4月14日(月)

 今まで、月曜日という曜日がこんなにも楽しみだったことはなかった。


 一昨日、昨日と彼女に会えなかったから、早く月曜日が来てくれと思っていた。

 今日もいつもの場所で待っていると、定刻通りに7時30分発の八神行きの電車が到着した。

 扉が開くと、そこには彼女がいた。僕の方を向いて立っている彼女の姿を見て、2日間会えなかった寂しさが一気に吹き飛んだ。


 今日は彼女の左隣に立つ。


 左手で吊革を掴んでいるので、右手はフリーだけど、もちろん、特に彼女に変なことをするつもりはない。そんなことよりも、僕にはやるべきことがあるだろう。


 その「やるべき」こと……それは彼女への告白だった。


 土曜日ぐらいから告白について考えるようになっていた。

 直接口で言うことができれば一番だろうけど、彼女と会えるのは満員電車での15分間だけ。そんな中、声に出して告白すると周りに聞こえてしまうから、恥ずかしくてたまらない。

 そんなことで悩んでいると、気付けば電車は鳴瀬駅を出発してから3つ目の弓部駅に向けて減速していく。

 しかし、急ブレーキのような感じで止まったため、彼女が右側から僕の方に寄りかかる形に。そのとき、僕の右手が彼女の左手に触れた。


「あっ」


 僕はそんな声を上げてしまい、慌てて右手をズボンのポケットに突っ込む。周りがざわついていたから、彼女には聞こえていないだろう。


 今、物凄くドキドキしている。


 先週のハプニングとは比べものにならない。肌と肌が直接触れ合うことって、こんなに刺激的なことだったんだ。

 彼女の方をチラッと見てみると、彼女は正面を向いていて無表情な顔をしていた。手が触れるくらいでは動揺しないのかな。女性にとって、男性と触れて恥ずかしいのは、制服越しの胸の方なのかもしれない。

 鏡原駅に到着すると彼女は電車から降りていったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る