第61話 決戦の果てに⑤
(……あったけえなあ……太陽か? いや、違う……)
陽だまりのような光を瞼の上に感じ、エドワードはゆっくりと瞳を開いた。
しかし、どうも視界がぼやけている。記憶も同様だ。一体自分に何があったのか。
(……ここは……)
エドワードは、微かに首を動かして周りを見渡した。
どうやら、ここはどこかの森の中のようだ。青い空と、やたらとでかい木々。他には湖らしきものが視界の端に映る。
続けて、少し手を動かしてみた。固い手触り。これは……鎧機兵の操縦席?
(ここは、《アルゴス》の中か? なんで倒れて……?)
未だ状況を思い出せない。
と、その時だった。
「……気がついた?」
唐突に、少女の声が聞こえてきた。
エドワードが驚き、声の方へと視線を向けると、彼の傍には一人の少女がいた。
そして、エドワードは息を呑む。
(うお、おおお……こ、こりゃあ天使か……?)
思わずそう考えてしまうほど、その少女は美しかった。
雪を彷彿させる白い肌に、人形の如く整った美麗な顔立ち。
そして、光り輝く金色の髪――。
エドワードはただただ見惚れてしまった。
すると、その金色の少女――ユーリィは首を傾げて、
「……どうしたの? まだどこか痛い?」
と、尋ねてくる。
直後、エドワードは雷に打たれたように震えた。
「な、なんて可憐な声なんだ……」
「……え?」
エドワードは上半身を跳ね上げると、ユーリィの手を掴んだ。
「お嬢さん! 俺の名前はエドワード=オニキスって言います!」
「え? し、知ってる。前に聞いた……」
「ああっ、そうだった! えっと、君は……そう! ユーリィさんだった! ああ、名前まで可憐だ……」
「な、なに? あなた何を言ってるの?」
ユーリィは若干怯えた視線をエドワードに向ける。
しかし、エドワードは一切気にしない。
「いや、改めて君の可憐さを確認しているだけだ。けど、ユーリィさん……」
エドワードはそこで周囲を見渡した。
場所は「エルナス湖」。足元には大破に近い《アルゴス》。
そして遠目には《業蛇》と未だ死闘を繰り広げる僚機の姿が確認できる。
「……どうやらロック達がまだ踏ん張ってるみてえだな。しょうがねえ。まったく困った奴らだぜ。本来なら、ここで君と愛を語らいたいんだが……」
と言って、エドワードは握りしめたユーリィの手に力を込めた。
ユーリィは「うわあ、こいつヤバい奴だ」といった表情を浮かべている。
「ふっ、そんな顔をしないでくれ。ユーリィさん。騎士が戦場に立つのは宿命さ。けど、安心しな。俺は必ず君の元へ戻ってくるよ」
「……べ、別に戻ってこなくていい」
半ば本心で語るユーリィ。彼女はそろそろ本気で怯え始めていた。
エドワードとかいう少年の思考がまるで理解できない。
「ははっ、ユーリィさん。君はどこまで優しいんだ。俺に余計な心配をさせねえようにそんな口ぶりを……。さぁユーリィさん。俺の
そんなことを呟きながらエドワードはユーリィに《アルゴス》から降りるよう促してくる。ユーリィとしても正直少しでも早く離れたかったので素直に指示に従った。
エドワードはそれを見届けると《アルゴス》を起動させた。
左腕、さらには頭部、胸部装甲を失ってはいるが、《アルゴス》はしっかりとした足取りで立ち上がった。《星系脈》の情報からしてまだ少しは動けるはずだ。
「……よし! じゃあ、行ってくるよ! ユーリィさん!」
エドワードはキランッと歯を輝かせてそう告げる。続けて《アルゴス》に槍を拾わせるなり、走り去っていった。ユーリィの方はもう唖然とするだけだ。
ぽつん、と取り残された一人の少女。
そしてしばらくしてから、ようやく彼女は呟くのだった。
「……酸で、脳をやられてしまったの?」
◆
『うおおおおおおおおおおおお――ッ!』
ロックの絶叫が響く。今、彼の
『ハルト! 手を離しなさい! 地面に叩きつけられるわよ!』
アリシアの鋭い指示が飛ぶ。ロックはギリと歯を軋ませた。
もはや限られた武器の一つをこうも容易く奪われるとは――。
『――くそ!』
しかし、背に腹は代えられない。《シアン》は斧槍から手を離した。
途端、青い機体は地を転がる――と、その隙を大蛇は見逃さなかった。
突如尾を大きく振り上げ、横たわる《シアン》の背中に叩きつけた!
『ぐわあッ!』
ビキビキビキビキ――
鉄塊にも等しい尾の一撃に、地表には亀裂が走り、《シアン》は土に沈み込む。
『ハ、ハルト!』
『大丈夫!? ハルト!?』
悲鳴を上げるサーシャとアリシア。
すると、ロックは呻きつつ、『だ、大丈夫だ……』と返してくるが、
『……しかし……くそッ! 今ので機体の背骨をやられた! 俺はもう動けん!』
鎧機兵の構造は人間に近い。ゆえに背骨は最大の急所の一つだ。ここを砕かれてはもう立つことも叶わない。すなわち、この時点でロックは戦闘不能となったのだ。
邪魔者が消えたところで《業蛇》は悠然と斧槍をかみ砕く。
そして、パラパラとこぼれ落ちる斧槍の破片には目もくれず、続けて《業蛇》は白い鎧機兵――《ホルン》に狙いを定めた。
もはや、武器を持っているのは《ホルン》のみ。
すでに《業蛇》は蛇体を地中に隠そうともしていなかった。
「シャアアアアアアアアアア―――――ッ!」
そして轟く大蛇の咆哮。
《業蛇》は鎌首を揺らすとアギトを大きく開き、《ホルン》に襲いかかる。
それに対し、《ホルン》は反射的に剣を縦に構える――と、
――ギシリッ!
一体何の偶然か、まるでつっかえ棒のように大蛇のアギトに納まったのだ。
『――くッ!』
サーシャが呻き、そして《ホルン》はどうにか剣を引き抜こうとする。この剣は最後の武器だ。ここで失う訳にはいかない。《ホルン》は両腕に恒力を集中させた。
しかし、その時――。
『ダメよ! 逃げなさいサーシャ!』
アリシアが一喝する。が、サーシャはそれでも躊躇った。
『け、けど、アリシア!』
『いいから! その体勢はまずい! くッ! こうなったら!』
と、アリシアが叫んだ直後だった。
――ズガンッ!
突如、雷音が響く。アリシアの《ユニコス》が《雷歩》を放ったのだ。
しかし、それは《業蛇》に攻撃するためではない。《ユニコス》は《ホルン》の腰にタックルしたのである。そして突進の勢いのまま、宙を飛ぶ二機の鎧機兵。
『ア、アリシア、一体何を――』
と、サーシャが悲鳴を上げた――直後、寸前まで《ホルン》がいた場所が、白い濁流に呑み込まれた。《アルゴス》を溶解させた《業蛇》の《強酸の息》だ。
サーシャの顔からみるみると血の気が引く。
もし、あと一瞬でも遅ければ――。
アリシアの英断には感謝しきれない。が、そこで安堵するには早計だった。
『くッ! しまった!』
アリシアが舌打ちする。
彼女の愛機・《ユニコス》の右足がわずかに逃げ遅れ、《強酸の息》に呑み込まれてしまったのだ。《ユニコス》の右足がドロドロと溶けていく。
そして二機は絡み合うように地面に落下した。
『そ、そんなアリシア! 大丈夫なの!?』
『くう! 右足を持っていかれた! サーシャ! 奴の追撃が来るわ! あなただけでも逃げなさい!』
『そんなこと出来る訳がないでしょう!』
言ってサーシャは《ホルン》を動かし《ユニコス》を抱き上げようとする――が、
『――あ』
思わず小さな声がもれる。
いつの間にか、《業蛇》がこちらを睨みつけて、アギトを開いていたのである。
その口腔には大量の泡が渦巻いている。それは《強酸の息》の前兆だった。
(これは――躱せない)
そう悟ったサーシャは《ホルン》を《ユニコス》の上に覆いかぶせた。
『――サーシャ! 何やってるのよ! 逃げなさい!』
『アリシアを放っておけないよ! それに私の《ホルン》には《天鎧装》がある! もしかしたら耐え切れるかも――』
『お馬鹿! 何言ってるのよ! アッシュさんいつも言ってたじゃない! 《天鎧装》を過信するなって!』
『だけど! このままだとアリシアが――』
と、少女達が言い合っている間にも《業蛇》は二機に狙いを定めていた。
すぐに攻撃しないのは、この一撃で終わらせるためだ。《業蛇》は最大威力を以て二機を溶解どころか粉砕する気であった。
そして、大蛇の喉元が限界まで膨れ上がった――その瞬間、
――ゴウッ!
