第2話 プレゼント

 「瑞樹ちゃんはサンタさんにもらうとしたらなにがほしい?」


 「ママ、瑞樹にはほしい物はないよ」


 「ええ、どうして? いい子にしていればサンタさんがプレゼントをもってきてくれるのよ」


 「知ってるよ。でもね、瑞樹はね。ほしい物はないの」


 「何でこの子はそんなことをいうのかしら。誰かになんか言われたのかな」


 「ママ、違うよ。本当にね。ほしい物はないんだ・・・」


 「じゃあ、何にもいらないの?」


 「うん。・・・ううん、いる・・・いるよ」


 「そう。じゃあ、それはなーに?」


 「ええとね。物じゃないんだけどいい?」


 「なにそれ?」


 「あのね。お仕事から帰ってきたらすこしだけ絵本を読んで。ママ、疲れているから少しでいいの」


 「ああ、ごめんごめん。最近読んでなかったね」


 「それからね・・・」


 「それから?」


 「パパと仲良くしてね」


 「えっ」


 「パパのこと、よろしくね。あれでもママのこと好きなんだって。別れたことを後悔しているって。瑞樹は好きになった人のことを大切にしなくちゃ駄目だって」


 「まあ」


  私は別れた夫のことをほんの少し見直した。

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