41日目〔2〕北へ(夜更かし)

 戦車が落ちてきて天井が抜けたせいで、一気に光が入った。一種の目眩しのような状態になった。

 うおぅ。目がぁぁーー。


 おっさんは⁉︎ 生きてた!

 戦車砲がこっち向いてる。

 ヤバい、ヤバい、ヤバい! おっさん逃げるぞ!

 ドォン……


 あっぶねぇーー……。ギリギリだったな。

 あと10センチ左だったら身体が……言わないでおこう。今の砲撃で着弾した所の天井が崩れてる。

 あそこしか無い! ダッシュ!

 火事場の馬鹿力と言うのか、いつもの三倍は早く走れた。

 …………足つった。イタタタ。


 一度死んだからか、生への執着心が大きくなった気がする。

 20メートル走ってから何とかよじ登って、外に出た。


 そこには崩れかけた建物と兵士と川が見えた。壮大な景色だな。けど、至る所が炎や爆発、残骸で無茶苦茶だ。

「¥♪¥*×○*・☆」

 わからない。


 あ、戦車どうなった?

 そう思って振り返ったら、隊長達が走ってきた。戦車はどうやら隊長達が始末したらしいです。


「+*○*¥¥$$°#<=」

 もう、わかんないのも慣れてきたなぁ。

 俺達7人は移動を開始した。



 かなりソ連軍は追い詰められているらしい。前に戦ってたとこよりかなり前線が下がってる様な気がする。


 それに気温も下がってるよね? 寒い。俺は寒いの苦手なのに。

 服が新しくなってよったと思った。



 何度か敵と銃撃戦になって、その度に応戦して、逃げてそれを5、6回なんとか切り抜けた。

 そして、ようやく おそらく隊長が指示したんだろうけど 川岸の近くに来た。あと、4ブロックかな?


 うわっ、凄い数の死体……。

 戦いの前はおそらく美しい広場だったんだろうけど、今は敵兵の死体と敵戦車の残骸に覆われてる。


「ーーーーッ!」

ダッダッダッダッダッ バァン バババンァン

 一斉に敵が攻撃を始めた。凄い射撃だ。耳鳴りがする。だけど敵は前進していない。敵もものすんっごい射撃に晒されている。


 全く状況は敵に好転していないが敵は前進を始めた。どうやら、敵はアパートを目指してるみたいだ。

 4階建てのアパートはハリネズミみたいに敵を全く寄せ付けない。

 凄いな。


「/&#//○*÷<〒:|^|\%°」

 えーと、あのアパートに行くんじゃないよね?


 ヨカッタ、違うみたいだ。

 あっちに日が沈んでるから……。うーん。北かうん、北に向かう様です。


 今日はどこで寝るんだろう。


 そんな俺の想いは杞憂に終わった。

 5時間歩きっぱなしなんだけど。しかも間にちょくちょく敵と銃撃戦やって、残弾も銃に入ってるやつで全部だし。


 もぉ無理。まヂ無理。眠い、疲れた。腹減った。きーんにーく痛。痛い。


 この前から川って俺は言ってるけど、これはヴォルガ川っていうまぁまぁでかい川だ。まぁこの時の俺には関係ないけど。


 結果:本日は睡眠無し。

 まぁ睡眠が無いことは現代にいる時もあったからね。だけど今回は訳が違うからね。


 翌日、1時ごろ、やっと味方と合流した。

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