一条の光が、空気を切り裂いた!
その閃光――投擲された槍は《業蛇》の膨れ上がった喉元に突き刺さり、そのまま突き破ると湖面の中央辺りまで飛翔したところで失速し、水の中へと消えていった。
「シャアアアアッッ!?」
突然喉元を貫かれ、大量の酸を吐き散らしながらのたうつ蛇。
サーシャとアリシアは呆然としつつ、閃光が撃ち出された方向へと目をやった。
すると、そこには――。
「はン! 蛇野郎が! これで借りは返したぜ!」
左腕、更には頭部、胸部装甲を失ってなお戦場に立つ《アルゴス》の姿があった。
『オ、オニキス!』
『あ、あなたもう大丈夫なの!』
サーシャ達が声をかけるが、エドワードはそれらには答えず後ろを向いて、
「どうだい、ユーリィさん! 俺の雄姿を見てくれたか!」
と、大樹の近くに立つユーリィの方ばかりを気にしている。
呼び掛けられた少女本人は困惑――と言うより、露骨に怯えていた。
サーシャとアリシアは状況が分からずポカンとする。と、倒れたまま動けない《シアン》から、ロックの声が響いてきた。
『……エド、お前、また悪い病気を……』
「うっせえよロック! 今回ばかりはマジ中のマジだ!」
そんなロックの台詞を一蹴してから、エドワードは《業蛇》を睨みつけ、
「さあさあ、蛇野郎! 俺の幸せな未来のためにもお前にはここで死んでもらうぜ……って、ん? お、おい、《アルゴス》?」
突如膝をつく《アルゴス》。恐らく先程の一撃ですでに限界が来ていたのだろう。
そのまま沈黙して動く気配がない。
「お~い、《アルゴス》さん? う、うそだろ!? 俺の活躍これで終わり!?」
エドワードが愕然とする。と、次々と仲間達が声をかけてきた。
『……やはりお前はここぞというところで締まらんな』
『あ~、やっぱりオニキスはオニキスか』
『ま、まあ、おかげで助かったんだし。みんなそれぐらいに、ね?』
と、最後にサーシャが優しい言葉で締めた。
ともあれ、これでエドワードも戦闘不能。さらに言えば、アリシアの《ユニコス》の方も右足を失っているため、もはや戦闘不能だ。
これでまともに戦える鎧機兵は、サーシャの《ホルン》ただ一機。
サーシャは、ようやくのたうちまわるのをやめた《業蛇》を睨みつける。
そして《ホルン》をゆっくりと立ち上がらせた。続けて《業蛇》を警戒しつつ、各自動けない仲間達を巻きこまない位置に移動する。
『……サーシャ……』
『くッ、すまない、フラム』
「悪りい、何も役に立てなくて」
一人で挑むサーシャを案じて仲間達が声をかけてくる。
それに対して、サーシャは微笑みで返した。
『……大丈夫だよ。私――勝つから!』
そして、主の声に合わせて《ホルン》は胸の前で両の拳を叩きつけた。
訓練中、何度か見た師の仕種だ。ただそれを模倣するだけで勇気が湧いてくる。
状況は極めて不利だ。仲間達は倒れ、武器も尽きている。
しかし、サーシャの闘志は消えない。動ける限り絶対に諦めない。
『――行くよ! 《業蛇》!』
そして《業蛇》に向かって一歩踏み出そうとした――その時だった。
ガガガガガガッガガガガガッガガガガガッガ――ッ!!
