第18話そうだ、遊んでみよう。

 放課後、三人で下校して我が家までやってきた。

「へー、こんな可愛い子がいるものなのねえ……」

 中に入ると、玄関に迎え出た母さんが水野さんを一目見て感嘆のため息をついた。

「水野璃里花と申します。初めまして、お義母様」

「今『お母様』に余計なニュアンスが……」

「何を言ってるんですか。気のせいですよ」

 涼しい顔の水野さん。その理屈で言えば俺もお義兄様と呼んでもらえることになるぞ。いいんだか悪いんだかわからないけど一回くらい言われてみたい気もする。

「二階が私たちの部屋だよ」

 先導する柑奈に続いて俺と水野さんも階段を上がる。俺が水野さんの後ろについたので、水野さんのもちもちすべすべつやつやの、白くて美しい太ももが至近距離に迫ることになった。ウルトラ眼福。

 とりあえず俺の部屋に入り、柑奈と相談しながら何シリーズかおすすめの漫画をピックアップした。水野さんはそれをしばらく吟味してから結局有名な王道作品をチョイスした。

「どうもありがとうございます。……家に帰って見てみたら猥褻な本に戻る魔法とかかけてませんよね?」

「俺の魔法せこいな」

「言われてみれば。確かに辺見くんが使うならもっと直接的で肉体的な辱めを長時間に渡って絶え間なく受けさせるような魔法のはずですよね。どうもすみませんでした」

「ははは、気にしなくていいよ」

 謝るところそこかー。

 そしてなんで俺は笑って許してるんだろう。水野さん相手なら俺はどちらかというと辱めを受ける方が好きなのにな。……あれ、そこでもない?

「ありがたくお借りしますね」

「ああ、うん。気に入るといいんだけど」

 律儀に頭を下げてお礼を言ってから、水野さんはちらりと部屋の壁を見た。

 なんだろう。ポスターも何も貼ってない真っ白な壁だけど。

「あの、もしかしたら、男の人の部屋にずっといると具合が悪くなってしまうかもしれないので……辺見さんのお部屋に移ってもいいですか?」

 そう言う水野さんの頬が、最後の方にわずかに緩んでしまうのを水野さんフリークの俺は見逃さなかった。

「つまり柑奈の部屋に入ってみたい、と」

「そんなことは……まあ、あるんですけど。というかなんで辺見くんは私の心を読めるんですか? やっぱり魔法使いなんですか? 心を丸裸にしたあとは体も丸裸にする魔法でもかける気ですか?」

「ふっ……」

 水野さんが見てたのは壁じゃなくて壁の向こう側。つまり柑奈の部屋というわけだ。水野さんの一挙一動を把握している俺にはその心理読み解くことなんて造作もないぜ。

「魔法か。水野さんへの愛がそうだというなら、確かに俺は魔法使いなのかもしれないな」

 あごに手をやりながら水野さんの目を見据えてキリッと言ってやると、水野さんは少しだけ頬を染めてすぐさま目をそらした。

「あ、愛とか。よくもまあそんなことを臆面もなく言えますね。私を恥ずかしがらせるためならどんな恥ずかしい行いもいとわないということですか。そのうち服を脱いだりし始めそうで恐ろしいですね。今のうちに通報しておいた方がいいでしょうか」

 最近の風潮を鑑みるに、これだけでも本当にストーカー認定されそうだから怖い。

「えーと、じゃあ私の部屋行く?」

「はい、お願いします!」

 柑奈が言うと、水野さんはケロッと気を取り直して何度も大きく頷いた。なんかしっぽを振る犬みたいで愛くるしい。

 俺の部屋を出て、先ほど一度通りすぎた柑奈の部屋のドアを開ける。

「ここが辺見さんのお部屋……!」

 柑奈の部屋に入るなり、水野さんの息が荒くなった。

「鼻息、鼻息。ちょっと深呼吸でもして落ち着こうぜ」

「そ、そうですね。すぅ、はぁ……これは」

 一度深呼吸した水野さんが目を見開く。

「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ、すぅぅぅぅぅぅ…………はあ、はあ、はあ。……これはどう考えても逆効果ですね」

