縛られた運命
数刻後、クーネロイス国、国際農業貿易商社本部
通称、クーネロイス魔王城外門前
「しかしまぁ、間近で見るとやっぱりデカいな……
あの崖っぷちから見た時とは、文字通りの大違いだぜ
あの時は確かに城に見えてたんだが……」
金色の短髪に身体を覆う楠んだ橙色のマントを羽織り、そのひょろ長な身の丈以上もある大槍を担いだ男は呟く。
額に手を当て、まじまじと目の前に雄々しくそびえ立つ屋敷を見上げながら……。
すると、少し後ろから呆れた様な口調の男が続ける。
「場所はあってるんだろ……?
魔王がふん反り返って座りながら嘗め腐った顔で待ち構えている城っつうには、随分とオーバーで大袈裟なのは俺が見ても分かる
確かに見た目が城らしいかと言われたら、むしろ、どっかの大富豪が住む屋敷っつうか、小洒落た隠れ家みてぇだが……」
赤い髪をくしゃくしゃと右手で掻きながら、彼もまじまじと目の前にそびえ立つ城を見上げていた。
その不安げな言葉を断ち切る様に私は彼らから一歩前に出て、大きい門に手を触れる。
触れた手から、少しばかりプレッシャーを感じたが、そんな事はあらゆる事に覚悟を決めた今の私にとって些細な事に過ぎない。
「そんな事どうでも良いわ
早く中に入りましょ、こんな所で立ち止まって話してても何か始まる訳じゃないし」
私は特に何の躊躇も無しに彼らを先置き、魔王の居城の外門を潜った。
「おいっ!!
お前少しは気を付けろ……って……」
金髪の青年が制止するも、そんな事はお構い無しだ。
私は踊る心を抑え、外門の中へと脚を踏み入れる。
すると、驚愕の、いや意表を突かれる物が目に飛び込んで来たのだ。
「あ……」
私達の目の前には広大な畑が広がり、その先にそびえ建つ城の城門に向かって用水路が伸び、それはまるで細い堀の様になっている。
畑には、手入れが施されており、少なくとも我々が今まで見て来た農村とは格の違う、もはや美しささえ感じられた。
広大さも見た事の無いもので、伊達に農業貿易国家と呼ばれている訳ではない事が一目で分かる。
「こいつぁ……」
赤髪の彼は大きく口を開けたまま唖然とする。
私も同じく、彼の様に息を呑んでいた。
魔王城などと呼ばれる事に反して、あまりに平和な光景に驚きと共に不思議と感じてしまう安堵を隠す事が出来なかったのだろう……。
赤髪の彼は、そっと私の肩を抱き寄せる。
「……もし、だ
俺達が生き残れたなら……」
彼はその風貌にも、性格にも似合わず恥ずかしげに小さくそう呟いたが、ぐっと堪える様に言葉を切ってしまう。
その不安混じりの思い詰めた表情を浮かべた彼の言いたい事は大いに予想が付いた。
だが今の私に、彼の優しい言葉に返す言葉など持っていない、それどころか、そんなものを返す資格など私には無い……。
彼も私がそれに応える事は無いだろう、と言う事も同時に察しが付いていた様で、私の肩に回した腕をゆっくりと離し、顔を両手で叩いた。
……私にとって、ここはある意味一つの終着点で、事によっては一つの踏み台に過ぎない。
ただ、命の保証が無いこの場所が彼らの墓場であると言う事だけは、彼らは感じている様だった。
分かっている事はそのくらいなものだ。
ここが彼らにとっての墓場だとして、私はどこかで、ここが私にとって安息の地になるやも知れぬと、直感している所があった事に、少しばかり恐怖を感じた。
「……さぁて、立ち止まってる暇があったら、とっとと魔王を潰して勝利の美酒と洒落こもうじゃねぇか……」
赤髪の彼がその場で軽く足踏みをして自身を奮い立たせると、クスリと鼻で笑いながら歩みを進め、彼は自信に充ち満ちた強い眼差しを輝かせた。
そして、それに呼応する様に、金髪の彼が口を開く。
「俺ぁ、酒より飯が喰いてぇな」
彼もまた、爽やかな笑顔を浮かべて私の肩を掴んだ。
「んじゃまぁ、大いに期待してるぜ、お嬢さん」
彼はその透き通った爽やかな笑顔を私に向け、赤髪の彼の後を追う。
「私は……」
そう、この扉を開けたら。
私は今まで以上の化け物になるやも知れない。
そうすれば、人の波に渦巻く地に赴く事も、余計な繋がりを持つ事も無く、無限の自由を手に入れられるだろう。
そう、考えれば……
「もう、何もいらないけどね」
私は、自然と口元が緩む。
例え、化け物と蔑まれ、英雄でも、ましてや人とすら呼ばれぬ様になったとしても。
それを私は望んで受け入れるだろう。
ここは、私の『運命』を定める聖地なのだ。
「行くぞてめぇら!!
