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「はー…疲れた~」


本気で疲れた僕は、乱暴に椅子に座る。


「お疲れ様です、ご主人様」


先に執務室にいたローザさんが紅茶を出してくれる。僕は出された紅茶を啜り、一息ついた。


「やっぱり、ローザさんの紅茶は美味しいね」


「特別なことは何もしてませんよ。強いて上げるなら愛情が入ってるからですかね」


「そっか。ならこれからもローザさんにいっぱい入れてもらって、たくさん愛情を貰おうかな」


「……ご主人様は狡くなりました」


「ん?何か言った?」


「何でもありません。御代わりはいつでも仰ってください」


「わかった、ありがと」


お礼を言った直後に扉がノックされる。

僕はシエラが来たのだと思ったのだが、いつものように開けて入ってこない。


「ご主人様、私が開けましょうか?」


「…いや、僕が行くよ」


近づいて扉に開けると同時に剣が僕の喉元に突きつけられる。

剣の先にはイリスが立っていた。


「な、何を……」


僕の質問には答えずに、部屋に押し入ってきて、片手間に扉を閉めて鍵をする。

逃がさないって感じをひしひしと感じる。


「君は……何をしているのか分かってるのか?」


「分かってるよ、無用心に出てきた他国の王に剣を突き付けてるってことをね」


くそぅ、合ってるだけに言い返せない。


「貴様……!」


「おっと、動かないでほしいね。ビックリした後に間違えて殺してしまうかもしれないよ」


……「間違えて」ね


「さて、今度はこちらの質問に答えてもらおうか」


「答えられることなら」


「何故、あの場であんな挑発するような発言をした?」


「……必要だと思ったから」


「言わされたのではないか?」


「さてね、どうだろうか」


「君はふざけているのか?私はこのまま殺してしまってもいいんだよ」


「短気だねぇ。殺したら情報が得られないよ?」


「貴様…」


イリスは剣をより喉元に近づける。

だけど僕は態度を変えない。


「そんなことされても僕の答えは変わらないよ」


「ふ……ふふ…」

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