4月14日(月)
月曜日を迎えてこんなに嬉しかったことはない。
今日もいつもの午前7時27分発、各駅停車八神行きの電車を待つ。もちろん、先頭車両の一番後ろの扉が止まる場所で。
電車が到着すると、いつものように扉のすぐ側に立てるよう最後に乗車した。
特に遅延することなく、高津田駅を出発してから3分後に彼が乗ってくる鳴瀬駅へと到着する。ホームに彼が立っているのが見えて、土曜日と日曜日に会えなかった寂しさが一気に吹き飛んだ。
扉が開くと彼が乗車してきて、今日は私の左隣に立った。
彼は左手でつり革を掴んだので右手がフリー。前も隣同士の形で立ったことがあったけれど、そのときは私の方にある手でつり革を掴んでいたので距離感があった。
でも、今回は違う。今、彼の右手には何もない。私も左手には何もないので、とても近くに彼がいるように思えた。
ここで手を繋ぐことができたら最高だけど、まともに話せていない段階でそんなことをしたら、彼に変に思われること間違いなし。手を繋ぐのは後にして、まずは彼に話しかけるべきだよね。
そんなことを考えていると、彼が頬を赤くして私の方をチラチラ見ているような感じがした。彼への好意がそう見えさせているのか、それとも現実のことなのか。彼の隣に立っていることが嬉しくて、その判断がつかなかった。ううん、そんな風に見えていること自体が嬉しいから、どちらでもいいのが本音。
気付けば、鏡原駅の一つ手前の弓部駅にもうすぐ到着しようとしていた。
減速していくんだけれど、ブレーキをかけるタイミングが遅かったのか、急ブレーキのような形で停車をする。その際に私の左手が彼の右手に触れた。
「あっ」
彼が小さく声を漏らした。周りはちょっとざわついていたけれど、彼の声はしっかりと聞こえた。
手を繋ぎたいなって思っていたから、どんな形であれ、彼と手が触れたことがとても嬉しくて。今までも彼とくっついたりしたことはあったけど、それは制服越し。今の方がドキドキした。肌が直接触れるのはこんなにもキュンとなるんだ。
彼は今、どんな表情をしているんだろう。気になったけど、恐さもあって彼の方を見ることができなかった。今のことで変な風に思われないように、必死に平静を保つ。
でも、これまでに彼とお話しができていれば、こんなことをしなくても良かったのかもしれない。ビックリしたねって笑い合えたのかもしれない。
彼と話して、笑いたいな。
ただ、その後は何事もなく、今日も鏡原駅に到着した。私は反対側の扉から電車を降りる。
「ビックリした……」
彼の手が触れたとき、彼の温もりがはっきりと伝わってきた。それに加えて、彼の手の感触であんなにドキドキさせたんだと思う。
でも、もっとドキドキしたい。彼と一緒にいられる15分間をもっと素敵な時間にしたい。そうなるには、まずは彼と話せるようにならなければいけないだろう。
彼と話そうと電車を降りた直後には強く想うけど、実際に彼の姿を見るとそんな気持ちよりもずっと緊張感の方が勝ってしまって。これまでに、そんなことが何度も続いた。
「……決めた」
今週の目標は彼と話すこと。できれば、自分から話せるようになること。そうすることで彼との距離を縮めていこう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます