第102回『ドミノの時代』→落選

 ゴールデンウィーク分散化法案が可決した。

 週末の集会場は、説明を聞きに来た住民でごった返している。なんでも、人によって休暇になる週が異なるらしい。

「今年の五月の第一週は、顔にホクロが一つだけある人が休みになります」

 すると、中年の男性が手を上げて質問した。

「俺はホクロ二つだから休みは第二週だか?」

「そうです」

 男性はさらに続ける。

「ウチの娘は顔にホクロが三つあるだけんど、一緒に休めねえだか?」

「家族なら一緒で結構です」

 すると、男性の娘と思われる女の子が立ち上がって文句を言い始める。

「何勝手に決めちゃってんの? 私はホクロ三つの友達同士で、第三週に遊びに行こうと相談してんのに!」

「そういう事情なら、その友達も一緒に第二週に休んで構いませんよ」

 これを皮切りに質問が相次いだ。

「私はホクロが三つで従兄弟は一つなんですが」

「一緒で構いませんよ」

「僕は一つで彼女は二つです」

「どうぞご一緒に」

「アタイは二つで、オヤジは五つ」

「OKです」

「ワシは四つで……」

「あっ、あなたはダメですよ。ホクロの数が前と繋がってない」

「私はカシオペア、愛人はサザンクロス」

「ノープロブレム!」

 ホクロの連鎖は夜まで続いた。

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