青の章
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-元の世界-
お兄ちゃんが行方不明になってからはや4日。
現在に至るまで、一向に警察へ届出を行わない両親に不信感を抱いた私は、お兄ちゃんの話題を振ると、二人とも不思議な顔をして、知らないと言う。
私がおかしくなったのかと、不安を感じ、クラスの友達に聞いてみても、両親と同じ反応を返されるだけ。
不安感が増し、まるで私だけが異質な存在になったかのように感じる。
でも、ここで諦めてお兄ちゃんを忘れるなんてことは、私にはできない。
しかし、どうしようもなくなった私は、お兄ちゃんの幼馴染さんに聞いてみようと、幼馴染さんのクラスへと向かった。
「す…すみませーん…」
廊下側の席に座っている女生徒が声をかけてくれる。
「どうかしたの?誰かに用?」
「あの…幼馴染さんっていますか…?」
「んー……」
この反応は今までお兄ちゃんの事を聞いてきた人たちと同じだ。
まさかとは思うけど…
「ちょっと待っててねー」
そう言うと私に話しかけてくれた女生徒は別の人に聞きに行った。
聞いている相手は眼鏡をかけた長髪のいかにも委員長でもしてそうに見える女生徒だった。その人は話を聞き終えると苦い顔をして、何かを伝えた後、そのままこちらに歩いてくる。
「あなた…どこで幼馴染のことを…?」
どこか悲しい口調で質問してくる。
「…幼馴染さんとよく一緒に居た男の人の…妹なんです」
私の答えを聞いた女生徒はさっきよりも複雑そうな顔をする。
「そう…そうなの……。それであなたは何が聞きたいのかしら…」
「…その…お兄ちゃんがどこに行ったのかを聞きたいのですが…」
「…」
女生徒は沈黙してしまう。
「あの…?」
「…………あなたに覚悟があるのなら、今日の放課後にまた来てくれるかしら。そのときに…全てを話すわ…」
「え…?」
それだけ言うと委員長さんは自分の席に戻っていく。
どういうことなのだろうか…
意味は分からないけど、このままここにいても意味がないので、とりあえず教室に戻ることにする。覚悟とはいったい何のことなのだろうか。それに放課後まで待つ意味も…。やはりお兄ちゃんの身に何かあったのだろうか。
そして時は過ぎて放課後、元より覚悟など決まっている私は再度教室へと向かう。
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