Dreamf-2 赤き髪の少女の紅い光(B)

     2




 一気に飛んだので、円と友里の姿は見えない。

 恵里衣は一人ため息を吐いてやれやれといった仕草をした。

「もうヤダヤダ。あんなラブラブ見せられて」

 と、一人呟く。

 そして、頭に思い浮かぶ園宮友里という少女。

「アイツ……やっぱり……」

 そして頭に一〇番目の少年を思い浮かべ、また飛んだ。戦地へと。




     3




 その場に来るまで三分も必要でなかっただろう。だが、事はすでに始まっていた。

「……ッ、境域きょういきがっ!? チィッ」

 恵里衣の目先に何も見えないように見える。ただの一般道である。むろん恵里衣の目には何も移っていない。だが、分かって感じ取れるのだ。その場所を包み込むように空間がゆがんでいるという事が。


 ビーストが出現する際、その莫大すぎるエネルギーが地表の空間軸にまで影響しあやふやな状態になってしまう。その時に発生する場所を境域と呼んでいる。


 境域の発生は一時的なものでおよそ三分間。その間に決着をつけなければ本当に取り返しのつかないことが起こる。

「ふぅ……」

 と静かに息を吐いて両腕を下向きに腹の前でクロスさせ、


「ハァッ」

 短く静かに気合いの声を吐き出して両腕のクロスを解きつつ上に向けると、恵里衣の体を包み込むように赤い光が現れ、恵里衣が消えた。




     4




 突然起こった。

 娘と下の息子と妻四人を車に乗せて車を走らせていたとき、なぜか同じ場所を行き来するようになっていた。

 一方通行なので迷うはずないと、思っていた。

 その時だった。

 突然おぞましい獣のような声が聞こえたのは。


――――オオオォォォオン…………。


 その狼とも熊とも違う不気味な声に、本能的に車を止める男。

「聞こえたか、今の」

「今の何?」

 震えるような声で隣に乗っている妻の言葉に男は「さぁな」と返す。


「子供たちは?」

「寝てるわ」

「もう少し走ってみよう」

「大丈夫?」

「大丈夫だって、車の中なんだから」


 と言っているうちに不安になったが最後まで言い切った男は、再び車を走らせ始める。

 前方、一寸先はすべて闇。道を照らす光が車のヘッドライトと街灯のみとは、とても不気味なものだ。

 車のタイヤがコンクリートをこする音がよく聞こえるほど静かな道をずっと走っている内に一つの影がヘッドライトに照らされた。


「なんだあれ」

 トラックでもバスでもない。別の何かだ。

 ブレーキをかけたことのよるキッと言うスキール音が聞こえたのか、後ろから「んん……」という娘の方の呻き声が聞こえた。


「あら?」

「まんまぁ……?」

「起きたのか」


 起きたばかりで寝ぼけているのか、そもそも元々、舌足らずな娘の言葉がさらに舌足らずになっていた。


「おしっこ……」

「あぁ、咲ちゃん……。パパ?」

「ちょっと待ってろ、あれ見てくる

「そんな危ない――――」

「大丈夫だって、熊じゃねえんだから」


 と、男は妻の制止も聞かず車から出た。

 ヘッドライトに照らされた影の方へとゆっくりと歩み寄り、物体がなんなのかを見ようと少し身を屈めたときだった。

 ぐにょりと粘着質の物が地面を蠢くような音と共にその物体が――


 怪物が振り向いた。


「ウァアッ――――!?」

 その怪物の顔が薄気味悪すぎてまともな悲鳴すらも上げられない。

 ひきつるような悲鳴をあげて後ろに腰を抜かしてしまった。

 きっとこれは夢だ――と、思えない。

 振り向いた怪物の顔はナメクジのような触覚を生やして口も鼻も見あたらず、ただ目の部分は大きく穴があいているようで真っ暗であった。


「オオオォォオン――――……」

 と、怪物の鳴き声らしき音が聞こえた。先ほど聞いた何かの声と、全く同じであった。

 逃げなければ、と、恐怖で凍り付いた体を何とか動かそうと、地面を這うように車の方へと向かいだす。

 だが、それはすぐに遮られた。


