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そう願った瞬間、教室が目映い光に包まれ、ほんの一瞬だけ目を閉じる。次に目を開けたとき、先程までいた教室ではなく、一面真っ白な世界だった。
「ここは…?」
「どこだろう…」
薫ちゃんは隣にいて、私の言葉にはんのうしてくれる。けどさっきまで一緒にいた先輩達はいない。
「さっきまで一緒だった二人は何処にもいないね…」
「誰かいませんかー!!」
私の声が空しくこだまするだけだった。
「誰も居ないのかな…」
「お待たせしてしまいましたね」
突然、誰かの声が空間に響き渡る。隣にいる薫ちゃんを見るけど、首を横に振って否定する。
「どどど、どちら様でしょうか!?」
「落ち着いてください。私はあなた方を此方側に連れてきた者です」
「こちら側……連れてきた? あなたは一体…」
「私はあなた達の会いたい人がいる場所に案内をする者です」
「そ、それって…お兄ちゃんのことですか!?」
「はい」
私と薫ちゃんは顔を見合わせる。
「お兄ちゃんは今どこにいるんですか?」
「彼は今、その世界で一番大きな国で王として生きています」
「先輩が王様…」「お兄ちゃんが王様…」
「どうかしましたか?」
「あ、いえ…何でもないです!」
「そうですか。では話を戻しますが、あなた達に聞かなければならないことがあります」
「何をですか?」
「このまま会いに行くのか、それとも戻るのかを決めてください」
「それって…」
「戻らなければ、先程までいた世界のあなた達がいたという記憶が消えます。戻れば、会うことは出来ませんが記憶は保持されます。好きな方を選んでください」
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