幕間
「ふぅ、出来た」
友里は完成されたミサンガを掲げ、出来具合をうかがう。
四本の糸でを使い四つ編みで作られたミサンガ。
気持ちは込められている物の、誕生日プレゼントとしては少し心もとない。やはりこれは何かにつけて渡す方が良いだろう。
「よし、完せーい」
とテーブルをはさんで座る里桜もミサンガを完成させたようだ。
里桜も友里と同じ四つ編みのミサンガ。
赤とピンク、青、黄緑の四色。
色のバランスがバラバラだと思うのは気のせいだろうか。やはり、青色が一番浮いているからか。
「はい、友里」
「ん?」
「んっ」
と、里桜が右手を差しだす。
つけてという事だろうか。
そう解釈した友里はその手を取ろうと手を伸ばし――
「はいっ」
「え?」
だがどうやら、友里が捉えた解釈とは実際違っていたらしい。
伸ばされた友里の右手首を掴み、掴んだ手首に手際よくミサンガを結んだ。
「えっ、え?」
「うん、私からの友里へのプレゼント」
「あ、うん……ありがと」
付けてもらったミサンガを眺め、改めてやはり青色が浮いてると感じた。
それでも自分のために編んでくれたので、感謝はしている。
四つ編み程度ではミサンガの作り方が上手いか下手かは分かりづらいが、色のセンスは独特のようだ。
「じゃあ、お買い物続き行きましょ? 友里」
「そうだね。早くしないと時間に間に合わないし」
と、里桜は立ち上がって買ったものを鞄に仕舞い、店員に一礼したあと先に店から出て行った。
「ふぅ……」
このミサンガを付けた手でプレゼントを渡す。
お揃いだと思われても仕方がない。恐らく里桜もそういう意図があっての事なのだろう。粋な真似をしてくれたものだと、友里は小さく溜め息を吐く。
買ったものを鞄にしまった後、
「ありがとうございました」
と一礼した後、店を出て行った。
現時刻、十五時半。
約束の時刻まで、七時間。
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