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目的地に向かって再び歩き始める。
それからの道中は何事もなく進むことができ、目的地である建物に辿り着く。
「お待ちしておりました、ご主人様」
「待たせたね、周囲の状況は?」
「周囲に敵の姿は見えませんでした」
「他の二人は?」
「先行して住人と話しております」
「えっ!?大丈夫かなぁ……?」
「入りますか?」
「そうだね。時間もないし、二人も心配だし」
「はぁ」とため息をつきながら、玄関をノックする。
「ごめんくださーい」
「はーい」という返事と共にドアが開かれる。出てきたのは、緩やかなウェーブのかかった桃色髪に、ややタレ目のおっとりとした顔のお姉さんだった。
「えっと~、どちら様でしょうか?」
これまたおっとりとした口調で聞かれる。
「先にお邪魔している二人の主です」
「あらあら、そうなんですか~。でしたらどうぞお上がりください~」
「ありがとうございます」
「お付きの方も上がってくださいね~」
お礼をもう一度言ってから、僕だけ先に上がり、先行していた二人に合流する。
「あ、遅いですよ。陛下」
「遅いよ~、ご主人様~」
「マリアもステラも、待たせてごめんね」
僕はそう言いながら、二人の頭を撫でる。撫でられたステラはふやけた笑顔をし、マリアは顔を背けながら手をのける。
「えへ~」
「へ、陛下の為に先行するのは当たり前です」
「うん、ありがとう」
「お待たせしました~。あ、どうぞ椅子にお掛けになってください~」
僕は三度のお礼を言ってから椅子に座る。
「はい、お茶です~」
「ありがとうございます」
いつ淹れたのか分からないくらいの手際の良さで、お茶を全員分出してくれた。
「それで、今日はなんのご用なんでしょうか~?」
「…今日は貴女を…青の国の女王の母である貴女を保護するために参りました」
「……はい?」
「突拍子もない話で申し訳ありません。手短に理由をお話致しますので、お聞きいただけますか?」
「…はぁ、分かりました」
僕は起こった出来事と、ここに至る経緯を話す。
それは遡ること5日前……
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