 どうやら柑奈の部屋の空気を大量に吸い込んだことで興奮してしまったようだ。途中から目的がいかに多く柑奈の部屋の空気を吸い込むかに変わり、最後には酸欠に近い状態に陥っていた。この人アホだ。

 しかしそんな変態的な行為でも水野さんがやると可愛く見える。俺もアホだな。

「あ、あはは。椅子ないからこれに座ってね」

 柑奈は苦笑しながら可愛らしい動物の柄の入ったクッション三つを押し入れから取り出し、床に並べた。俺と水野さんは言う通りに腰を下ろす。

「さて、何しようか」

 最後にクッションに座った柑奈が腕を組んで考えこむ。

 うーむ、この状況から水野さんとの距離を縮めるにはどうするのがいいだろう。

 今日の漫画の一件で気づいた。今までは俺が水野さんの趣味に合わせることばかり考えていたけど、方法としては水野さんに俺の趣味を教えて共有するというのもアリだよな。初めはそんなの絶対無理だったけど、多少仲良くなった今ならあり得ないことじゃない。

 となれば……。

「ゲームとかどうよ?」

「あ、いいかも。水野さんはゲーム好き?」

 俺と柑奈の視線を受けた水野さんはことりと首を傾けた。

「やったことないのでわかりません」

「じゃあやってみる?」

「はい、是非」

 水野さんがわくわくした様子で首を縦に振ると、柑奈がテレビ台の下に入っているゲームソフト入れを取り出して水野さんの前に置いた。

「好きなの選んでいいよ。直感で選んだやつを片っ端からやっていこうよ」

 水野さんが一つ一つソフトの表についているステッカーの絵を見ていく。格闘ゲーム、横スクロールのアクションゲーム、パズルゲーム……ときて、あるソフトを手に取ったところで動きを止めた。

「これはなんのゲームですか?」

「あ、それはレースゲームだね。やってみる?」

「キャラクターが可愛いです。難しそうですけどやってみたいです」

 デフォルメされた動物をドライバーに据えたカートでレースをする『アニマルレーサーズ』というゲームだ。水野さんの言う通りキャラの可愛さのお陰で女の子の人気もそこそこ高い。

