第43話 二日目の終わりは拘束日和
私の秘策もあってか、お昼に常連の変態どもに見つかることはなく、無事貞操を守ることに成功。しかし、その代償にバター犬へと降格になってしまった。
「友梨佳さん。お昼はどちらにいらしたんですか? まさか学校の敷地内にいなかったとか言わないですよね犯しますよ?」
お昼が終わり、最初にかけられた言葉がこれである。まったくもって変態というのは恐ろしい。
「ちゃんと学校の中にいたよ。それも教室の近くに」
「それは嘘です。そんな近くにいながら私の友梨佳さんレーダーで捉えられないなんてありえません」
「友梨佳さんレーダーってなんや……発信機とかつけてないだろうな」
「それは秘密です」
絶対つけてるよこれ。でもそれでも見つからなかったってことは、お昼休みに身に着けていたものにはついてないってことだから、たぶんケータイのGPSとかの類だろう。その程度であればまぁいっか。
「じゃあ答え合わせしようよ。一体友梨佳ちゃんはどこに隠れてたのかな?」
笑顔が怖いですね。そんなに見つけられなかったのが悔しいのだろうか。
現在私は友梨佳捜索隊であった深桜ちゃんとリリィに両脇を固められ、黙ってはいるが後ろから桔梗ちゃんに抱き着かれておっぱいめっちゃ当てられてます。正直すごくヘブン。
「まぁそれはいいじゃない。今更どこに隠れてたかなんて聞いてもしかたないでしょ?」
「れいさん、これは重要なことなのです。私の愛しき友梨佳さんがどこぞの馬の骨とも知らないやつに匿われていた可能性だってあるんですから」
深桜ちゃんは鼻がきくのか、薄々誰かに匿われていたと感じているらしい。恐ろしや変態の超能力。
「そうだよ。その相手が友梨佳ちゃんのことを犬とか奴隷とかにしてる可能性だってあるんだよ。そんなの許せる? 許せないよね? 許さない」
リリィさんにもその超能力が備わっているらしく、私がどこぞの変態とまたよからぬ関係になっている可能性を感じていた。君たち本当に見つけてないんだよね私のこと。
「みんなの言う通りだよれいれい~。だってゆりんこからロリコンの匂いがするもん。これは絶対誰かにつけられた匂いだよ~」
こわっ! 匂いで誰と一緒にいたか分かる桔梗ちゃんこわっ!
「ロリコン……?」
私の周りにいるロリコンなんてそう多くないし、というか私の周りには特異なお方がいっぱいいるが、それでもロリコンに絡まれることは少ないわけで。つまりは誰と一緒にいたか特定可能ってことだよ!
「あいつ……、ちょっと犬神家してくる」
どういう意味よそれ。学校の池に沈めてくるってこと? それは犯罪なのでNGの方向でお願いします。ってもういないし。
まぁ私が言わなくてもリリィなら自制してくれると、私信じてるからね!
「友梨佳さん? 詳しく話してくれないと今日は寝かせませんよ?」
あはは……、どうせ話しても寝かせてくれないんでしょ?
