第135回『熱くない』→逆選王☆☆☆☆

「ダメじゃ、それに触ったら!」

「ビ、ビックリしたぁ……。いきなり叫ばないでよ、おじいちゃん。大丈夫だよ、これ電角でしょ?」

「電角? とにかく、消したばかりの電球に触ったらいかん! 大火傷するぞ!」

「だから言ってるじゃない、電球じゃなくて電角なの。デ・ン・カ・ク」

「なんじゃ、その電角っちゅうのは?」

「去年、法律が変わったでしょ。 白熱電球と区別するためにLEDはすべて角型になったのよ。丸くなければ熱くないの。わかった?」

「なんだかよくわからん。エルなんとかって横文字を出せば誤魔化せると思って、年寄りをバカにしとるじゃろ?」

「なによ、親切に教えてあげてるのに。嘘だと思ったらそれ触ってみてよ、おじいちゃん」

「そんなことできるわけないじゃろ?」

「だったら私が触ってみるから」

「だからやめろと言っとる。火傷するぞ」

「じゃあ、おじいちゃん、触ってみて?」

「それはできん」

「じゃあ、私が」

「それはいかん」

「じゃあ、そこで笑ってるお父さん」

「えっ、俺? 俺は……」

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