 ちなみに俺のお気に入りはオカピのオカピエールくん。

「どうする? 三人プレイにする?」

 俺に向かって尋ねる柑奈の隣で、水野さんが目で俺に何かを訴えかけていた。

「あー、ほら。得意な俺が混ざると初心者の水野さんが面白くなくなっちゃうかもしれないし、とりあえず柑奈と水野さんの二人で勝負してみれば?」

「そうだね。私はそこまでうまくないし、とりあえずそうしようか」

 これでよろしいですか、お姫様。ええ、よくやったわ。視線で交わすそんな会話。この、心と心が通じあってる感じはいいんだけど内容が残念すぎる。

 柑奈がゲーム機にカセットを挿して電源を入れる。テレビにゲーム画面が表示されると慣れた手つきでコントローラーを操作して二人対戦に設定した。

 続いて操作キャラ選択画面が現れる。

「私はいつもどおりワンパックくん」

 犬のワンパックくんは一番操作しやすいキャラだ。使い手を選ばないけど、他のキャラと比べて秀でた特徴もない。要するにオールラウンダータイプだ。

「ええと……」

「そこのスティックを倒した方向にカーソルが動かせるの。使いたいキャラにカーソルを合わせて、Aボタンを押すと決定できるよ」

「わかりました」

 水野さんが不慣れな手つきでスティックをこねくり回す。その手つきを見てほんの一瞬だけ卑猥な想像をした自分を恥じる気はない。

「キリンのキリンリンちゃん……?」

 画面に大写しになったキリンリンちゃんは、なぜかヘッドバンギングするように長い首を激しくくねらせている。ポッキリいきそうでちょっと心配になる。

「どちらかというと上級者向けだな。ちなみにカートの全長よりキリンリンちゃんの首の方が長い」

「なんか想像するとシュールですね。やめておきましょう」

 コースの前方を見るのにわりと邪魔だったりする。ドライバー視点ならもしかすると利点になるのかもしれないけど、このゲームのシステムでは何にもならない。

 続いて水野さんがカーソルを合わせたのは、鳩のポッポポくん。

「え、なんで飛ばないんですか?」

 身も蓋もない指摘だった。

「多分あれだ、鳥の友達がいないから陸の動物たちと遊びたいんだよ」

「もうちょっとポジティブな方向に想像しましょうよ」

 そもそも鳥がどうやって運転するんだよ、という疑問については心配ない。ポッポポくんは翼を手のように動かすファンタジー技術の会得者だからだ。

 さらに別のキャラにカーソルを当てた水野さんが眉根を寄せる。

「これは……なんですか? シマウマじゃないですし、キリンにしては首が短いですね」

「お、オカピエールくんだな。オカピエールくんはオカピだよ」

「オカピ……ああ、三大珍獣の。名前は聞いたことありますが見たことないんですよね。こんな動物なんですか?」

「だいたいそんな感じだったと思う。さすがに二足歩行はしないと思うけどな」

 画面上のオカピエールくんはジャンプしたりウインクしたりこっちに手……というか前足を振ったりしている。チャームポイントはつぶらな瞳。

「なんか可愛いですね。これにしてみましょう」

 おお、気が合うな。でもオカピエールくんはゲームをある程度進めないと出てこないシークレットキャラだから一番扱いが難しいんだよな。大丈夫だろうか。

 でもせっかく自分で決めたわけだし、水を差すのも野暮ってもんだよな。もしかしたらうまくいくかもしれないし。

「じゃ、始めよっか」

「あ、操作の方は」

「そうだったね。そのスティックで……」

 柑奈が指でさして説明しようとしたところで、水野さんはクッションを柑奈の真横に移動させて肩がくっつきそうなほど近距離に座った。

 いいなあ。柑奈と場所を代わりたい。いや、この際クッションと交代でもいいぞ。むしろクッションの方がいいな。

 柑奈は距離感に戸惑いながらも水野さんに操作方法を教えていく。肩が触れ合う度に水野さんの頬が緩む。そんな水野さんを見ている俺の頬も緩む。

「わかった?」

「大丈夫です」

 まだゲームが始まってもいないのに、水野さんはものすごく満足そうだった。

「じゃあ始めるよ。まあ、まずは試しにやってみる感じでいいんじゃないかな」

 柑奈が言うと、画面上でレース開始までのカウントダウンが始まった。

 そのカウントがゼロになると同時、柑奈のワンパックくんが走りだす。少し遅れて水野さんのオカピエールくんも発進。

「あ、おっ、ほっ、あれ? あー……。え、なんで、ちょっと。ふう、危な……って、うわわっ。わーわーわー。曲がるの遅っ……」

 未知の体験への期待に満ちた顔から、操作を誤って焦った顔、失敗にがっかりした顔、一瞬だけどうまくいってホッとした顔、その直後に制御を失ってまた慌てた顔、そして最後にはふてくされ気味な顔、とプレイしているうちに表情をコロコロ変えていった。

