Dreamf-8 失った者達(avan)
「円……」
恵里衣はもう一度、彼の名前を呟く。
境域が解かれた後でも、一向にこちらに振り向かない円。まるで全てを出し尽くしたかの様にその場で立ち尽くしていた。
エネルギー限界のため、連戦は行えなえなかった。ファントム体という事だけあって、円一人では苦戦するものだと、恵里衣は思っていた。だが、結果は円による一方的な蹂躙。かつての櫻満カイトや神代士道と並び立つ程の力を見せつけられた。
その様に、恵里衣も呆然としていた。
円の体に光の波紋が走り出し、体から赤い光が一瞬だけ漏れ出した。モードチェンジもエネルギー限界と共に解除されたという事だ。
「――ッ! 円!」
ハッとして円に駆け寄る恵里衣。
ただエネルギー限界になっただけなのだ。口ぐらいは利けるはず。
「円!」
ガシッと円の肩を掴む。
と――
「――ッ!? 円!!」
グラリと円の体が揺れ、前の方にうつ伏せに体が崩れ落ちた。
エネルギー限界だからと言う理由であるだろうが意識を失う程のダメージをどこで負ったのか、恵里衣には見当がつかなかった。
「円、円! 円!! ――」
何度も揺らしても、名前を呼んでも反応しない円の光は確かに消えることはない。
恵里衣ですら円のその状態の原因が分からない。彼女の、円を呼ぶ声が何度もそのあたりに響き渡った。
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