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「見てみて二人とも!町だよ!」


無邪気にはしゃぐ彼女を見ていると不安に思うことが馬鹿馬鹿しくなってくる。


「着いたみたいですね。では、町に向かう為の足や必要なものを集めましょう」


「あし?」


「馬とかの乗り物を手に入れようってこと」


「へー!そうなんだ!」


私たちは町に入って、直ぐに必要なものを揃えようとした私たちだが、それなりに大きな町にも関わらず、人が一人も見当たらない。


「誰かいませんかー!」


呼び掛ける声に何の反応もない。

やはり誰もいないのか?そう考えていると建物の影から人が現れる。


「今日も誰もいねぇと思ったら、女が居るじゃねぇか」


「ひっ…」


現れたのは強面の獣革を身につけた山賊だった。


「食い物だけじゃなく女も用意してるとはなぁ!気前がいい町長さんだぜ」


そう言うと大男の山賊はガハハと笑う。

今のうちに逃げようとするが、ぞろぞろと山賊の仲間達も集まってくる。どうやら逃げ遅れてしまったみたいだ。


「こんな上玉見たことねぇ!売り飛ばさねぇでアジトに置いとこうぜ!」


「そうだなぁ、なかなかの女だしなぁ。アジトに置いておくかぁ」


大男と小男の意見が合致すると他の山賊達も喜び始める。


「よし、そうと決まったら…」


小男がこちらに近づいてくる。

そして私の腕を掴む。


「こっちに来い、女共!」


「いや!離して!」


私は必死に抵抗する。


「離しなさい、この!」


薫ちゃんが小男をグーで殴る。男は鼻から血を流しながら後ろに下がる。


「い、いてぇ…」


「どうやら痛い目を見ないと分からないらしいなぁ」


小男は下がったが、今度は大男がこちらにくる。


「俺はさっきのやつほど甘くねぇぞぉ」


私たちではこんな大男と山賊の軍勢を相手にできるはずがない…かといって逃げる手段なんて…あるわけがない。

お願い、誰か…誰でもいいから助けて!

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