騎士の使命
魔王城。
それは世界の果てに位置すると言われている。
大陸1つ全てを敷地とし、100層以上もの城壁に囲まれている。
嘗て、数々の猛者たちが魔王城攻略に挑んだが、皆城の姿すら見ることは叶わず朽ち果ててしまった。
まさに、難攻不落の無敵城砦だ。
そんな場所に、今私は居る。
憎むべき宿敵と共に・・・。
「お帰りなさいませ、魔王様」
少年の帰りを笑顔で出迎えるエルフの
城壁外の印象とは打って変わって、城の庭はのどかで穏やかだ。
日光が暖かくて気持ちが良い。
「魔王様、そちらの方は?」
「新人。君の後輩って訳」
え?私が後輩・・・?
「そうなんですか!わ~、はじめまして宜しくお願い致します。私、マリーと申します。この城にお仕えする
唐突に自己紹介が始まった。
魔物に軽々しく口を利くものではないが、騎士として名乗られたら名乗り返さぬ訳には行かない。
「ゎ...ぁ...」
喉が枯れ過ぎていて、声が出なかった。
「はわわわ!?直ぐにお飲み物を
慌てて城の中に入って行く。
「それじゃあ、食堂まで案内するよ。ついて来て」
少年の後に付いて行く。
・
・
・
長い
この少年と
どうやら、この城には少年とさっきのエルフしか居ないらしい。
「ふあ~。」
大きなあくびをしている。
呑気なものだ。
とても、世界を支配している魔王だとは思えない。
それに・・・
無防備な背中だ
今なら、コイツを仕留めることが出来るんじゃないか?
だが、相手は腐っても魔王。
そう易々と暗殺が成功するのだろうか?
コイツはきっと、とんでもない力を持っているに違いない。
何せ、
もし変な気を起こせば、きっと私は・・・。
いや、覚悟を決めろ。騎士として!!
魔物討伐のため命を捧げると神に誓ったはずだろう?
ならば、恐れることは無い。
使命を果たすのみ。
回廊の壁に
「え?」
少年は力なく倒れる。
「・・・やった・・・のか?」
不気味なほど
脈は止まっている。
完全に死んでいる。
ガシャン!!
ガラスの割れる音がした。
「あ・・・あ・・・魔王様!!」
エルフの
どうやら、さっきの一部始終を見ていたらしい。
彼女が少年の
「そんな・・・魔王様・・・。」
少年を殺した私には目もくれず少年を気に掛ける・・・実に出来上がっている主従関係だ。
少年の死体を抱え、エルフの侍女は
健気に尽くす彼女の後ろ姿は、私に言いようもない罪悪感を与えてくる。
魔王討伐とは、こんなにも
・
・
・
おめでとうございます!!
見事、魔王を打倒した!!
と言う実感は余り感じられずにいた。
何をする訳でもなく、ただ魔王城の中を
これで世界は変わったのだろうか?
そんな疑問すら
途方に暮れる中で、私はある部屋に
マリーの部屋
扉の鍵は開けられていた。
何の気なしに中へと入る。
「・・・。」
部屋の中は机とベッドが置かれているだけだった。
ただただ
机の上には1冊の
気になってそれを手に取る。
手記の内容を読むとそれは、あの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます