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「あ~……疲れたぁ……」
肩を叩きながら僕はそう呟く。
国王になり、政や書類仕事を叩き込まれてから、早幾日。
慣れてきたとはいえ、やはり長時間の書類仕事は疲れる。
少し休憩でもしようかと思ったとき、扉がノックされる。
「失礼します」
そう言いながら入って来たのはシエラさんだった。
「どうしたの?」
「伝え忘れていたことがございましたので……」
「え、なに?」
「明日ですが、我が国を含めた7ヵ国による定例会議がございます」
「あ、そうなんだ~」
………………えっ?
「明日!?」
「はい」
「ば、場所は!?」
「我が国です」
「なら準備は!」
「整っております」
「そ、そうなんだ……」
流石シエラさんだ。言わなくともやってくれるとは。
……まぁ一番は早く言うことなんだけどね。
「申し訳ありません、陛下にお伝えするのが遅くなってしまって…」
「いや、仕方ないよ。お互いに忙しかったからね」
僕はそう言いながら、シエラさんを近くに呼び、頭を撫でる。
誰にも見られていないから問題ないだろう。
「あ……ありがとうございます…」
「それで、当日に僕は何をすればいい?」
「陛下には、明日の会議にご出席頂いて、席に座っているだけで構いません」
「え?座るだけでいいの?御飾りみたいで居るよりかは、何か言ったほうがいいんじゃないの?」
「まぁ、意見して頂いても構いませんが……私はあまりお奨めはしません」
一体どういう事なのだろうか?
「では、私はこれで失礼します。何か御用が御座いましたら、お呼びください」
「あぁ……うん」
一礼するとシエラさんはそそくさと出ていく。まだ仕事が残っているのに、時間を割いてくれたのだろう。
「定例会議……か」
何を話すのだろうか。やはり不可侵条約に関する話なのか。それを破棄する話とかじゃなければいいんだけどな。
7ヵ国……赤の国、青の国、緑の国、黄の国、白の国、黒の国、それと僕の国。
僕の国以外はそれぞれ国の特徴を色に表して、そう呼ばれているらしい。
そしてそれぞれに国王が居て、国を統治している。
昔は国同士が土地や資源を求めて争っていたそうだ。
しかし、争いが起こらないように7ヵ国同士で不可侵条約を交わすように提案したのは、僕の国の前王だそうな。
「いやー、前王さんはやっぱりすげぇな……」
真似はできないけど、前王の顔に泥を塗る結果をしてしまわないように気を付けよう。そう心がけた僕はまずは残っている書類を片付ける。
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