒロハル青少年は思う。
こんなに暗いことを言う松本氏は初めてだと……
自分の知らない、彼女がここに居ると……
「でもね、みんなの前では明るく振る舞ってた……
彼女は、自身の書いた手紙を見つめる。
「私のお兄さんの友達なんだけど、私の
しばらく松本氏は目を伏せ、風に髪を揺らし、そして、またゆっくりとこちらを見据える。
「だから、山田君
彼女は、いつも見せる慈母の微笑みを……いや、そんな幻想的な、完成された微笑みではなく。
決意を感じさせる、強い意志を持った表情を見せる。
「嫌なことばかりの生活だったから……
強く、手紙を抱きしめる。
「山田君に、こんなこと言うなんて、私は最低で自己中心的な女だけど……でも、貴方の御陰で……今までモヤモヤしてた
彼女は最後に……
「ありがとう……私なんかのことを好きになってくれて……
山田ヒロハル青少年に伝えた後に、キャサリン氏に目線を向け、軽く笑顔を作る。
そして、彼女は我々に背を向け、
走り去る。
山田ヒロハル青少年よ、追わなくて良いのか?
まだ、事情を説明して、内容によっては接吻して人類を救えると思うが?
「良いよ……もう……」
……そうか。
なら、ここまでのようだな。
人類の滅亡は、これで確定したのだ。
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