Dreamf-3 ファントム、胎動(avan)
すごく、安らかな気持であった。
気持ちよすぎて、立ち上がる事が出来ない。足に力を入れようとしても、入りきらない。いまこうして横たわっている事が心地いい。
(気持ちいい……)
友里は、浮遊感に身を浸し静かに息を吐く。
その時、
――――夢はこれで最後……。
「え……?」
突然、友里の頭の中に響く謎の少女の声。よく聞いたことがある。いつもすぐそばに居るようで、だが触れることが出来ない。そんな少女の、声であった。低くて、全てを悟っているかのような……。
「誰……?」
――――あなたにはもうこれ以上の悲しみは与えられない……。
「悲しみ……? 何で? なんで私が悲しむことになるの……?」
悲しむことなど何もない。円とまた会えている。不思議で、少し怖くて、だがそれらを超えるぐらい、幸せを感じている。
そんな事を思っている友里の頭に、また少女の声が響き――
――――なぜならあなたは――――
途中で途切れ、静かになった。
「私は……何……? ねぇ、何なの……?」
あまりの居心地の良さのせいなのか、突然眠気が激しくなった。
「ねぇ……――――」
眠気に抵抗するなど無意味であると、友里は意識を沈める。その時、
――――今度こそ、幸せな夢を……。
と、少女の声が言った。
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