「難しかったです……」

 完敗した水野さんは、コントローラーを手放して唇をとがらせた。

 水野さんが百面相していた一方で、その愛くるしさにやられた俺は始終にやにやしっぱなしだった。でもやっぱりちゃんと教えてあげるべきだったかな。

「実はオカピエールくんって一番難しいキャラなんだよ」

「それを先に言ってくださいよ。私が苦しむ姿を見て快感を覚える辺見くんには無理な相談かもしれませんけど」

 怒られた。どんな人でも瞬く間に感情的にしてしまうからゲームは面白いよな。

「でも次に普通のやつ操作すれば簡単に感じるかもしれないぞ。ほら、このニャンマーちゃんとか使ってみなよ。これとワンパックくんが一番簡単だからさ」

「じゃあそれでもう一回だけやってみます」

 半信半疑という感じでもう一度コントローラーを手に取る水野さん。柑奈もすぐさまスタンバイして、再びレース開始。

 お、今度は水野さんの操作もスムーズにいっているな。というかかなりうまい。さっきまでの混迷が嘘のようだ。

 そしてこれはもしかするんじゃないか、と思っていると……。

「やった!」

 見事、水野さんがチェッカーフラッグを受けることになった。

「えー、ちょっとショックかも。手加減とか一切してないのに」

 柑奈が目をパチクリさせる。俺が見てる限りでも柑奈が手を抜いてる様子はなかった。普通に戦って、普通に負けたように見える。

「ビギナーズラックというやつですね。でも楽しかったです。ゲームに熱中してしまう人が世の中にたくさんいるのもわかります」

「いや、本当にうまかったよ」

 もちろん途中で水野さんが良いアイテムを拾ったからというのもあるけど、堂々たる走りぶりだった。

 賞賛する俺を、水野さんが野心に燃える瞳で見つめてくる。

「辺見くんの方が上手なんですよね? 挑戦してみていいですか?」

「え? そりゃもちろん」

 どうやらこのゲームを気に入ってくれたらしい。ゲームを柑奈と接するための道具以上の何かとして認めてくれたみたいだ。提案者として喜ばしい限りだぜ。

 柑奈からコントローラーを受け取って、いつものようにオカピエールくんを選ぶ。

「む、ハンデですか?」

「いや、オカピエールくんが俺の本気なんだよ。一目惚れして使い込んだからさ」

「仁くんが他のキャラ使ってるときはときどきなら勝てるんだけど、オカピエールくんのときは一回も勝ったことないんだよね」

「……よくアレをそんなに使いこなせますね」

 オカピエールくんを「アレ」呼ばわりした水野さんの声には多少の憎しみが混じっていた。何も悪いことしてないのに、哀れなオカピエールくん。

「よし、早速やろうか」

「ええ、望むところです」

水野さんがまたニャンマーちゃんを選び、カウントダウンを挟んでレーススタート。

 完璧なスタートダッシュを決めた俺が、初っ端から水野さんを突き放す。水野さんもさっきのように大きなミスなく操作しているけど、小さなミスすらない俺との差はどんどん広がっていく。

「ふははははっ」

 そのまま、初回の柑奈と水野さんのときよりも大きな差をつけてゴール。

「むう……悔しいです」

「一応やりこんでるからな。さすがに初心者には負けられない」

 多分接待してもすぐばれるし、そっちの方が好感度下がりそうだからな。

「もう一回やりましょう」

 ぐっと拳を握って力強く再戦要求。どうやらハートに火がついてしまったらしい。もちろん俺としては断る理由がないどころか、こちらから土下座してお願いしたいくらいなので二つ返事でそれを受け入れる。

 というわけで始まったシリーズだったが……。

「これで五連勝だな」

 あれから四戦して、結果は俺の全勝。たったの一度もオーバーテイクされることのない完勝の連続だった。我ながら容赦ない。愛のムチってやつだな、うん。

「なんで勝てないんでしょう……」

「まだやる?」

 尋ねられた水野さんが、ふと気づいたように自分たちばかりやってていいのかと柑奈を仰ぎ見る。柑奈はにっこり笑ってパタパタと手を振った。

「私はいいよ。オカピエールくんの仁くんが負けるとこ見てみたいし」

 柑奈の承諾を得た水野さんは、再び瞳に闘志を燃やし始める。

「そういうことならやりましょう。次こそは勝ってみせますからね」

「おお、くじけないな。いいよ、とことんまで付き合うさ」

 俺と水野さんが鋭い眼差しを画面に向ける中、六度目のレースが始まる。俺は今までと同じように完璧なスタートを切った。水野さんのスタートも徐々に上達している。

 ああ、やばい。幸せすぎるぞ。水野さんとこんな風に楽しくゲームができる日が来るなんて、初めて話しかけたときは想像することもできなかった。

 ちらっと隣の水野さんをうかがい見る。つややかな唇を白くきれいな歯でかみしめながらコントローラーを操る姿は真剣そのものだ。コーナーを曲がる度に、つられて体が左右に傾いてしまう姿もキュートすぎてたまらない。