「ウアッ」

 足に、何か巻き付いた、

 と認識したと共に、甲高い悲鳴のような鳴き声と共に男の体が、足から怪物の方へと引っ張られ始めたのだ。


「アァ……ッ、アァァァァアアアアッ!!!」

 一気に、人間では到底不可能なほどの力で男の体が引っ張られる。

 死にたくないと、強く願う。願いながら足で自分の体を押し返そうとコンクリートを蹴る。


 だが所詮は人間の力。敵う訳もなく――――。

 その時突然、爆音が響き、男の体を引っぱていた怪物の身体の一部が、何かの力で切断された。響く怪物の甲高い悲鳴。


 一瞬見えたのは、赤い光。


 何の前触れもない襲撃に怪物はその身を翻して先ほどのような動きをしていたものと同じ者とは思えないような動きの早さで、暗闇の中にとけ込んでいった。

 すべてが夢であるかのようで、だが、恐怖は残っており、すぐさま男も身を翻して車の方へと駆け込んでいった。




     5




 境域に入って一分は経っただろう。ビーストが出現したのはそれより前の時間なのだからタイムリミットはもっと少ないはずだ。

「チッ、どこに消えたって言うのよ!」


 ビーストが人間を襲っている現場に直面し、見捨てる理由も特になかったので、助けてやったら、今度はビーストがどこかに消えた。走っていた方角からして今恵里衣が探しているあたりになるはずだが、一向に見つからない。


「やっぱさっき下手に攻撃して追っ払うよりそのまま巻き込んじゃう覚悟で戦った方が良かったかしら」

 等と、天ヶ瀬円が聞いてしまったら怒ってしまいかねないような事をつぶやき、


「って、何でこんな時にアイツの事を思い出してんのよ、私は」

 と、恵里衣は頭の中に入り込んできている邪念にも似たようなものを振り払った。


「早くしないと、境域が――ッ」

 と、気が急き始めたその時、

「……ッ!?」

 突然、何かに足が取られた。

「な、何!?」

 恵里衣の足を取ったのは粘着質の何か。そしてその,着質な物から力を感じ取れたとき、恵里衣は感づいた。


「こいつ、地面に隠れてたのかッ!」

 恵里衣の手に赤い光が集まり、それを地面に突きつけた。

 恵里衣の手を中心に赤い光が地面に拡散する。

 その瞬間、甲高い獣の悲鳴が響き、恵里衣の足を捉えていた粘着質の物が――――ビーストの身体の一部が、地面の中に溶け込むように消滅した。

 これで完全にビーストが見えなくなったわけだが、


「そこかッ!」

 恵里衣には見えなくても先ほどのビーストがどこにいるのかが分かった。


 そのビーストがいるであろう方向の地面にむけて手から赤い光刃を放つと、またもビーストの悲鳴が響いた。


 そして、その恵里衣が光刃を放った地面の中から噴き出すようにビーストが現れる。

 しばらくして形が出来上がったそれは、先ほど人間を襲っていた時とはまた違った姿をしていた。

 軟体動物を思わせるような姿から一変その身の中にはしっかりとした骨格があるように見え、しっかりとした両腕両足がある。だが両腕には手らしき物はない。それは短い鞭が手の代わりとなって腕から生えていた。


 地面につく足からは腰から絶え間なく粘着質の物体がどろどろに溶けているかのように地面に流れて染み込んでいっている。

 頭部の作りは先ほどとほとんど同じであるが、触角が先ほどよりもさらに活発に動いて、まるで獲物を漁っている様に見える。


「チッ、気持ち悪い……」

 恵里衣は、そのビーストの様子と見た目そのままを表す言葉を吐き、吐き気を押し殺すように歯を食いしばった。

「フッ……!」


 さっさと終わらせよう。世界的にも自分的にもあまり長くこのビーストをおいておくと良いことはない。

 そう思って、行動に移った。


 短く息を吐き、手を大きく降ると、恵里衣の肘から手に向けて赤い光が集約し、それがほんの数秒してから収まった跡、赤い光が集約していた手から炎が立ち上がり、その中から恵里衣の身の丈をも越える刀が姿をちらつかせる。


