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街道沿いの森にたどり着く。周りを見渡すととにかく何もない。街道と森、それ以外は平原が目立つ。とりあえず柵は立てるように言っておこうとおもう。
「さて、問題の森はこいつか」
森は木々が生い茂っているため、平原側と違い薄暗い。
「これは確かに何か居そうな雰囲気だな」
しかし、何かが出てきそうな気配はない。やはり噂だったのだろうか、そう考えていると森の奥から叫び声が聞こえてくる。
「人がいる!?」
僕は森の中に足を踏み入れる。
………………
どのくらい歩いただろうか。どれだけ歩いても人影は見えない。
「これは凄いな…。おーい、どこにいるんだー!」
僕の呼ぶ声に反応がない。だいぶ近づいたと思ったんだが…
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!」
東側から声が聞こえる。僕は急いでそちらへと向かった。
………………
「いや!来ないで!」
オオカミのような獣は肉を見つけた喜びからか口元から涎を垂らしている女の子を見ている。
「だれか…助けて…」
オオカミのような獣が戦意を喪失した女の子に襲い掛かる。
「させるか!」
その前に到着した僕はオオカミのような獣に切りかかる…が避けられてしまう。
「ちぇ、やっぱりうまくはいかないか」
「だ、だれ?」
「その話は後で、今はこの状況を何とかしないと!」
僕は獣とにらみ合う。相手は一歩も引く気はないようだ。しかし原因が分からないうちに殺してしまうのは良くない。師匠に習った技、今こそ使わせてもらいます。僕は剣を構えて呼吸を整える。
「ウオォォォォォォ!!」
力の限り大きな声を出し、気迫で獣を脅す。気圧された獣は森の奥に逃げていく。
「ふぅ…」
「す、すごい…」
「さぁ逃げよう、立てる?」
「は、はい」
しかし女の子は立てない。どうやら腰を抜かしてしまったようだ。
「緊急事態だ、失礼」
僕は女の子を抱きかかえて走り出す。
「す、すみません…」
「大丈夫、むしろ役得だよ」
女の子はキョトンとした顔をしている。純粋だな。それにしてもおかしい、追って来る気配が全くない。何か嫌な予感が…。
「どうかしました?」
「いや、何でもない。それよりもう出口だ。走ると結構近いな」
森から出る、無事逃げきれたと僕たちは思った、けど目の前に獣とその上に跨っている醜い怪物いた。
「ゲッへへへ、いいねぇ、その絶望した顔」
いつの間にか何匹かの獣に囲まれている。
「くそ!」
流石に女の子をかばいながらこの数は…。使うしかないか…あいつに貰ったあれを…
「さぁ覚悟は決めたかぁ?」
怪物が合図をすると獣たちが一斉に襲い掛かってくる。もう使うしか…そう思った瞬間。
「はぁぁ!」
聞き覚えのある声が聞こえると同時に人が現れる。突如として現れた人は一太刀で獣たちを薙ぎ払う。
「まったくもう!勝手にどっか行かないでよね!」
幼馴染が来てくれた。
「どうしてここが?」
「お城に訪ねてきた子が話してくれたのよ。とりあえず詳しい話は後。まずはあいつをやっつけないとね」
「あ、あぁ。任せても大丈夫?」
「なんの心配よ。あんたはその子を守ってなさい」
僕は言われたとおりに女の子と一緒にを安全な場所へ移動する。
「さ、始めましょう。まさか自分じゃ戦えないとか言わないわよね?」
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