3日目 死体と銃と白兵戦

 まだ、あの時の感触が残ってる。初めて人を殺した、あの感触が。最後まで敵兵は俺を睨み付けていた、死んでも尚その目付きは変わらなかった。

 突き刺さったナイフと敵兵の死体。そこら中に敵と味方の死体が転がっていた。また死体を見る羽目になった。しかも今度は自分が作った死体。


 あの後、部隊は他の部隊と合流した。合流した部隊は俺達みたいな新兵じゃなくてかなりの間ここで戦ってる古参らしかった。



 寝てたな。あんな事があったのに眠れるなんて俺凄いな。飯も普通に食べれたし。

 彼も生き残っていた。相変わらず頼もしい。

 彼って言うのも不自然だしなぁ、なんて呼ぼう。声に出すわけではないし、まだいいか。

 暫く移動してまた、まぁまぁ大きな道に出た。


「*・=×々・〒〆\=<°##$€+*→☆」

 隊長が説明してる。わかんないな。

 隊長が指をさしたのは、二階建ての建物だ。四角い。3つの窓が見える。赤いレンガで造られていたようだな。角ばった屋根。

 俺は相変わらず彼についてっている。


 少し歩いて、建物の近くに来た。

 バンッ バババンッ バンッ ダッダッダッ

 数名の味方が地面に倒れ込む。直ぐに俺も伏せた。 敵の待ち伏せだ。

 建物と左の道路に敵の影が見える。

 銃撃戦が開始された。

 俺は銃持ってないんだよな。これを言い訳にして俺は昨日も今日も隠れてた。誰にも言葉通じないけど。

「/&#//々+*々÷$」

「*○××*$$×?」

「*+×÷=×$*☆○」

 隊長から彼は指示を受けてた。何人かになんか話してるな。

 彼は数名とともに移動してった。すれ違いざま俺にも『来い』みたいな事を言ってたのでついて行く。


 瓦礫を上手く使って、敵に見つからないよう移動する。味方はこれ以上ないぐらい狂って射撃を行う。俺達が移動しているのを敵に悟らせない様にするためか。


 敵は20人ほどが外で射撃している。その後ろから俺達数名が近づいた。

 もう眼と鼻の先の距離に近づいた。

 みんなナイフを構えてるけど、えっ⁉︎ もしかして、殺すの?

 俺も一応ナイフを構える。不格好だろうな。


 ズシャッ ザッ

 横から喉を切る音が聞こえる。キャベツを切る音……いや、断じて違う……うぅ。

 あーもー、やるしかないっ!

 俺も見様見真似で敵の喉にナイフを刺した。

「ゴフッ」

 敵はまだ息をしていた。でも喉を刺されているせいで声を出せずこちらを睨みつけている。

 直ぐに味方が気付いてナイフを突き刺した。

 味方にも睨み付けられました。

 また、殺してしまった。くそっ くそっ くそっ!


 そんな事を考える暇をもたせてくれるはずもなく、さらに俺は2人の敵兵を殺した。

 あっ……銃。

 敵がさっきまで持っていたものだ。誰が殺したのかは、喉の傷を見ればあの数人の1人ってわかる。

 俺は銃をとった。あの死体の様にならない為。

 でも、使い方分かんないな。


 建物の前にいた敵兵は俺達で片付けた。本隊が道路の敵とまだ建物の中にいる敵に身を晒しながら俺達に合流する。本隊がいた所には古参部隊がいた。射撃による援護をしくれている。


 にしても、相変わらず激しい銃撃戦だな。昨日もだったけど、ちょくちょく砲弾が飛んでくる。

 しかも至る所、燃えてたりしてる。


 敵と、向こうの味方の銃撃戦が続いてる

 建物の中の敵は下の俺達には射撃出来ていない。道路の敵からしか見えない様になった。

 俺が隠れてるうちに味方が建物のドアを蹴り破った。

 なんで、どんどん進んじゃうかなぁ〜。


 入った瞬間に短機関銃を連射し始めた。敵兵はたじろいで反応が遅れた。

「○×$¥! ○×$¥!」

 一斉に建物の中に突入した。俺はもちろん、後ろの方にいた。だって怖いもん。入って直ぐの場所は、大きい建物らしく広い空間があった。

 敵兵はどうやら、上の階に逃げたらしい。


 すぐさま上の階への突入準備を整えた。

 そして最初に突入しようとして数人が階段の前で準備した。その時、階段の上から何かが落ちて来た。俺からちょうど見える位置に。

 なんだアレ。

 それは缶詰に切り詰めたバットの持ち手を付けた様な形をしてた。わかりやすく言うとラ○ュタのドー○が序盤で投げた手榴弾みたいな形。


「-々*・=$!!!!」

 殆どのものが伏せた。しかし、彼だけは伏せなかったんだ。落ちて来たそれを掴み取り上の階に投げちゃった。

 相変わらずかっこいいよ あんた。


「ーーーーッ」

 ドォンッ

 上の階から叫び声が聞こえた。

 一歩間違えれば俺たちがああなっていたのか。

 あー怖い怖い。


「々〆々+$$÷÷*○*○」

 隊長の声が響く。

 相変わらず偉そうだな。多分、『上に行け!』とか言ってるんだろう。

 すぐに階段を5名が上がる。それに殆ど全員が続いて、ムカデみたいな感じになった。

 部屋に入った瞬間にさっきと同じように短機関銃を連射した。

 すごい音だな。


 粉塵が消えると、そこには4つの死体が。


 その後も手榴弾を投げたり、投げられたり、短機関銃を連射したり、されたりしながら、力押しでなんとか、他の部屋と屋上を占領した。

 もちろん俺は後ろの方で隠れてた。これも生き残る為だ、しょうがない。


 窓から道を見ると、先程から銃撃戦に勤しんでいる敵さんの姿が見える。

「×〒$☆・=○・」

 隊長の一声で、俺がいた側の窓にロシア兵が張り付く。

「×*÷=!」

 一斉に射撃を始めた。


 ねぇ、これどうやって使うの? てか、俺の銃だけ、敵のなんだよね。

 取り敢えず引き金を引いてみる。

 撃てないなぁ。これかな。

 なんか棒っぽいのが銃身から出てる。

 あ、上に動く。


 カチャカチャ触りまくる。

 カシャン。カラン……カラン カラン

 引っ張ったら、なんか出てきた。これって、弾じゃないよね。

 取り敢えず、棒を元の位置に戻す。また、引き金を引いてみる。


 バァンッ

 スッゲェ〜。衝撃が予想以上。なるほど、これ(引き金)を引っ張ると、さっき撃った弾のカス(薬莢)が出てくるわけね。

 あっ、敵いない。…………フゥ〜。


 そうこうしてるうちに敵は撤退していった。

 この日、俺がこれ以上人を殺すことはなかった。

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