106日目〔1〕質問責め

明らかにソ連兵の扱いじゃない。俺は客人として、迎えられてる。

でも、事を知らないドイツ兵からの目線は痛かったな。


取り調べを受けている。傷は手術によってなんとかできたらしい。足を切らなくて済んだのが奇跡だそうだ。

取り調べはベッドの上で、取り調べ官は俺を捕まえた時のカタコト日本語お兄さんだな。彼の周りには監視のドイツ兵が3人。


「キミハスゴイヨ」

「なっ、なんで、ですか?」

「ソノキズデ、ヨクジツニシャベレルナンテ」

かなりの挙動不審。目が泳ぐ泳ぐ。


前線からはかなり離れた野戦病院。簡易的なテントだ。


「○☆*°£€ッ」

「……ソレデハシツモンヲハジメマス」


読みにくそうなのでそろそろカタコト日本語は止めようか。


「1つめの質問です単刀直入にスミマセン、貴方はどこから来たのですか?」

「あ、……」

選択肢は3つ

・未来から来た

・日本から来た

・大分から来た

ん〜、決めたっ!


「に、日本から来ました」

まぁ、無難ですな。

「わかりました、次の質問です」


どんどん質問責めかな?

「ナゼ? ソ連軍にいた?」

少し、カタコト日本語お兄さんに動揺が見られる。


「それは……」

選択肢は幾つかあるな。

・成り行きで

・手帳のせいで

・気づいたら

・列車に乗ってたら来た

……………………。

似たようなのが幾つか


「気づいたら、ソ連軍に……」

あかんな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る