 そして恵里衣がその刀の柄を掴むと、炎が取り払われ、その刀身を露わにした。

 刀身に映える刃紋は、打ち鍛えられたばかりのものであるようにほんのりと炎の赤味を帯びており、刀身に映り込むビーストは燃ゆる様に見えた。


「その腐った様な身体、塩でもきえちゃいそうだけど――――」

 その瞬間、刀身からパチパチと言う音と火花が飛び散り、

「せっかくだから燃やしてあげる」

 恵里衣の顔に浮かぶは不敵な笑み。強者と弱者の関係を明確に示すものである。


「せめて苦しまないように……ッ」

 開戦の合図はなく、恵里衣が足を踏み込んだその刹那に状況が動いた。


 ビーストが背中から触手をのばしてきた。

 それがこちらまでに届くのは一瞬よりも速い。だが、刹那よりも遅い。

 恵里衣の動きを捉えるには、

 遅すぎた。

 自分の身体に触手がふれようとする瞬間、


「フンッ」

 とっさに刀をもっていない方の手それにめがけて勢いよく振るった。

 恵里衣の手が触れた瞬間、赤い火花が接触部位から飛び散り、

 ビーストの触手が切断された。

 恵里衣の身体にふれることすら出来ず、地面にのたうち回るように回る触手に、


 悲鳴の様な甲高い鳴き声をあげるビーストで気味の悪さがさらに増しになった。

 それは絶好の隙で、


「――――ッ」

 恵里衣が飛び、ビーストとの距離を詰めるのには、

 充分すぎる時間であった。

「ハッ!」

 赤い一閃がビーストを横切る。

 それが、ビーストの最期であるはずであった。


「なっ!?」

 恵里衣の想像は打ち破られた。

 刀を持つ恵里衣の腕が振れなくなくなったのだ。

 引っ張られている。


「地面からッ!?」

 ビーストの物であろう触手が伸びてきて恵里衣の腕を拘束している。

「クッ」

 と、もう一方の腕をふるって光刃で触手を切断しようとするも、

 その光刃を放つ腕もまた少し離れた地面から突きだしてきた触手によって拘束される。


「チッ」

 手が出せなくなり、恵里衣の胸の内に焦りが生まれる。

 拘束時間が長くなればなるほど、自分の体を締め上げる力がどんどんと強くなっていき、

 自分自身の力が、抜けて――


「こいつ、私のエネルギーをッ」

 そう察した矢先、恵里衣の体にそのエネルギーの限界を示す光が走り始める。


「クッ――」

 速く抜け出さなければ消される。

 だが、もがいてもビーストの拘束からは抜け出せない。

 限界の体に鞭を打たなければ、いけなかった。


「ハァアッ――――」

 恵里衣が全身のエネルギーを胸元一点に集中させると、赤い光がそのエネルギーの流れを表す。

 恵里衣自身のエネルギー――赤い光は胸元で強い光を発し、それでも尚集約していく。


「ダァッ!」

 一点に集中し、ため込まれたエネルギーを一気に開放すると、恵里衣の胸元に集まっていた赤い光が一気に弾け飛んで、

 爆発的に恵里衣の体内から放出されたエネルギーは、彼女自身を拘束していたビーストの触手を木っ端微塵に、そして根本まで破壊した。


「クッ」

 拘束を解かれ、すぐさまバックジャンプでビーストとの距離を大きく取る恵里衣。


 体内の器官まで破壊されたせいか、ビーストはパニックを起こしたように触角をあちらこちらに蠢かせ、甲高い悲鳴を上げた。

 そのもがき、暴れ際に体の一部が弾丸のように飛び出して、

 恵里衣に向かって、まるで狙って撃ち出されたかのように、

 放たれた。


「ハッ!」

 それとほぼ同時のタイミングで恵里衣は光刃を放った。