腹ァ括れよッ!!」
赤髪の彼が私達の顔を見回し、大きく声をあげて、大扉を大胆に蹴り開けた
……ただただ広い、赤い絨毯の敷かれた大部屋、そして、その中央よりやや奥にひっそりと佇む様にちょうど人一人が座れる程の小さな玉座。
扉を開いた先にあったのがそれだ。
いや、むしろそれ以外には二階建ての廊下であろう石畳とそれを導く様に建てられたよくある神殿の物と酷似した柱があるのみ……。
先程ののどかな光景から比較して、あまりの殺風景さに私達は緊張感から息を飲む。
私達が玉座に向かってゆっくりと歩き出すと、どこからか、少女らしき声が反響してきた。
「ふぅむ、なかなか乱暴な方々ですね……」
「……隠れて無いで出て来たらどうなんだ?」
声の主にそう返すのは赤髪の彼。
彼は直ぐ様、背に隠していた大斧を取り出し、隠されていた様に縮められた柄の部分を伸ばし、右肩に担いで構える。
その斧は片刃で、斧頭の刃の後ろ側に向かって、この武器の威力を増す為に設置されている無骨で重厚そうな動力機関が取り付けられていた。
あまりにも奇怪なその武器を見てか、声の主が再び声を漏らす。
「なるほど、貴方、最近巷で有名な『機装斧の勇者』、レオン・アンダーソンさんですか?」
「だとしたら、どうするんだ?」
彼が不敵な笑みを浮かべながら聞き返す。
すると、何の前触れもなく玉座の影から、するりと金髪の少女が湧き出る様に現れたのだ。
それに、私達は思わずたじろぎ、彼女に対しての警戒を強める。
「転移魔法(ゲート)が使えるなんて……
レオン、あの女の子、只者じゃないわ……」
私は、つい、声を荒げてしまった。
転移魔法(ゲート)は通常使われる魔法とは性質の全く異なる特殊な魔法で、対応する媒体を用いて瞬時に移動する為の非常に高度な魔法とされている。
少なくとも、人間で使える者の数は限られているのだ。
「ふふふ……何はともあれ、ご足労ありがとうございます、お待ちしておりましたよ、勇者ご一行様」
彼女は玉座の前に立ち私達に向かって丁寧にお辞儀をした。
彼女の言葉に赤髪の彼が額に青筋を浮かべて苦笑した。
「ハッ、ご一行様だぁ?
テメェ、ガキのクセに魔王の肩でも持ってるてのか?
……どちらにせよ、虫酸の走るアマだな」
彼は、いつも通りのガラの悪い対応で彼女と会話する。
私の隣で槍を構え始めた金髪の彼もやや呆れた様な表情を浮かべていた。
再び、彼女が口を開く。
「あははっ、私は一応、子供ではありませんよ、こんな見た目でも私の歳は人間の寿命くらい超えてますからね?
