4日目 気付きとシュトゥーカ

 昨日、ふとポケットに手を突っ込むと血だらけの手帳が出てきた。それは現代で血だらけの男からもらったものだった。


 取り敢えずいろいろ調べてみた。


 手帳についてわかったことその1

 前半のページはロシア語、後半は日本語で書かれている。ロシア語のページと日本語のページの間には、何も書かれていない。日本語のあとのページにも同じだけ白紙。本当にロシア語かは、よくわからないですけど


 その2

 日本語の部分に文字を書いてみた結果、ロシア語のページにも同じくらい文字が増えた。

 正直びびった。

 日本語で書いてもロシア語のページに現れるのはロシア語。これが俺が書いた日本語と同じ意味なら、ある意味 自動翻訳機。


 試しに『万歳』て書いた結果、ロシア語のページには『ура 』て書いてある。

 某動画サイトのおかげで、こういうのはしってる。


 つまり、これは自動翻訳機だな。うん。それにロシア語って確定したね。


 昨日わかったのはこれ位。でもさ、どうやったら帰れるんだよ……。


 早朝から、今度は敵の方から攻めてきた。昨日とった建物の向こう側はどの建物も崩れていて開けている。

 改めて見ると広い街。


 瓦礫が沢山あるので敵も味方もうまく使って攻撃してる。でも敵は戦車も連れてくるからかなり厳しい戦いだ。

 俺はもちろん言葉がわからないので いや、怖いから後ろの方に隠れてます。


 銃が使えるようになったからって、強くなるわけでもないし。


 ドォン ドドドンッ バンッ ダッダッダッ バンッ

 古参部隊も建物の中に入ってきた。砲撃も激しいようだ。

 外には、他の部隊も見える。

 銃撃戦も昨日より激しいかもしれない。


 その最中だった。凄い音がした。

 ビィィィィーーーーーーーーーーーーーーッ

 サイレンのような音。上から聞こえた。


 敵がいない方の窓から上を見た。

 飛行機が落ちてきている。

 シュトゥーカっていう急降下爆撃機だけど今の俺はそんな事は知らない。

 というか、川を渡る時に襲ってきたのはこいつだよ……怖かったなあ。


 俺は見た、飛行機が何かを落とした事を。窓から身を乗り出していた俺は彼から引っ張られた。そして、彼に引っ張られて落ちるように階段を降りた。

 ドドォドォゴォーン


 あぁっ、まただ。耳が、耳鳴りが。凄い煙だ。

「ゴホッ ゴホ ゴホッ」

「だいじょうぶか?」

 ジェスチャーで大丈夫だと伝える。


 1つは外に落ちた。もう1つの爆弾は建物の外壁を削り取るように落ちた。そのせいで2つの爆弾は外で爆発し、外の味方がやられた。そして最後の1つが俺たちがいた建物に命中した。他にも落ちたかもしれないけど、知ったことか。


 外の味方が救助に来た。2階の味方は壊滅で1階にも被害が出たが、俺達は無事だった。


 流石っす。…………あれ? さっき、日本語に聞こえた様な。

「♪☆÷×°#¥×」

 いや、気のせいでした。


 あの建物は防御の基点だったらしく、味方は崩れ敵はさらに前進してきた。ロシアの方は、すぐ後ろの4回建ての建物に籠城する感じになった。アパートかな? 部屋がたくさんある。どれも似た様な部屋。レンガでできてて、窓は全部割れて、ただの穴になってる。


 周りの建物と、その外にロシア兵は防御陣地、いや、ただの瓦礫を上手い事使って簡易的要塞ができた。


 そこからは敵も味方も動けず銃撃戦が続いた様に思えた。でも、俺たちは側面の味方が崩れているのに気づいてなかった。


 その日の夕方、俺がいる部隊、その他含めて200人ほどは完全に包囲された。

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