もちろん、拘束から解かれても恵里衣の意識がお留守になる事は無い。

 体内の器官を破壊されて暴れない猛獣など、滅多に見ない。

 恵里衣にとっては動きを止めるつもりの攻撃だったのだ。


 恵里衣の放った光刃と、

 ビーストの放った体の一部。

 それが真正面から衝突した時、


「えっ――」

 恵里衣が想像したよりも大きな爆発が起こった。

(ほんの軽く撃っただけなのに)

 思わぬ出来事に恵里衣はほんの一瞬、

 気が戦いから逸れた。


「――ッ!?」

 その一瞬の隙に、ビーストが大きな攻撃を構え始めていた。

 二本左右の触覚が内回りして、そのちょうど真ん中辺りに発生している火球が肥大している。


 ただ、それは普通の火球ではなく、黒い何かがその火球にまとわりついている。

 だが、ため込むだけで一向に攻撃を仕掛けてこない辺り、

 待っている、と、恵里衣は察した。


「なら……ッ」

 と、先ほどのように一歩踏み込んで攻撃を仕掛けようと、

「――ッ!」

 その瞬間、ため込まれていた火球が恵里衣に向けて撃ち出された。


「ハッ」

 もとい、その流れが狙いであったので反射神経など必要でも何でもない。

 刀で自分に迫ってきた火球を一刀両断に――。


「――ッ!?」

 刀身がほんの少し触れた時だろう。

 一気に刀を振り切って切り払おうとした時だろう。


 爆発した。


 視覚も聴覚も、奪われた。

 よもや爆発するとは思わず、完全に不意を突かれた。

 爆炎に自分の体が包まれ、

 爆音がいつまでも自分の耳管の中で響き、

 視界はいつまでも炎と黒煙の色に埋め尽くされていた。


「クッ……」

 熱い、肌が焼き尽くされるように。

 身体的なダメージはさほどないであろうが、五感が自分の意とは別の物で埋め尽くされていること自体に、恵里衣の精神が揺らぐ。


「ダァッ」

 恵里衣は自らの心をむしばむ不安を振り払うように、

 自分の五感を奪い取る炎を振り払うように、


 大きく手を薙ぎ払った。

 手を振るうとその軌道に沿うかのように、恵里衣をつつむ炎が切られる。

 切られ、空の中に溶けて消える。


「ん……?」

 その時、炎を切った自分の手に何かついていると、違和感を覚えた。

 ガソリン臭くて、


「ガソリン……」

 黒い液体でベトベトしている。

「重油……?」

 だとするのであれば、恵里衣の想像を超える爆発も、理解できる。

 火をガソリンに当てれば、爆発する。


「……ッ! チッ……」

 すぐさま自分の立っている状況を理解した恵里衣はすぐさま自分の手に着く重油を、赤い光を解放させて爆発させて消滅させた。


 もちろん、対策なしではなくその手に光のバリアを纏わせてダメージを最小限に留めておく上、開放する光も最小限なので、爆発自体も小さい。


(ちょっと焦げちゃった)

 そんな事を思っている隙に次の攻撃を仕掛けようと、ビーストがまた先ほどのように火球を構え始めた。


「炎は――」

 と、また恵里衣は光刃を打ち出す。

 だが、本体には当てずビーストが発生させている火球にめがけて。

 打ち放たれた光刃はビーストが発射するよりも早く直撃し、

 大爆発を起こした。


「私の得意分野なのよ」

 あまりの爆音に周りの音が無くなった。

 だがその中でも恵里衣はそう吐き捨てた。


(アイツの体全体は重油で出来ている……。私が直接触れて力を流し込んだら、私自身も巻き添えにされる。当たる事もダメね。でも、遠距離なら……)

