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イリスが名前を呼ぶと、目の前に急に二人の女の子が現れる。

一人は緑の短髪に、右が緑で左が紫のオッドアイ、服は忍者ばりの黒服衣装。もう一人は紫の長髪に、右が紫で左が緑のオッドアイ、服はさっきの子の服を改造して、胸元がはだけていて、ズボンはスカートに変更されている。


「と、というかいったいどこから!?」

「さあ?私にもわからん」

「いやいや、この部屋を包んでる結界に欠陥があったら困るよ!」

「いえ、欠陥はございませんでした。寧ろ恐ろしいほど強固でした」


おいおい…じゃあ一体どうやって侵入したんだよ、恐ろしすぎるわ。

「それは……秘密です」

ま、喋ってくれるわけないか……!?今、人の心の声を読んだのか!?

「はい、その通りでございます」

「ふふ、いい感じに驚いてくれたみたいだね。彼女たちには特殊な能力があるんだ」

「それって今みたいに人の考えを読むこと?」

「そうだ。それに彼女たち同士ならどんな距離でも念話が可能だ」

どんなチートだよ……まぁ二人の間と他人に差があるならそこまでおかしくもないのか?


「それで、御披露目してもらったけど…」

「片方を君との連絡役として、傍に置いてくれないかな。戦闘や諜報でも役に立つと思うよ」

「そう言うだろうと思ってた。しかしこちらとしてはありがたいが、二人はいいの?」

「主命とあれば」

「私はこんな変な奴に従いたくはないけど、主様の命令なら聞かなきゃね」

「ライ、失礼な言い方は止めなさい」

「だって……」


イリスがライと呼ばれた紫髪の女の子を睨む、睨まれた彼女はむすっとした顔をする。


「まぁまぁ、他の世界から来た僕を怪しむのは当然だって」


むしろ当然のように扱う各国の王達や僕の周りの人間はおかしいと思うんだが。僕としてはありがたいから言わないけどさ。


「しかし……」

「僕は気にしてないから」

「そこまで言うなら、今回は許そう」

「で、どちらを僕につけるの?」

「ライは嫌そうだから、フウが良いだろう。頼むよ」

「お任せください」

「じゃ、これからよろしく」

「はい、主殿」

「さて、話はここまでだな。今から私は脅しに失敗した体で出ていく」

「わかってる。あくまでも今の僕たちは敵対関係だ」

「うむ、それでいい」


そう言うとイリスは立ち上がり、僕に近づいて耳打ちする。

「強大な敵だと思うが、君なら何とか出来ると私は信じているよ」


そう言って彼女は僕の唇にキスをした。不意をつかれた僕は唖然として動くことも抵抗することも出来ずにされるがままである。短いのか長いのか分からない時間が過ぎてから唇を離される。


「では、また会おう」

そう言うと彼女は足早に部屋から出ていく。


「な、なんだったんだ……」

「自覚がないかたはこれだから……」

「えっ?」

「何でもありません!」

ローザさんまで機嫌悪くなってるし、何なんだいったい。これは僕が悪いのだろうか。

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