2日目〔2〕スターリングラード市街戦

 死体を見るのは実は普通の人も経験がある。お葬式とかで。そういう仕事の人もかなりの経験があると思う。でも、戦場は地獄だ。慣れていても。


 まわりを見ると、俺以外にも武器を持ってなさそうなやつがチラホラと。それは関係無いかも

 しれない、だってさっきの砲撃で銃持ってるやつが死んだもん。


「々×○*・・♪*1・$÷÷2%」

 なんか偉そうな人が説明してるけど、言葉が分かんない。


 よし! もう言葉が分からんなんて気にすんな!

 俺は彼について行くぞ!上着をくれた彼に。

「々+*・/&/###@_|〒×」

「「「はははは」」」

 う? 何が面白いの?


「$.<+>$*^!£??,€<,€!!!!」

 なんか皆、そこらの瓦礫に伏せはじめたよ。どうしよう、俺もそうするか。


 そこまで大きくはない道路。二車線ぐらい? そこに散らばってる瓦礫に皆伏せてる。道路の横には4階建ての建物が建っている。


 暫くして、道路の先の方に人影が見えてきている。

 誰だ?

 少し頭を上げる。

 ヴォン………………ドゴォーン

 いま、俺の頭の上を何かがすごい速さで……。

 って、戦車⁉︎ 道の方から戦車きてるよ!何もしないの? え⁉︎ どうすんの?


 砲弾が頭をかすめたんだけど今のところ気付いてない。IV号戦車の7.5cm砲だ。

 焦ってる俺の頭を彼が押さえた。

「>>%€$>~<??」

 なんか怒ってる?

「*○・$¥€……×*÷=!!」

 猛烈な破裂音が、俺の鼓膜を震わす。

 ビックリした〜。『撃て』って言ったのか。俺、銃持ってないけど。あっ、何人か敵倒れた。


 戦車に随伴歩兵がついてて、そいつらを狙ったらしい。

 機関銃のような音がする。田植え機に音が似てる。

 敵も撃ち返す。俺はひたすら小さくなって隠れていた。敵の機関銃は連射速度は遅いけど、1発を確実に撃ってくる。そんな音だ。

 ヴォン…………ドゴォーン

 また、戦車が撃ってきた。下手だなー。全部頭上通過ー♪

 …………ドォォーン

 敵の戦車兵は3発目で見事に当ててきた。



 痛い。うわぁっ、耳鳴りがぁーっ。……また死体だ。そして俺は助かった。あぁぁああぁ。

「々・**…-/,-^÷?」

 良かったです、彼も生き残ってる。なんて言ってるか分かんないし、耳鳴りでよく聞こえないんだけどね。


 自分の身体を俺は見た。擦り傷ぐらいだ。

 折角もらった上着がボロボロだよ。


 いままで気づかなかったけど、よく見たら俺達がいた道の路地に味方? の姿が……。


 その路地に戦車が差し掛かった時。

「×*÷=!」

 金属に金属がぶつかる音がした。それも、特大の。

 戦車が炎上して乗員が脱出していく。対戦車砲にやられたらしい。

 俺は例の彼に引っ張られてその場から離れた。


「8+*♪€€×=+××☆」

 少し離れたら直ぐに偉そうな人が、いやただの偉そうな人じゃないな、多分、隊長だろうな。

 その隊長が何か言っている。

「:○*€%=!!!!」

「「「「Урааааааааウラァーーーーーーー!!!」」」」

 何? 何が起きたの?

 彼が俺の尻を叩く。彼が走って行ったから俺もついて行った。


「うっ!」

「あぁ」

 ダッダッダッダッ バンッ バババッバンッ

 凄いな。さっきから俺と彼は隠れてるけど、周りのやつはどんどん倒れていく。

 もう、嫌ダァァァァァッ! 死にたくないなぁ!

 彼が俺の肩を叩く。

 なんだよって、すごい笑顔。

「€~^^\.\%>~>^~$•+>」

 なんて言ってるか分からんが、俺は君について行くよっ!

 笑顔で俺も答えた。すると彼は持っていた短機関銃を敵にめがけて連射した。身体は隠して、手と銃だけを出して撃ってる。器用だと思った。

Ураааウラァーー!」

 あーあー彼も突っ込んでいっちゃった。……

 ええいぃーっ、もうどうにでもなれぇーーっ!

「ウラァァー!」

 全力疾走、最近は全然してなかった。横っ腹がつった。


 ロシア兵が敵の顔を殴ったり、ナイフで刺したり、銃で撃ったり、そこらの石で殴ったり。敵もロシア兵に対して同じようなことをしていた。

 まさに地獄そのもの。

「°¥$♪〒+×〆\!!!」

 敵が俺めがけて突っ込んで来た。

「うわぁぁぁーーー!」

 凄い形相に驚いたんだよ。びびったんじゃないよ。


 パァン

 そこに立っていたのは隊長だった。ピストルの構えの美しいこと。

 やっぱり隊長は頼もしいな。

 そんなこんなで逃げ回ってるうちに敵軍の部隊は撤退していった。まぁ、100mほどだけどね。

 安心したのもつかの間、敵が1人だけ残っていた、俺の後ろに。


「°¥$♪〒+×〆\!!!」

 俺は直ぐに後ろを振り向いた。敵兵はナイフを振りかぶって来た。なんとかそれを手で押さえる、でも勢いは殺しきれず俺は尻餅をついた形になった。


 ナイフがじわりじわりと俺の顔に近づく。俺の上に敵兵がのしかかる感じだ。

 力じゃあっちの方が上だ。このままだと死ぬと悟った俺は、精一杯の力で敵兵を押しのけて、今度は俺が敵の上にのしかかった。

 ここまでは良かったけど、まだナイフは敵兵が持ってるんだよな。

 敵に馬乗りになった形で尻ポケットに感覚があった。彼からもらったナイフだった。


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