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「そんなに急いでどこに行くの?」
「か、薫ちゃん…」
教室から出ようとしたところで別のクラスになってしまった親友の
「やっと反応してくれた。今日はずっと思いつめた顔して話しかけても反応なかったんだもん。なにかあったの?」
「あ、えっ…えっと、何でもないよ」
我ながら下手くそな嘘だと思う。きっと笑顔も不自然になっているだろう。
「…本当に?」
「う、うん」
「ふぅん…。なら良いけど……お兄さんが居なくなって辛いとは思うけど、無理はしちゃダメだからね?」
「そ、そうだよね…………って、えっ?」
お兄さん?
「薫ちゃん、今お兄さんって言った…?」
すると不思議そうな顔をしながら彼女は答えた。
「言ったけど、それがどうかしたの?」
薫ちゃんはお兄ちゃんの名前を忘れていない…?なんで…?
いやそんなことよりも…
「薫ちゃん、一緒に来て!」
私は薫ちゃんの手を握り走り出す。
「え、な、なに!?」
私は薫ちゃんの手を握り幼馴染さんのクラスを目指す。
走った勢いそのままに教室についた私は扉を勢いよく開く。
そのせいで教室に居た2人が驚いている。
「き、来たみたいね………そちらの人は?」
「親友の神咲薫ちゃんです」
「あ、えっと、は、始めまして…」
「なぜ友達を?」
「それが、覚えていたんです!」
私の返答を聞いた委員長さんは納得した表情をする。
「そうなのね。それでここに連れてきたのは分かったけど、説明はしたのかしら?」
私はハッとした後、俯いてしまう。
「まったく…、なら私から説明させてもらうわね。ここにきてもらった理由は彼女のお兄さんの話をするためなの」
委員長さんは私を指差しながら説明をする。
「そ、そうなんですか…」
「それでね。今から話すこと、やることは異質なことなの。貴方に危害が及ばない保障がない。だから咲に言わせてもらうわ」
「覚悟がないなら、関わらないで」
さっきから黙っていたもう1人が冷たく突き放すように言う。
「それを聞いて薫さんはどうするのかしら」
「私も聞きます。友達は放っておけませんから」
「…わかったわ。じゃあ話すわよ」
それから私たちは何をして、何が起きたのかを聞いた。
端的に話すと、異世界にいけるおまじないを実行して、お兄ちゃんと幼馴染さんがいなくなった。つまり異世界に飛んだのではないか、ということらしい。
「とても信じることが出来ない話ですね…」
「でしょうね。でも現実に起こった話よ」
「でも…そうでなければ現状の説明が出来ないのは確かだよ」
警察に捜索を頼まない両親、みんなが2人を忘れていること等が今の話の信憑性を高める。
「で、ここからが本題なんだけど」
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