70日目〔2〕理解不能

「わかったかね」

 首を横に振る俺。

「もう、8回は説明したぞ」

 いや、理解不能なんだけど。そんなのにタイムスリップさせられたの? 俺。


 てか、そんな世界観じゃないでしょ? これ。なんだよ魔術って。

 無理だろ、理解しろなんて。

「まぁ、そこは置いとこう」

 置くなし。

「手帳の性質を説明しよう」

 経緯が意味不だったのに、性質なんか理解できるはずがない。


「お前もわかっていると思うが、その手帳は自動翻訳機の性能をもつ」

 疑問が30ほどあるんだけど、そもそもこの時代に自動翻訳機の概念ってあるのか?


「次はついたものをストック出来る機能だ」

 わけがわからないよ。

「例えば血がついたら血をストック出来るんだよ」

 あはん?

「そしてその血が必要になるとストックした血は所持者に分け与える」

 なるほどね。わからんぞ、まだ。少し。


「そのストック機能の一部に言語もあるんだよ……君がロシア語を聞き取れるのはその機能のおかげだ」

 あはん。理解不能。でもいいや。めんどくせぇ。

「最後にタイムスリップ機能だ」

 やっぱりあったか、その機能。


「所持者のみだけどな」

 ここで、疑問が生じる。

 タイムスリップの条件は?

「タイムスリップの条件は死だよ」


 手帳に「俺は死んだ事がある」って書いて、ロシア語のとこを見せた。

「そりゃあ、ある程度ストックしてあったんだろ……血とかなんとか」

 なんとか って。わけわかんないわ。


 でも、経緯よりは理解できた。

 いや、何故俺がタイムスリップしたかだろ。

 問題はっっ!!

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