10日目 少しの休憩時間

この数日は最初の1週間よりも楽な気がする。人間で最も優れた機能は『慣れ』だという事を実感した。

死体を見る頻度も前とは何の変化も無い。それに自分で殺す回数も増えた。


なのに、俺はなにも思わなくなった。死体を見ても。自分でも狂ってるのがわかる。

でも、砲弾にビビらなくなったのは良かった

かな。


ずっと、暇さえあれば、手帳に変化は無いか確認している。だけど何一つ変わらない。相変わらず、真っ赤な字が俺に何かを投げかけている。

なんだったんだろう?


それに、敵はここ2、3日攻撃を仕掛けていない。だからって、こっちから攻撃する余裕は無い。人数は最初の3分の2程になっていた。

腹が減った。


食糧はしっかり管理されているが、そのせいで1日に食べる量がめっちゃ少ない。長期戦に備えているんだろう。

あーあー、腹減った。


そういえば昨日だっけ? 夜に屋上に上がってみたら、すごいのを見た。



最初は流れ星かな? と思ったけど違った。音が聞こえたから。そんなもんなのかな? 流れ星 って。と思っていたけど、やっぱり違っていた。


その流れ星は飛んで行った先で敵をなぎ倒していた。ロケット砲だったんだ。

ほえー、すごい爆発だなぁ。

「カチューシャだ」

1人の古参兵のロシア語を俺が聴き取ったところ、そうらしい。

俺が好きなアイドルの曲に似てるような……。



でも、無事生き残れるみたいだし、よかった。手帳が正しければだけどね。


俺は、常になんだけど、すぐ油断する癖があるのかもしれない。農家をやめたのもそれが原因の様なものだし。


今日も敵は攻めてこないみたいだな。暇だし、他の建物にも行ってみるか。

今思えば、完全なフラグになっちゃってる。


中心の4階の建物の他、三つの二階建ての建物を要塞にしている。

にしても、6日ぐらいだけど よく堪えたよな、俺達。まぁ、幾らかは取られたけど。


瓦礫の中を歩いてる。1人で。

ここにも砲弾は飛んでくるけど全然気にならないな。

中庭の様になってる所だ。

ん? 人影? ……まぁ良いか。


マンホールがあるな。気付かなかった。瓦礫が乗ってて開かないみたいだな。


ここは何だろう?

小屋の扉を開けた。近くには味方も居て油断していた。

そこには、敵がいた。

ヒュゥーーーー

「!!!!てきっ……」

ドォン

俺は敵兵に撃たれた。


しばらく経った。即死じゃない。味方も砲撃の音で気づいてない。

あ、撃たれた。痛いというより熱い? かな。助けも呼べない感じか。何だよ、手帳め、嘘つきやがって。

しかも、何だよ、よりによってこんな地味な。


どうやら敵が来たらしく味方は周りには見えない。

ここにも敵がいるのになぁ。あーあ。はぁ。目がだんだんと……。しかも耳鳴りも。てか、日本語で敵って言おうとしてたな。

最悪だあぁぁぁ。



あああぁぁぁぁぁぁーーーーっ! 糞っ! 帰れなかったじゃないか! あ〜あ! あぁ〜あ。

あーあ。あ……。嗚呼……………………。


……。


俺は暫しの眠りについた。休憩時間だ。しばらくぶりの。







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