唐突に鳴り響く轟音。全員が息を呑んだ。
それは砂塵を巻きあげ、地に火線を引きながら《ホルン》の元にやってくる。
そして、白い鎧機兵の前でピタリと止まった……。
『な、なに? 一体何が……』
砂煙が舞う中、サーシャは瞳を細めて、突如現れたそれを見つめ、
『……え、こ、これって――』
サーシャは目を疑った。
今、《ホルン》の前で地に突き刺さったままそびえ立つそれは一振りの剣。
峰で地を削ってここまでやってきた、神々しいまでの輝きを放つ大太刀だった。
何故、こんなものがここに……?
誰もが困惑したが、サーシャの行動は迅速だった。
即座に大太刀を引き抜くと、《業蛇》に対して正眼に構える。
「シャアアア……」
大蛇は警戒した。が、所詮は最後の一匹。すでに勝敗は決まっている。
そう判断し、《業蛇》は一気に勝負に出た。
最も得意な攻撃――すなわち、アギトで喰らいつくために鎌首を大きくもたげる。
そして――。
「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア――ッ!!」
雄たけびを上げて《業蛇》が牙を剥く!
対し、《ホルン》はそれを真正面から受け止めた。体重差から《ホルン》は後方に押しやられたが、左腕の円盾をかざし《業蛇》の牙を防ぎきる。
牙は盾に食い込んでいた。これで《業蛇》は身動きがとれない。
しかし、大蛇はこの状況も想定していた。この状態では動けないのはお互い様だ。
だからこそ、《業蛇》は必殺の《強酸の息》を放とうとしていた。
――が、
『これで終わりよ。《業蛇》……』
サーシャが歌うように囁く。
そしてその直後、《ホルン》が左腕を外に払った。すると、ガコンッと音が鳴り円盾が腕から外れる。《ホルン》の円盾は脱着可能なのだ。
想定外の事態に《業蛇》の反応は遅れる。その隙に《ホルン》は流れるような足さばきで横に回り込む。すでに大太刀は上段に構え直していた。
そして、無防備となった《業蛇》の首めがけて――大太刀を振り下ろす!
――ザンッッ!
とても、とても静かな斬撃音が響いた。
仲間達は眉根を寄せる。
刃は振り抜かれたように見えたが、あまりにも静かすぎる。
果たして大太刀は《業蛇》に届いたのだろうか。
と、全員がそう疑問を抱いた時、
――ズズズッ。
不意に《業蛇》の首がズレた。そしてそのまま頭部が地面にズズンと落ち、大量の血と共に蛇体も砂煙を上げて倒れ込んだ。
一瞬、湖に静寂が訪れる――が、《ホルン》が大太刀を天にかざすなり、
『『「やったああああああああああああああアアァ――ッ!!」』』
騎士候補生達の大歓声が場を満たすのだった。
これこそが、怠惰にして暴食なる蛇。アティス王国の宿敵。最悪の魔獣・《業蛇》が、遂に討ち倒された瞬間であった。
◆
「……やれやれ。あいつら随分と嬉しそうだな」
そこは「エルナス湖」のすぐ近く。
大樹に寄り添って佇む《朱天》の中で、オトハがそう感想を述べた。
すると遠目ながらもユーリィの無事な姿を確認してホッとしていたアッシュが、
「ん? まあ、そりゃあ、勝利は誰だって嬉しいだろうよ。けどさ……」
そこで小首を傾げる。
「サーシャ達が戦ってたあの蛇は一体何だったんだ? 普通の魔獣には見えねえけど、もしかしてあれが《業蛇》なのか? 固有種にしちゃあやけに小さいが……」
その問いにはオトハも眉根を寄せた。
「いや、見た目は似ているが、私が見た《業蛇》のサイズはあの三倍はあったぞ」