 水野さんがこんなに我を忘れて無防備になっている表情を間近見られるなんて、興奮のあまり鼻血が出そうだ。今のうちにしっかりと目に焼き付けておかないと……。

『オカッピー!!』

 俺がデレデレとよそ見をしていると、テレビからオカピエールくんの悲鳴が聞こえてきた。慌てて画面に目を戻すとオカピエールくんがコースを外れて湖に転落していた。

「げっ」

 すぐに救済措置を受けてレースに復帰したけどこのロスは大きい。とうとう水野さんに先行を許してしまうことになった。しかも多少差をつけられている。

 ……でも、これくらいならなんとか挽回できるか?

 気合を入れ直した俺はそこから怒涛の追い上げを見せていく。少しずつ、少しずつ差を詰めていき、ゴールまで残りあとわずかというところで、ついに水野さんのニャンマーちゃんを目前にとらえた。もうゴールも近い。

「よし!」

 そのまま抜き去り、ニャンマーちゃんが画面から消えて勝利を確信した瞬間。

「あっ」

 オカピエールくんの目の前に突如として火柱が上がった。

 水野さんが妨害アイテムを使ったのだ。一位のカートに対して有効なアイテム。火に怯えるという動物の性質を反映していて、これを使われた相手はしばらくその場で立ち往生するはめになる。

 カートの運転席で頭を抱えながら震えるオカピエールくんの脇を、ニャンマーちゃんが颯爽と追い抜いていく。そして、歯噛みする俺が見つめる中ニャンマーちゃんがそのまま一位でフィニッシュした。

「ぐぬぬ」

 コントローラーを置いて太ももを軽く叩いた。

「勝った! やった、やりました!」

 水野さんが勢いよく万歳する。そして喜色満面で誇らしげに俺の方を向いた。

 その表情を見た瞬間、負けた悔しさなんて一瞬で雲散霧消してしまった。

 なんて言えばいいんだろうな。純真無垢とか、天真爛漫とかそういう言葉が陳腐に見えるくらいキラキラした笑顔。心が洗われるっていうのはこういうことを言うんだと思う。それくらい魅力的な表情だった。

 思わずにやにやしながら水野さんをまじまじと見つめてしまう。

「う……」

 その視線で我に返った水野さんは、笑顔のまま硬直した。みるみるうちにその顔を紅潮させていき、ついにはぷいっと赤い顔をあさっての方角に向けてしまった。

「……今のは忘れてください。つい興奮してしまいました」

 嫌です。心のアルバムに永久保存します。むしろ念写能力者を探しだして物理的にも永久保存したいくらいです。

「……なるほど。興奮した私の姿を卑猥な妄想の種にするために私にゲームをやらせたんですね。間違いありません。本当に用意周到で謀略に長けた卑劣な人です」

 と、ぶつぶつ不平を漏らす水野さん。

 しかしまさしく「惚れたら負け」という格言の通りになってしまったぜ。でもこんな負けならいくらでも歓迎だ。水野さんのいろんな表情を近くで見られて、しかも最後にはこんなに眩しい笑顔が見られたんだからな。

「あーあ」

 ついにやにやしてしまってどうにも気持ち悪い顔になってしまう。それをごまかすために俺は絨毯を敷いてある床に仰向けに寝転がった。

 この後も三人で格闘ゲームやアクションゲームなど、多種多様なゲームに興じた。水野さんも楽しそうだったし、水野さん鑑賞を堪能できた俺も幸せで、最高の一日になった。

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