ついでに言うなら、私はこの城の主ではありません、魔王様は今はまだ、お取り込み中ですので……」
彼女は彼の挑発に乗る事は無く、ただ淡々と、事務的に彼に応えた。
しかし、彼にとって、それは神経を逆撫でる事に他ならない。
彼は目を伏せ、身体を震わせながら声を漏らし始めた。
「くくっ……
はははははははッ!!
じゃあ、構わねぇよな?
俺ぁ……目の前に居るバケモンって奴ぁ……
ブッた斬りたくなるンでなァッ!!」
激情した彼はその手に構えた大斧をその場で振り回して、深く振り被り、勢い良く目の前に居る少女へ向けて振り上げる。
するとどうだ、斧頭が甲高い音を起てて外れ、そこから斧頭に繋がれた鎖が伸び、刃が大きく弧を描きながら少女へと向かったのだ。
「また先走って……
アルッ!!
20秒ッ!!」
私はレオンの攻撃に合わせる様に魔法発動の準備の為、その場からやや後ろへ跳びながら、金髪の彼、アルこと、アルヴィオンに私の防衛とレオンのサポートをする様に指示した。
「ったく、ウチのリーダーって奴ぁなッ……」
彼は呆れ顔を浮かべ、その額から脂汗を滲ませて愚痴を溢しながら、やや前に走り槍を構え直した。
その時だ。
「………ふふっ」
金髪の少女は不敵に笑みを浮かべる。
と、同時にだ。
トンッ、と言う小さな音がレオンから聞こえた。
「はい、これで一回死亡……ですね」
私達はその光景に戦慄する。
彼女は目にも止まらぬ速さでレオンの横に立ち、その背に背負っていた筈の細身の剣を鞘ごと手に取り、それを彼の首筋に軽く当てたのだ。
それも、満面の笑みで。
「ッ!?」
斧の刃は虚しくも、その重い身体を示す様に勢い良く地面に突き刺さる。
驚く事は更に続く、彼女は瞬時に再び先程の場所に戻り、石畳に突き刺さった状態から少女と比べても、その腰ほどまである様な、大きく重厚な斧頭を『片手』で引き抜くとそのまま横に放った。
そして、彼女は涼しげな笑顔で何事も無かったかの様に笑顔のまま剣を肩に掛け直す。
「うーん、予想以上に鈍い反応ですねぇ……」
彼女は相変わらずの笑顔のまま呟く。
対して、更に憤怒の表情を強めたレオンは柄を振り被り斧頭を柄の元へ戻した。
「……あぁ、そうでした、申し遅れてすみません
私の名はレイチェル、レイチェル・フランソワーズ・ド・シュヴァリエと申しまして……
この城の主である魔王様、ヴァレンシア・クーネロイス様の側近であり……
一人娘でございます」
彼女は深々と頭を下げ、笑顔でそう言った。
「魔王の……側近?
その上、一人娘だって……?」
アルはレオンをかばう様にやや前へ出ながら聞き返す。
「まぁ、信じる信じないは貴殿方で判断願いますけどね
貴殿方には……」
私は、彼女の余裕綽々な笑顔で言葉を紡いでいる中、彼女の足元を注視した。
「……だから、何だと言うの?」
氷術『フリージング・ジャベリン』
私は彼女の言葉を割く様に言い放ち、私の周りに長さ1m、太さ15cm程の氷の槍を三つ形成し、それを彼女目掛けて高速で発射する。
そして、その氷の槍は勢い良く彼女の左右後方と足元に着弾し、石畳へと突き刺さった。
私の狙い通りに、だ。
「むっ……これは!?」
「アル、レオンッ!!
