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翌日の朝、僕は目を覚ました。あぁ…どうやら僕はあの後寝てしまったようだ。
しかしソファーで寝た記憶はない、恐らく誰かが運んだのかな?
僕は体を起こし、硬くなった体で伸びをすると骨が小気味良い音を鳴る。
ある程度伸びをし終わってから扉が開き、ステラが入ってくる。
ステラの手には茶器のセットが乗ったお盆が。
「あ、おはようございます。起きてたのですね」
「あぁ、うん。ごめんね、途中で寝ちゃって」
なぜかそこでステラは顔を赤面させる。
「い、いえ気になさらないでください…」
…気になる。僕は何かしたのだろうか。しかしステラの反応の仕方が怖いから詳しく聞きづらい…。今度ほかの人に聞いてみよう。
「と、とりあえずお茶と朝食の準備しますね」
「あ、あぁ。お願い」
なんとなく気まずい空気が流れる。もしや体の節々が痛いのも…。まさか…ね…。
僕はステラが机に置いてくれた、朝食用に用意されたサンドイッチを食べながら、ステラのお茶が淹れ終わるのを待つ。
「あれ、もう他の皆は朝食とり終わってる?」
「はい。貴方様はぐっすりとお眠りでしたので。時刻ももう少ししたらお昼ごろになります」
「そんなに寝てたとは…」
「それほど疲れていたのです。無理をしてはいけません」
ステラの言うことはもっともだ、今回はじっくり休めたということで納得しよう。
「そうだね。でも送る時間遅くなっちゃうね」
「えっと、そのことなんですが…」
「ん?」
「その…昨日は言い出しづらくて言ってなかったのですが…」
何だろう、言いづらいこと?
「私に…家族は居ません。いえ、正確には『居ました』ですかね」
「…どういうこと?」
「四日前…私の家に盗賊が入ったのです。私は家に居なくて助かりましたが…家族は…」
「…そっか」
さすがにかける言葉がない。逆にぬるい環境で育った僕にどう声をかけろと言うんだ。
「それから昨日までの間…私は抜け殻のように生きていました。そして昨日、城下町に住んでいるおばあちゃんのことを思い出して、あの街道を通って…」
「それから今に至ると」
なるほどね、それならあの街道を通ろうしたのも納得がいく。
「その通りです。それでその…」
「…帰る家もなく、半ば自暴自棄でここまできた子を帰す訳にはいかないね」
ステラは嬉しそうな顔をする。
「しかし条件がある」
「条件?」
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