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話し終えた僕は、部屋から出ようとする。
「…君は王族の人間ではないが、王としての資質はあるみたいだね」
「お褒め頂き、光栄に思います」
僕は嫌みっぽく言ってから部屋を出る。
最後に見た彼の顔は、苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
ローザの出迎えられるが、僕はそんなことよりも周りに倒れている人について説明してもらいたい。
「私に手を出そうとしたモノの末路ですよ。私はご主人様の所有物ですからね」
「所有物って…、それにここまでやるのはちょっと…」
「畏まりました。これからはもう少し穏便に致しますね」
笑顔でそう言う彼女に少し恐怖を感じるのは気のせいではないだろう。
「ま、まぁその件は後で話すことにして、とにかく帰ろうか」
用事を終えた僕たちはギルド本部から出て、城に戻る。
「ところで彼に何かされませんでしたか?」
ローザさんが急に変な質問をしてくる。
「別に何もされてないけど?」
「…彼が手を出さなかった?」
僕の思考が一瞬停止する。
「………えっと、もしかしてそっちの趣味がご有りな方なのかな?」
「えぇ、まぁ…」
『まぁ』の後に続く文章は何!すごく恐ろしいんですけど!?
「そ、そうなんだ…」
取りあえず何事もなかったことを喜ぼう。そして出来ることなら二度と会わなくて済むことを願おう。
と、ここで緊張が解けたのか、お腹の音が鳴り響く。
「…お昼にいたしましょうか」
「…はい」
僕たちは城下町でも一際賑わっている飲食街に向かう。
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