下がってッ!!」
私は彼らに後退の合図を出し、同時に……。
炎術『バレット・フレア』
私は手をかざし、圧縮された熱のエネルギーを先程の氷の槍と同じく三つ形成し、こちらも高速で放つ。
するとどうだ、見事に圧縮された熱のエネルギーは氷の槍に命中し、彼女を中心に凄まじい爆音をあげて水蒸気爆発を起こしたのだ。
「ぁぁぁぁ……ッ!!」
爆音に紛れてだろうか、彼女の断末魔が微かに聞こえたのと、前衛の二人が後退したのを確認し、私は準備した最後の魔法を放った。
凍術『ダウンバースト・フリーザー』
先程の爆発で広がった水蒸気は寒冷地に棲む生物ですら死に追いやりかねない程に冷たい、魔法による氷点下の暴風によって一斉に彼女へ向かって圧縮され、急激に冷やされた水蒸気が無数の氷の針となり、彼女に突き刺さる。
「くぁ……ッ!?」
彼女の全身は薄く凍り付き、無惨にも無数の氷の針によって、流血している。
その血も、氷の温度によって凍ってしまっているのだが。
彼女はそれでも、笑顔を絶やしていない。
「ふふっ………ふふふっ……
これ程に出来る方の相手は久しぶりです……」
彼女はそう言いながら……。
驚くべき事に、身体中に刺さっていた氷の針を自らの血ごと抜き出し、針は彼女の周りに散らばって行ったのだ。
「本当に化け物だってのか……?」
アルが眉をひそめ、呟く。
「そうですね……まぁ、少し複雑な事情はありますが、一応、吸血鬼(ヴァンパイア)ですから」
そう語っている間に、彼女の傷は着ている衣服を除いて全て癒えてしまう。
「なんつう回復力だ……
全身凍り付いてたんじゃ無いのか!?」
レオンが声をあげ、斧を構え直す。
「まぁ、弱いとは言え、私の魔法障壁もありましたからね
見事に貫通されてあの様でしたが……
あの程度の冷気ならば……まだ、私の回復力の方が数段上ですし、当然の結果でしょう」
「嘗められたものね……
二人とも、あと、15秒ッ!!」
私は前衛の二人に合図を送り、再び魔法の詠唱に入った。
「今度はこれでどうかなッ!」
まず、先行して進むのは金髪の槍使い、アル、彼は槍を振り回すと、その槍の刃が左右に展開する。
その十字を画く刃は突くと言うより、薙いで斬る為に特化した形をしている様な形状をしている。
その大槍を小枝を振り回す様に、軽く、最小限の動きで彼女目掛けて素早く凪ぎ払った。
「まだまだ、遅いです……」
彼女はそれに直ぐ様反応し、大きくバックステップを踏んで、ゆっくりとその背に抱えた細身の剣を左手で抜く。
だが、あろう事か彼女はその剣を顔の前に立てて黙想し始めたのだ。
二人の猛者が襲い掛かっていると言うのに、実に余裕綽々に祈りを捧げる、自らのスタンスを代えない、それは魔王から騎士の称号を受けるだけの者である事に疑問を感じさせる。
「止まってる余裕が、あるのかよォッ!?」
レオンが怒号を発すると同時に高く跳躍した彼は、彼女目掛けて大斧を降り下ろした。
その殺気は先程の怒りによって増幅され、より、その刃に狂気を乗せたのだ。
だが、それが仇となる。
彼女はゆっくりと開眼し、その狂気の刃をいなし、壮絶に火花を散らせながら地面へと落とした。
彼女は相も変わらぬ笑顔でだ。
同時に彼女は着地寸前のレオン目掛けて鋭いミドルキックを放ち、アルの方へと吹き飛ばされる。
「ぐかっ………!?」
「レオ……ッ!?」
アルは何とかレオンを受け止めるものの、あまりの勢いに私の前まで二人纏めて転がって来てしまった。
「よくやってくれたわ、二人とも!」
炎術『スプラッシュ・ブレイズ』
私が手を掲げると彼女の足元が熱を帯びて紅く光り始める。
「なっ……」
彼女がそれに気付いた時には、既に遅い。
