102日目 冬の嵐の終わり

ここに来て、とうとう100日を超えた。

ドイツ軍は一昨日辺りからほとんど前進出来ていない。いっときは、包囲されているドイツ軍と攻撃しているドイツ軍の照明弾が高々と上がって、挟まれる形になりかけた。

もうお終いかとおもった。


それほどドイツ軍は勝利に近かったけど、ソ連兵は政治将校に怯えながらなんとか押し留めた。



「前進!」

ただでさえ疲弊した俺達を 彼の、さらに上官が急かした。

彼の指揮の方がいいかもね。


「進め!」

いや、無理だろ。みんなフラフラだし、戦車はあっても、またバケモノ戦車が出てくるかもだし。


「突っ込め! ウラァーーー!」

「「「「「ウラァァァーーー!!!」」」」」

いやいや、下手か! 全然 銃撃で叩いてないから

凸っても意味ないだろ。


案の定。全滅しなくても勢いは死んだ。

それでも、生き残った奴らで銃撃戦を行った。


今度は少しずつ前進する。ペースが遅いとはいえ、前進しているのに変わりはないしいつもはこれで押し切ってる。

あれ? なんか俺、専門家になってね?


銃撃して敵に少し隙が見えると、少し前の遮蔽物に駆け込む。

これを繰り返して敵に疲労が溜まったと思ったところで (勘で) 数にモノを言わせて突っ込む。

さっきのは手順をすっ飛ばして突っ込んだ。


でも、これは今までの俺の上官がいい人だったのかな?



陽が落ちる。

最近は下手したら飯抜き。市街の時はしょっちゅうだったけどね。

寒すぎて小便も出来やしない。凍る。


こんな所で農業って凄いな。広くていいけど、かなり厳しい環境だし。砲弾の破片とか、戦車の残骸とか、死体とか、死体とか、死体とか……。

いや、不可能だよ農業。


でも、壮観だし綺麗だな。この風景。夕陽と、雪と、死体と。そして、遠くに見える敵と。

風流だね〜。


完全に狂ってるな俺。自分でもわかるよ。




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