 と、恵里衣はもう一度光刃を構え、

 打ち放つ。

 同時、ビーストも先ほどのように自分の皮膚の一部を弾丸のようにして打ち出してきた。


 恵里衣の打ち放った光刃と、

 ビーストが打ち放った弾丸が、ぶつかる。

 ぶつかって、また先ほどの様な――否、意図して当ててきた分、攻撃の威力は上げられている。

 故に、先ほどよりも大きな爆発が起こった。


「やっぱ、ちっさいのじゃ当てて来るわね」

 また、恵里衣の耳の中に入る音が爆音のみとなった。

 赤い髪の毛が爆風に吹かれ、なびく。


「だったら――ッ」

 恵里衣は刀身の峰に手を添えて、ゆっくりと切っ先に近づけていく。

 すると、恵里衣の持つ刀からプロミネンスの様なものが発生し、刀身に赤熱を纏わせていく。


 たちまちに、刀身は紅色に染め上がり恵里衣の力が無くとも自立して小さな火柱を立ち昇らせはじめた。

 恵里衣の手が切っ先に届くと、その手を振り払った後刀を天に突き上げた後、


「ハァアッ!!」

 鋭い気合を吐き地面へと、刀身を突き立てた。

 赤熱したようであった刀身が、赤い光を発する。

 そして、赤く光る刀身から光線が打ち放たれた。

 空気を焼き尽くす音と、辺りを赤く染める光と、肌を焼くような熱線。


 視覚、聴覚、触覚を光線が塗りつぶす。

 その恵里衣の打ち放つ光線を防ぐ手は、ビーストにはない。

 打ちはなち、ビーストに直撃するまでの時間は瞬間よりも短い。

 直撃し、ビーストの身体中から火花と重油が飛び散る。


「ハッ!」

 光線がビーストに直撃した瞬間、恵里衣は少しため込んで光刃を打ちはなった。


 その光刃はビーストの体にあたる直前にはじけ、光の塵がまるでビーストを覆いかぶさっている様であった。


 ビーストは体を焼き尽くされ、

 甲高い悲鳴を上げそして、うつむけに倒れた瞬間、爆発した。

 粉々に砕け散る様も見えない。

 爆炎がビーストの体の破片すらも焼き尽くしてしまうからだ。

 恵里衣が放った光刃がはじけたあとに残った塵が閉じこめ、周りへの被害を押さえている。


 その塵は爆炎が完全に消えるまで残り続けた。

 爆炎が消えると、静寂が戻る。


「っふぅ……」

 ビーストの気配はない。

 向けられる殺意から解かれ、恵里衣は一息つく。

 その瞬間、

 そしてその一瞬、


「ッ!?」

 世界が裏返り、目眩が起こっているわけでもないが、目眩が起きている時と同じように立ちくらみを起こした。

 また、目に見える色も、耳に入る音も反転し、頭の中がぐちゃぐちゃになったような感覚に見舞われた。


「ふぅ」

 この感覚に慣れるまでいったいどれぐらい体感すればいいのか。

 先程の感覚は境域が解除され、この空間が元の世界に戻ってきた事を意味していた。


「結構楽ちんだったわね」

 と、恵里衣が刀を軽く振るうとそれは炎に包まれ、その炎と共に燃え尽きるように消えた。

「まぁ……」

 恵里衣の体は今も尚光の波が走る。

「エネルギーは限界だけど……」


 膝の力が抜けて震えているのが分かる。エネルギーの限界は戦いの序盤の方で起こった。それでも尚技を使ったのだから、こうなるのは仕方がない。むしろこれで済んでラッキーなほうだ。


「とりあえず……」

 と、恵里衣は立ち上がりよろつきながら歩道の端っこに寄って座り込んだ。


「ちょっと……休んで……」

 目を、閉じるとあけられなくなった。

 その時一瞬だけ、ふわりと光が見え、それっきり――。


to be continue 

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