4ヶ月目
95日目 冬の嵐はハードモード
死ぬかと思った。
あの戦車も恐怖だったけど、もっとヤバイことが起きた。
こっちの戦車が全部やられて、もちろん歩兵は逃げた。
2、3キロ走ったところでソ連兵の姿が見えた。すると、そいつらは即座に隊列を組んでこっちに撃ってきた。
「同志達よ! 逃げるなぁ! 戦え!」
政治将校はこわぁい。なにが同志だ!
政治将校というより、督戦隊だな、こいつらは。ま、気にしてもしょうがない。
「くそっ、逃げるぞ(政治将校から)」
彼はそう言うと俺の襟を掴んで引っ張り歩いた。
政治将校から逃げるということは敵の戦車に向かっていくということで。
俺は後ろの方で隠れてたから、生き延びた。
途中から凄い数の味方戦車が来てゴリ押した。
そのお陰か、少しだけ勢いが衰えた気がする。
それでも、かなり街との距離が縮まったと思う。
夜には目の前の敵の照明弾と街の敵の照明弾が地平線からほんのちょっと見えたりする。俺と彼は、街と敵の間にいるからこんな感じになっちゃってる。
あーあ、ヤダヤダ。カチューシャ頑張って〜。
それにしても、敵には戦車、味方には政治将校から殺されて…………やってられっかぁ!
「俺な農家をやってたんだよ、このスターリングラードの近くで」
えー……。ウソゥ〜。
会話が重い。
こいつも被害者なんだな。俺の方がタイムスリップとか、破産で酷いけどね!
あ、そういえばだけど。こういう風にタイムスリップした時、現代の俺はどうなってるのかな? いないのかな、ここにいる時間。
あ、戻ったら俺が消えた直後の現代にいくのか? あぁ?
わかんないけど、とりあえずは死ななければならない。
これはハードモードとか言うやつだな。
この戦いではティーガーさんは数が少ないからソ連のT-34中戦車に結局は押し負けた。
つまり、この時の俺が何もしなくても敵は負けた。でも、この時の俺は生きるので精一杯。
あ、いや、死んだ方がいいのか?
これは………………『哲学』だな……。
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