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「えー、では定刻になりましたので、7ヵ国定例会議を始めたいと思います」


僕が発言したのはそれだけ、そこからはシエラが進行し、それぞれの王が国の状況に対して政策を決めていく。

途中で井戸端会議になりかけたが、シエラのおかげで僕が居る意味があるのか、と考える程度に会議は順調に進んでいき、最後にソフィアの番になる。最初は当たり障りのない内情の話をしてから本題に入った。


「また、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、我が国は何者かに狙われております」


知らなかった人達が驚いた顔をした気がする。


「既に何度か襲撃もされています。撃退は出来ておりますが、それでも敵の猛攻は留まることがありません。なので……」


「私達に手伝ってほしいってことカナ?」


アマレロの問いにソフィアは静かに頷く。


「残念だがそれはできない」


そうベルメリオが一刀両断する。


「私達が今までどういう関係だったか忘れたわけではないでしょう」


「今は停戦協定で戦ってないだけで、潰れてくれそうならそれはそれでいいカナ~」


「それに我々は元より仲が良かったわけではない」


「ま、そう言うことだ。自国で何とかするんだな」


予想通りというか、何というか。ソフィアは表情こそ変えてないが、落胆ぶりは見てわかる。これじゃ彼女が期待しない理由よくわかる。

は~、仕方ないな…。


「……そうですよね、わかり…」


「くそつまんねぇな」


「へ、陛下!?」


「シエラ、止めるな。こんなバカな連中には少し言わないと気がすまない」


その時私は初めて彼から凄まじい怒気を感じた。何を言っても無駄だと思えるほどに。


「バカとはどういうことかね?」


「そんなの簡単さ。何で関係ないって言えるんだよ」


「それは当たり前だろう。他国の戦なんだぞ」


「じゃあ…これから自分達の国が襲われない可能性はあるのか?」


「それは……」


「もしも…青の国を取り込んだ謎の軍勢に勝てる見込みはあるのか?」




反論出来ないのか、場が静まり返る。


「ないとは言い切れないから口ごもったり、黙るんだよな」


僕はわざとらしく大きなため息をはく。


「その件は僕の国が対応する」


「なっ……!陛下!?」


「…それは協定違反になるがよろしいのか?」


「違反なんてどうでもいい。僕は自分の国に影響が出ない最善の策だと思ったから言ったんだ」


「しかし、その策は青の国の王以外を敵に回すことになりますよ」


「敵になればいいんじゃない? でも…そうなったら自国が苦しい状況になっても、助けてもらえなくなるけどね。僕の国を通して貿易してる国ばかりだろう?」


「た、確かにそうダネ……」


黄、緑、黒の王は黙ってしまう。


「……フィリアはね、助けるのに賛成なの」


「俺も同じだ。俺の国に被害が出ても困るしな」


赤と白の王は僕の案に賛同してくれる。


「裏切るのか、ベルメリオ!」


「裏切ってなどいないさ、ただ俺は面白い方に付く。それだけだ」


そう言うとベルメリオは僕のほうを見てくる。真意を悟った、そんな目で。


「それを裏切りと言うのですよ」


「でもこのまま放っておいたら、より強大になってフィリア達の国に攻めてくる可能性があるよ?」


「それは……」


「そしたらフィリア達は成す術もなく、やられちゃうかもしれないんだよ」


フィリアの言葉に一同が黙る。


「……しかし私たちに助けに出せるほどの戦力がありません」


「ワタシのところだってそうダヨ~…」


「僕たちだって出せない、それはフィリアも知ってるだろう?」


「でもお兄ちゃんもそれをわかってるはずだよ」


皆が一斉に僕の顔を見る。


「ま、何となくは分かってるよ」


停戦協定中に軍備が整ってる国は黙ってるはずだし、例え整っていたとしても、ばれたくない、援軍として使うはずがないってこともね。


「なら反対派の連中は手助けしないで助かるんだからいいじゃないか」


「……確かにそうですね」


「なにもしないで助かるなら、いいカナ~」


何とか納得してくれたようだ。


「悪いが、私は賛同できない。話もこれで終わりなら失礼させてもらう」


そう言うとイリスはさっさと出口に向かう。


「イ、イリスちゃん、待って!」


フィリアの言葉に反応したのか扉を前で止まる。


「最後に言わせてもらうが、これから僕と君達は敵同士だ。フィリア、それは君も例外じゃない」


それだけ言うと彼女は部屋から去っていった。それをフィリアも追いかけていく。二人が出ていってしまったのと、話もキリが良かったので、この日の会議はお開きとなった。

解散する際に赤の国の王が将をこちらに寄越すと言ってくれた。僕はなぜそこまでするのか聞くと、彼女は

「俺は護られるってのは性に合わないんだよ」

と言い、その場を後にした。

僕は彼女の漢らしさを感じながら、会議室から出て、執務室に向かった。

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