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相も変わらず賑わっている飲食街、この城下町の顔の一つ。

僕が治めている国、名前は中央王都グランダラント、他国よりも交易が盛んな国である。

中央王都の名のとおり、地図上の中心にあり、商人等が交易の中継地点として最も活用する国だそうな。

その影響でさまざまな食材がこの国に集まり、それらを調理する人が集まり、この飲食街ができた…らしい。

らしいというのも、どうやら前王が食王でもあり、せっかくいろんな食材が集まるのであれば、民が楽しめるようにしようと考えて、この飲食街を作ったという噂もあるらしい。

もしこれが本当だとすれば前王のカリスマは計り知れないものだろう。


「凄いですね…」


「あぁ、ローザさんは初めてだっけ?」


「えぇ、そうですね。商店街はよく行きますが、こちらには来たことがありません。ご主人様はそうでもなさそうに見受けられますが…」


「そうだね、何度も来てるよ」


「…お一人で…ですかね」


僕は思わずふきだす。なんという不ラックジョーク、間違ってはいないけど


「そ、そんなことありませんよ。毎回誰かと一緒ですよ~」


「そうですか~」


うぅ、ローザさんの笑顔が怖い。


「と、とりあえず立ち話もなんですから、歩きましょうか」


いたたまれなくなった僕は先行して歩き始める。


「あ、お待ちください!」



それから僕はローザさんのお小言を聞き流しながら、特に目的地を決めずにぶらぶらと歩きながら考えることにした。


「おや、今日は1人じゃないとは珍しいねぇ。お連れの方はこれかい?」


よく話す気さくな出店の店主に小指を立てられる。


「い、いや違うよ!この人は…」


「そうですね、私はそのようなものではなく、ご主人様に身も心も捧げたただのメイドでございます」


店主は一瞬驚いた顔をするが、すぐにニヤニヤ顔をして、僕を見てくる。

うぉぉぉぉ…なに言ってやがるんだ、この人は…。


「いや違うでしょ…」


「ご主人様とは違う考えかもしれませんが、私はそう考えていますよ。命を拾ってくださったあの日から、ずーっと…」


「…そうでしたね」


この人は変なところで頑固だからなぁ…、いつも僕が折れているけど、それがいけないのではなかろうか…。


「見せ付けてくれるねぇ。そうだ、2人ともこれを持っていきな!」


そう言うと2つの饅頭を投げ渡される。


「ありがとう。また今度寄らせてもらうね」


「あいよ!」





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