そんなこんなで根掘り葉掘りあることないことすべて喋らされた私は、午後の体育祭をまるで人形のように一切動かずに過ごしたのだった。
二日目も滞りなく終了した体育祭だが、未だ私の中では少し特殊な種目が混じった(良く言えば学校の特色が色濃く反映された種目かな)比較的普通よりの体育祭と感じている。
そこまで引くほど変態的な種目もまだないし、私の興奮度がマックスハートするような現象にもさほど出会っていない。
これは由々しき事態である。
今回の体育祭で私は夜のおかずをたんまりゲットしたい所存である。だからこそこうして密に計画を立て、下から濃厚な蜜を吐き出しながら準備を頑張ったのだ。しかし蓋を開けてみれば変態描写は刹那に流れ、健全で健康的な少女たち(それでも興奮するのだが)の写真や動画ばかりになってしまった。
だが、まだ諦めるのは早かろう。
我らが体育祭はあと一日あるのだ。三日目、つまり最終日というのはなにかあるというジンクスがある(知らないけれど)のが、この世の常であり、終わりよければ全てよしといった素晴らしい言葉だってこの世にはあるのだ。
つまり有終の美さえ飾れれば万事事もなし。世界は光を取り戻して平和が訪れるのだ。
まぁ、三日目に参加できればの話ではあるが……。
「しかし、このざまである」
二日目が終わって早速拘束された私がだ、しかしもう驚かない。私の周りには拉致監禁を平気で実行する輩がたんまりいるのだ。いちいち驚いていたら心臓麻痺で死んでしますし。
丁寧に目隠しされ、手足も厳重にロック。椅子の類に縛り付けられているようではないのでもぞもぞと芋虫みたいに動けはするが、何かが身体の上に乗っているようで、移動は困難であった。
いったん冷静になろう。こういった場合は誰に、どんな目的で拘束されたかが重要であり、その相手によっては即死級のトラップが仕掛けられているので、見極めはちょう重要。
深桜ちゃんであれば逃れようもない地獄が待っていて、リリィの場合は逃れようのない責め苦が待っていて、万に一つの可能性として桔梗ちゃんだったりしたら貞操が奪われて、きっとないだろうけれど可能性としては考えられなくもない七未であれば拘束されたまま野外で貞操が奪われる。……どれも即死確定だった。
「あ、気が付いたみたいだよ」
甘ったるい声がしたが、桔梗ちゃんではない。誰だろうか。どっかで聞いたことあるような?
「ほんと? あれだけしても起きなかったのに、どうやって起こしたの?」
「なんもしてないよ。ただ私の匂いを付けてあげようと思って全身にこすりつけてただけ」
どこをこすりつけてたんですかね? 場合によっては私が昇天しますよ。
「あんたってマーキング好きだよね。っていうかそんな年増にマーキングして大丈夫?」
「大丈夫だよ。まぁこれは前戯みたいなものだし、やっておかないと落ち着かなくて」
年増という単語だけで誰に拘束されたか分かってしまうあたり、私はもう毒されているのだと思います。
これロリコン三人娘の仕業でしょ。
やばいよ。これはやばいよ。何がやばいってもういろいろとやばい。やばいしか思いつかないくらいやばばだよ。
このことが深桜ちゃんや他の変態たちにばれたら私、今度こそ貫通させられちゃう。どこがとは言いませんが。
「さて、犬も気が付いたみたいだし、さっそく調教をしましょうか」
嫌な予感しかしない。
「まずは……そうね、私のことを瞬時に判別できるように匂いを覚えてもらいましょうか」
そう来ますよねやっぱり。変態ってなんで自分のものにマーキングするの好きなんですかね。私も大好きですけど!
「ほら、舐めなさい。これからあなたが大好きになる予定のものよ」
これからっていうか、もうずっと前から恋してましたよ私は。でも私が好きなのは私が好きな人のものなんだよなぁ。そこらへん理解されなくてつらい。
まぁ、そんなこと言っても舐めちゃうんですけどね。
「うんうん、中々上手ね。前に飼ってた子は上手に躾してたみたいね」
私の存在とは……。もう人にすらカウントされていない説が濃厚になってしまった。
「面白そう。私も次やっていい?」
「いいわよ。どうせ私一人で飼ってても貴方達は手を出すでしょうし、いっそみんなで飼いましょう」
「やったー! ちょうどおもちゃにも飽きてきてたし、新しいおもちゃ買おうか悩んでたんだ!」
「私も、もうちっちゃい子とはご無沙汰だったし」
こいつらマジで犯罪スレスレですよね。警察のお世話にならないことを祈ります。
と、そこで気づいた。気づいてしまった。
たぶん、警察のお世話にならないために、私を飼うのだと。
なるほど、変態でも馬鹿ではないらしい。でもそれって本人の同意とか求めるでしょ普通。あ、この子達ふつうじゃなくて変態っていう生物だったか。
「私はもう十分よ。さ、今度は貴方達で楽しみなさい」
「はーい」
「ありがとー」
まぁ、私が犬になることで喜んでくれる女の子がいるんだから、この扱いも別にいいかなって思えてしまうあたり、私も人のことはあれこれ言えない特異性を持った変態と言えるだろう。
たとえそれが、歪んだ愛情の果てだとしても。
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