彼女は自らの足元から噴き出す柱の様に圧縮された高熱の炎に焼かれ、辺りの酸素さえも亡き物とせん程の勢いで炎が燃え盛る。
その勢いはまるで、それまで押さえ込まれていた水が噴き出す様にも見えた。
「まだまだぁッ!」
私は続けて魔法を放つ。
冷術『マイナス・ヒート』
私が下へ向けて手を降り下ろすと先程の噴き出した炎は一瞬にして消え、同時に先程とは真逆に、彼女の頭上から降り注ぐ様に圧縮された冷気が彼女目掛けて放たれる。
彼女は突然の温度変化と流れる気流の勢いに表情が苦痛を示し方膝を着いてその場に伏せた。
先程の熱で周りの酸素はほぼ燃焼してしまっているだろう、生物であれば、立つことはおろか、生きる事すら不能の環境を私は造り出しているのだ、吸血鬼とは言え、これで立っていて貰っては困る。
ここまでしてようやく、彼女から笑顔が消えた様にも見えた、だが、私は用心に用心を重ねて最後の仕上げに更にもう1つ、トドメの魔法を放つ。
流術『ストレート・ウォーティ』
私が下げた手を横へ凪ぐと、流れ出る冷気はそのまま、彼女の足元から水の柱が螺旋を描いて上昇し、冷気に触れる水から順に瞬時に凍り付いていき、彼女は氷の柱に閉じ込められた。
彼女は私を見詰めたまま、氷付けとなる。
私は、あれだけの魔法を連続で使用した為か、かなり疲労感を感じているも、彼女から目を離す事は無く、静かに私に目を向ける彼女と目が合った。
その時だ。
私達は自らの目を疑う。
彼女を覆う氷に亀裂が入り、そこから勢い良く水が噴き出している。
いや、もっと正確に言おう。
彼女を中心に、彼女を覆う氷が溶け出して水となり、あろうことか、その水が沸騰しているのである。
彼女から発せられる熱で溶けているのか。
氷には次々亀裂が入り、砕け散る。
彼女は沸騰した水と湯気に包まれながらゆっくりと立ち上がった。
そして、私を見詰めたまま無表情、いや、鋭い眼光、殺気を帯びた眼差しを私に向けながら呟く。
「……なるほど、他の小物に比べてこれは厄介ですね」
彼女は一瞬俯いたかと思うと、再び笑顔に戻る。
「少し、力を使った方が良いみたいですね」
彼女が再び呟くとその手に持った剣が淡く、蒼い光りを帯びる。
私達は一瞬で感じる。
その剣から放たれる、強烈な死への恐怖を……。
「これ程の実力、敬意を評して名を聞きたい所ですが、貴女相手にあまり時間を掛けているのは得策では無さそうですからね……
さぁ、残念ながらもうフィナーレです!」
彼女は私一人に狙いを定めて剣を突き出し、構えた。
彼女の口角がじわりと吊り上がり、私目掛けて彼女が飛び出す。
まるで、弾丸の様に。
私の前に居た二人の反応も間に合わない、剣は確実に私の首を跳ねる予告をするかの様に、ただひたすらに真っ直ぐ私へ向かっている。
私は、この絶望的な状況に死を覚悟した。
私の墓場はここかと、諦めにも近いモノを一瞬でも感じ、思わず目を瞑ってしまったのだ。
あれに貫かれれば痛みすら伴わず、首が吹き飛ぶだろう。
死を感じた直後は良く頭が回ると言う。
しかし、それは逆に忘れていた筈の私の死への恐怖を煽った。
詠唱出来ている魔法もなく、モーションの少ない魔法すら彼女の剣が私の首を貫くまでには間に合わないだろう。
それどころか、彼女にそんな魔法も通じるだろうか。
否、あの六つの魔法も耐えきった彼女にはモーションの少ない弱々しい魔法が間に合ったとしても、それは最早無意味だ。
考える事すら放棄しようとした、その瞬間。
小さく声が響いた。
「そこまでよ、レイチェル」
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