106日目〔2〕冷静に

「質問責めでスミマセン」

カタコト日本語お兄さんは謝った。

「SSからの監視が厳しくてね、でも彼等は日本語がわかりませんから」


わかんないなら質問しなけりゃいいのに。

「☆♪€$○*÷ッ」

どうやらカタコト日本語お兄さんの周りの数名が質問を急かしているらしいな。


ある程度、質問が終わったらしくSSの人と、カタコト日本語お兄さんはテントを出て行った。



しばらくして、カタコト日本語お兄さんが戻ってきた。

どうやらSSの人達内で協議しているらしい。

「何故、彼等がこのような質問をさせたのか……わかりますか?」


「あ、えっと……わかりま……せん」

「あなたの存在は前線の兵士の間で少し話題になっていました」

え、てことは最初からドイツ軍にはばれてたのか?

「日本人が、ソ連軍に参加しているとの事でした」


ばれてたのかよ……。

「戦場では日本人を見ても彼等にはどうすることも出来なかったでしょう、」

まぁ、凄い戦いだったからな。

「これは、あなたにとっては大変な事だったでしょう……しかし、事はさらに大きいのです」


こっちは死にかけた(一回死んだ)のに。

「我が国の者が敵国の部隊の一員として参加している、これだけでは特に問題はありません……潰滅させますから」

え、えぇ…………。

「我が国にも外人部隊は存在しますし、日本にもあるはずです、問題は……」


あれだよな、三国同盟。

「それが同盟国の者である事 、つまるところ

これは政治的な問題も含んでいます」

まぁ、そうなるよね。

「ひとつ、わからないのが日本人が何故、ソ連兵として行動出来たかという事です」


それは……、タイムスリップしたからなん

だけど…………。


ひとまず、今日の質疑応答は終わったみたい。

なんとか、言い逃れる事が出来たけど……次、なんか言われたら言い逃れるかどうか。



今迄の俺が嘘のように、俺は落ち着いてる。ずっと緊張状態だったのかな?

野戦病院のテントの中でボーッとしてる。現代だと、ゲームとかいろいろ暇潰しの道具があるけど、ここではそんなもの有る訳がない。


かなり、冷静だな。それに、今考えるとかなり不思議なことがある。

そもそもなんでここに来たのか。「どうやって」ではなく「何故」ここに来たのか考えた。


結論が出るのかはわからない。俺、馬鹿だし。

農家だし(関係ない)。



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