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城に戻った僕はローザさんの甘い誘惑(混浴)を丁重に断り、1人で風呂に入る。


「はぁ…」


落ち着く…、普段からこれくらいゆっくり入れればいいのだが。

この世界では基本的に女性しか湯船に浸からないそうだ。男性は頭と体が洗えればそれで構わないという考えらしい。(もちろん違う考えの人もいる)

なので、男湯には浴槽が存在しない。


しかし日本で育った僕は毎日とは言わなくても週に何回かは湯船に浸かりたい訳で…

でもそうするにはこの時間帯か、真夜中しかない。


「やっぱり専用の浴槽を用意した方がいいのか」


といっても却下されそうだけどね。どうせあるもの使えとか言われるだけだろうし。

それにこの広いお風呂を独り占めできるし、この露天風呂から見える景色は絶景だ。

そんなことを考えていると、誰かが奥からやってくる。

おかしいな、『王様使用中』の立て札をかけておいたのに。

たいていの人はそれで入ってこないのだけど(人によっては敢えて入ってくるけど)

「あれ?先客の人いたんだ」


こ、この声は!

徐々にこちらに近づいてくるので、僕は持ってたタオルで目隠しをする。


「どうも~…ってあれ?」


「……」


先客の招待が僕であることに気付いた彼女は悲鳴の後、ありえないほど罵声を浴びせてくる。

あれ?これって僕がおかしいのかな。と思わせるほどの罵倒だ。

僕は無心になり左から右に聞き流す。彼女が息切れをした辺りで僕は彼女に質問をする。


「もしかしてだけど、立て札見なかったとか言わないよね?」


「…何言ってんの?そんなの知らな…」


何かを思い出したのか、言葉が途切れる。


「見た……けど、清掃中の看板だと思って無視した……」


僕は大きくため息を吐く。

清掃中でも入ったらまずいだろ…。


「だ、だって仕方ないじゃない!女湯に男がいるなんて思わないし」


もっともらしい答えが返ってきた。


「そうだね、でもこの前話したと思うんだけど?」


「え、な、なにを?」


「僕もお風呂に浸かりたいっからいいかって、この前の会議で」


「…あっ」


やっと思い出したのか。まったく…世話のかかる幼馴染で困る。


「ご、ごめんなさい…とりあえず出てくね…」


「いや、別にいいよ。目隠ししてれば見えないし」


「でも…迷惑だろうし。私も恥ずかしいし…」


「うーん、でもさ。また入り直すのは面倒くさくない?」


「……まぁ、それもそうか…。じゃあ、お言葉に甘えて…」


意を決した彼女は身体を洗い始めたっぽい。なぜ曖昧なのかは目隠しをしているせいなので、気にしないでほしい。


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