「ふ~ん。じゃあ、あれは子供か何か?」
「いや、しかし、固有種に生殖器官がないのは常識だしな。正直なところ、本当にあれは何だったのだろう?」
と、そんな意見を交わしつつ、首を捻る《七星》の二人。
百戦錬磨の彼らでも、流石に何の情報もなしで真実に辿り着くのは無理だった。
「まあ、何にせよ、サーシャ達が無事でよかったよ。まさか、あんな蛇と戦ってるとは思ってもいなかったしな……」
アッシュはジト目でオトハを睨みつける。
「う、す、すまない……。エマリアも含めてあいつらの安全面は配慮したつもりだったんだが、あの蛇は私も予想してなかった。完全に私の落ち度だ」
と、肩を落として告げるオトハに、アッシュはふっと笑った。
「ま、いいさ。結局は無事だったんだし。『戦利品』も充分役に立ったしな」
「う……、それは……」
オトハは言葉を詰まらせる。と、アッシュは意地が悪そうな笑みを浮かべた。
そして大太刀「屠竜」を天に掲げてはしゃいでいる《ホルン》の方へ目をやった。
ここに到着するなり、アッシュはとんでもなく焦った。なにせ、《ホルン》が無手の状態で十セージル級の蛇と対峙しているではないか。
しかし、ここからでは救援が間に合わないかもしれない。
そう瞬時に考えたアッシュは、戦力不足を補うためにオトハから強引に取り上げた「屠竜」を《ホルン》の手に届くよう計算して投げつけたのだ。
……まあ、直接、あの蛇に叩きつけてやってもよかったのだが、下手すれば避けられる可能性もあった。まずは《ホルン》の武装を優先した対応だった。
結果、《ホルン》――サーシャはアッシュの期待に見事応えてくれた。
やっぱりあの子は自慢の弟子だと、アッシュは思う。
「さて。そろそろ俺らも合流するか……って、オト? どうした?」
「い、いや、あのクライン? 『屠竜』は後で返してくれるんだよな?」
と、不安げに問うオトハ。
彼女の視線はちらちらと《ホルン》の方に向いている。
それを見てアッシュは「ああ、なるほど」と思った。
「ははっ、なんつうか、あいつら完全に『伝説の魔獣を倒して、しかも強力なアイテムをGETしたぜ!』って雰囲気だもんな。『屠竜』、返してくれなさそうだ」
「こ、困るぞ! それは! あれは家宝なんだ! 父に殺される!」
と、やや青ざめているオトハに、
「え~、けどさ。あれは俺の『戦利品』なんだぜ? 別に俺が俺の弟子に授けてもいいんじゃねえのか?」
少し悪ふざけした感じでアッシュがそう告げる。
オトハの顔色が一気に蒼白になった。
「ク、クライン~」
そして、泣き出しそうな声を上げて後ろからアッシュの肩を揺さぶり始めた。
「お、おい、あ~分かった分かった。ちゃんと返してもらうよ。だから、狭い機体内で肩を揺らすなよ」
「ほ、本当だな? 約束だからな!」
揺らすのをやめて、オトハがアッシュの肩越しに顔を覗かせる。
アッシュは、やれやれと嘆息した後、再びサーシャ達の様子を窺った。
遠目に見えるのは機体から降りてはしゃぐサーシャとアリシア。
彼女達のチームメイトであり、互いの手を叩く二人の少年達。そして笑みを浮かべているユーリィの姿だ。
アッシュは優しげに目を細める。
そして――。
「ま、ぜ~んぶ、後でだな。今日はもう疲れちまったよ。まずはみんなで帰ろうぜ」
そう言って、アッシュは笑った。
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