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近場の空家に入った私達は、椅子に座る。
「で、どうして、どうやってここに来たんだ?」
「それが…」
私達はここまでに起きたことを話す。
話終えた後にお兄ちゃんは大きなため息をつく。
「まさか追いかけてくるとは…」
「ごめんなさい…」
謝る妹に対して、僕は首を横に振る。
そも僕がこちらに来てしまったことが原因なんだ、と。
「僕が心配させたしまったせいなんだ、謝らなくていい。だが薫ちゃんも巻き込んでしまったみたいですまない」
お兄ちゃんはそう言うと私達の頭を撫でる。その手の暖かさはたかが数日ぶりにもかかわらず懐かしく感じた。
「さてと積もる話は今度するとして、これからどうしよっか」
「連れて行くしかないでしょ。さっきの連絡によればもう少しで着くはずなんだから」
「それもそうだね、先に行った皆も待ってるだろうし。それと雪、さっきの話に出てきたアルテミスって人と話せるかな?」
「あ、うん。多分話せると思うけど」
そう言うと雪は隣に浮かんでいる光を見つめる。
「え、もしかして……さっきから気になってたけど、その光の玉がアルテミスさん?」
「はい、そうです」
確かに光から声が聞こえた。
しまった、失礼な態度は…とってなかったよな?
「ふふっ、心配なさらずとも問題ありませんよ。それより何かお話があるのですか?」
「あ、えーっとですね、二人を守ってもらえないか、お願いしたいのですが…」
「分かりました」
僕が考えていたより早く返答をもらえた。物分かりが良すぎるけど、僕としてはありがたい返答を頂けた。
「ありがとう。正直なところ、二人をどう守ろうか悩んでたんだよ」
「彼女たちを連れてきたのは私です。遠慮をなさらなくて結構ですよ」
「了解です。それと貴方にも詳しい話を後で聞きたいので、お願いしますね」
「分かりました」
「よし。それじゃ、行こうか」
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